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『呉ポスト』690号 [文献]

数日前に届いた『呉ポスト』690号。

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688号と印刷されていますが、690号の間違えですね。
先月が689号でしたから。

『呉ポスト』と言えば、小学生の頃から知っていました。
『関西郵趣』は知らなくても、なぜ『呉ポスト』を知っていたのか?
ちょうど小学生の時に刊行された『日本切手百科事典』で、参考文献の中に入っていたし、そして雑誌の名前が独創的で覚えやすかったから。
何しろ『○○郵趣』と言うのが普通で、『ポスト』が名前になっているのが何となく高級そうな感じがしたものです。
この高級そうな感じというのは、『ワシントンポスト』のイメージから繋がっていたと思います。
同じ『ポスト』でも、全く意味が違いますが・・・。まぁ、小学生だったので仕方がありません。

この『呉ポスト』のスゴいところは、中崎氏が単独で創刊号から編集を続けているところですね。
これは雑誌の編集を経験した人ならよくわかると思います。
本誌発行に、よほどの情熱がないとできません。

例えば商業誌ならば、ご飯を食べるための手段としての発行なので、続けないと死んでしまいますが、純粋な趣味誌となると、食べるための手段とは違った次元の話しになります。

あと10号で700号。
僕が編集する『北陸郵趣』が700号に達するまでに、どれだけの編集者が代わったことか。
恐るべし『呉ポスト』!
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日本語による切手印刷本 [文献]

最近、下記の画像の本が出版されましたね。

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そこで思ったのですが、日本語による切手印刷本って意外と多いなと。
古くは三島氏の大著『切手集めの科学』や大蔵省印刷局『郵便切手製造の話し』に始まり、三島氏による著作に限っても、専門書、普及書が数種類ありますし、今回出版の植村氏も何冊も書かれています。
ちょっと思い出しただけでも硬軟10冊程度はあります。

切手印刷というのは、基本的な知識なのですが、この手の本を買う人は少ないのでは?
切手収集家にとっても、印刷は特殊な分野で収集の王道ではないと思われているフシがありますね。
僕の知人でも、印刷関係の本には全く関心をを持たない人が多いですし・・・。

確かに読んでいて面白い本ではないと思いますが、切手印刷の基礎知識は知っていて損は無いと思います。
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「随想」(一) [文献]

先日送られて来た『郵趣』をペラペラ捲っていたら、「厳島30銭」無目打のページに目が止まりました。
そこで、思い出したのが1982年5月の『スタンプ・レーダー』No.277に掲載された、前原松夫氏による「随想」(一)の記事で、下の画像がそれ。記事全体の中から該当箇所のみをスキャンしました。

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読んだのは、10年振りくらいでしょうか。
いつ読んでもよい記事です。
発見と、その後の分配に関する情報が筋道よく記されています。

出所不明というか、はっきりしないマテリアルがけっこうありますが、やはりこうした来歴がしっかりとわかるマテリアルは別格です。
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ウッドワード・オークション [雑記]

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画像は、『切手趣味』第19巻5号(昭和14年5月)の裏表紙に掲載された、ハーマー社によるウッドワード・オークションの広告。翌月号と2回掲載されています。

広告によると1シリングで日本へ発送となっているので、当時の実質(名目ではない)レートで計算すると約85銭となります。
蕎麦1杯が15銭の時代ですから、5.6杯分、つまり約6杯分ですね。
そんなに高いわけではなくて、かえって今の方が高いかも知れません。ただし、当時は送金事情が厳しくなっていましたから、値段よりも、そっちの方がネックになっていたでしょう。

当時、リアルタイムでこのカタログを入手出来たのは何人くらいいたのでしょうか。
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「初期小包郵便と大型小包送票」 [文献]

3日間も更新が止まってしまいました。
別に怠けていたわけではなくて、仕事が超忙しいのと『北陸郵趣』の編集が重なってしまいました。
数千人も居る大組織の中に居ると、そのトップへの説明資料作りにも大変な労力が必要になります。ひどい時には一夜にして状況がひっくり返り、一からやり直しのことも多々あります。

さてさて、本題です。
画像は、『郵便史学』7号(1976年8月)に掲載の近辻氏による「初期小包郵便と大型小包送票」。

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小包送票って、地味な存在です。
使用例と言うと封筒やはがきが幅を利かせて、小包送票はあくまで脇役中の脇役みたいな存在ではないでしょうか。

僕が小包送票に初めて興味を持ったのは、本文発表の前年に出版された『小判切手の集め方』を読んでからですね。
それを読んでから初めて「そんなのがあるのかぁ。」みたいな感じで、それから意識するようになりました。

そして、そんなタイミングで接したのが本文です。
『郵便史学』は、郵趣会館地下の切手センター街で見かけるといつも買っており、本号もそうして入手したもの。
本文には、詳細な料金表があったり、評価表が載っていたのが子供にとって有難かったですね。もっとも子供なので入手出来るのは、安価な使用例に限られていましたが・・・。

記憶にあるのは、当時盛んにあちこちのデパートで開かれていた切手即売会で売れない商品として、丸一形印のカバーなどと一緒にあったこと。
丸一のカバーが500円。大局の大形ボタのカバーが1000円程度の頃ですね。

本文は、ただ漠然と小包送票としか理解していなかった子供に「小包送票とはこんなもの」と教えてくれたものです。
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塔30銭秀山堂1枚貼り [日本切手]

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上の画像は、塔30銭秀山堂の1枚貼りで、元は塔30銭の収集で有名だった浅野氏のコレクションに入っていたもの。
秀山堂切手の1枚貼りは、これ1通しか持っていませんが、これで満足しています。
データーは、「赤坂/22.11.14/東京都」。

この貼付切手のよいところは、上耳付なのでポジション確定がしやすいことで、その拡大画像が下です。

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この画像の切手を観察すると以下の3点の特徴を見いだすことが出来ます。
1.菊紋章の花弁間の線切れ。
2.右側唐草文の左縦線が下から2ミリ位のところで切れている。
3.3階右側宝鐸が無い。
これらの特徴から、この切手がN1版のポジション6であることが特定できます。
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トラバンコール [外国切手]

インド土侯国の1つトラバンコール。
インドの南端のアラビア海側に細長く伸びている土侯国です。

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ここの切手は、なかなか面白いのですが、切手展などには向いてないかも知れません。
もちろん国際展にもよく出品される土侯国なので、英領関係の分野ではポピュラーですし、世界的に知られた大きなコレクションもあります。

分類の基本である色調はバラエティがあるのでよいとして、目打は基本的には12目打でバラエティはありません。
その代わりと言っては何ですが、透かしはAとBの2種類があり、それぞれに正透かしとその左右逆透かし、逆透かしとその左右逆透かし、そして横透かしなどバラエティが豊富です。もしかすると透かしのバラエティでは世界有数の切手かも知れません。

ところがですね、透かしと言うのはリーフに貼ってしまったらわからないでしょ。
幾らバラエティが豊かであって、それが揃っていたとしても、リーフに貼ってしまったら透かしても見えません。
ましてや、切手展では同じ切手がズラズラと貼ってあって、違うのはテキストの文字だけ。
こんなのお客さんは見てくれませんよね。

バラエティが豊かで面白い切手でありながら、見せられる方にとっては超つまらない切手が、この切手でしょう。
でも、僕は好きですね。何しろ集める側ですから・・・。
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「逓信省発行記念絵葉書」 [文献]

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1971年9月に創刊され、翌72年2月に廃刊になってしまった『切手マンスリー』という月刊誌がありました。
毎号百数十ページの中に、なかなか骨太の記事を散りばめた雑誌だったのですが、会員制ではなく書店売りのため、発行部数が伸びなかったのでしょうか。極めて短い発行でした。

連載記事が多かったのですが、その1つに「逓信省発行記念絵葉書」がありました。執筆は後にステーショナリーの大家になる大島正昭氏。

印面付のステーショナリーではない、逓信省絵葉書のまとまった記事を連載すると言うのは、当時としては斬新というか冒険に近いものだったと思います。
内容は単なる紹介記事ではなく、贈呈袋の違いや、銘版、説明文の文字違いなど専門的な内容にまで踏み込んだもので、平易に書かれた記念葉書の雑誌記事では、その後も本記事のようなコンセプトのものは見られないと思います。

廃刊に伴い「逓信事業創始50年記念」で止まってしまったのが、惜しい企画です。
あと2号ぐらい出ていたら最後まで紹介されていたのでしょうね。
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「広沢牧場と八戸カバー」 [文献]

偶然ですが、昨日に続いて田辺卓躬氏の著作です。
「広沢牧場と八戸カバー」は、『切手』1530号(1982年6月12日)と1535号(1982年7月17日)の2号に連載された解説。

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話しの主題は、有名な八戸カバーの解析と、そのカバーを取り巻く当時の環境についての解説なのですが、一般的な人を対象とした平易な文章で、それでいてカバーの奥深くまで突っ込んだ解説として、数ある八戸カバーを扱った報文の中で、最も優れたものだと思います。

これを僕が読んだのは、高校3年の時で、その前年の東京国際展で展示された実物を初めて見た翌年に当ります。
もちろん国際展会場で見た時には、有名なカバーであること位の知識しかありませんでしたが、本稿に接して、その史的背景などにすっかり魅了されたものです。

田辺卓躬氏の名解説。
今読み直しても感心します。
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『明治郵便局名緑』 [文献]

郵便史研究家として著名な、田辺卓躬氏による労作。
元々は、氏が編集されていた雑誌に連載されていたものだったのですが、連載終了後に増補して一書にまとめたものです。

似たような著作は何冊かあって、どれもが一長一短なのですが、その中で最もオリジナリティがあり、重宝しているのが本書です。

本書の刊行元が「二重丸印の会」となっていますが、本書には各局の二重丸印の変遷が一目でわかるように編集されています。
もちろん二重丸印時代のことですから、変遷不明な局が地方を中心にたくさんありますが、それでも最低限、等級の変遷を知ることができます。

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例えば、越前敦賀局では、不統一印→不統一印+N1B1K→記番+N1B1K→KG→KB2→丸一印へという変遷が、年ごとにわかるようになっています。
もちろん、今となっては修正するべき箇所が幾つもありますが、全国的に集成された二重丸印の基礎文献という点で、本書の重要性は全く薄れていません。

一時で賞味期限が迫って来るハウ・ツー本全盛の郵趣文献の中で、このような時間が経っても色褪せない基礎文献が今後、どれだけ出て来るでしょうか。
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『第111回 カナイ・パブリック・オークション』 [文献]

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上の画像の第111回カナイ・オークションは、手彫切手収集家にとっては、特別に記憶されてもよいオークションの1つだと思います。

それは、なぜか?

では、下の画像をご覧下さい。
ロット156で、洋紙2銭黄色の仮名「ロ」です。

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ここまで読んで、そして画像を見て「あれっ、何か変だぞ」と思われませんか。
そうです。
この切手、洋紙切手に短器目打が施されたものの記念すべき発見第一号なのです。

よく見ると、目打の繫ぎ目が見られたり、目打の一部が短器目打特有のやや角張った形状をしていますね。

オークションが行われた昭和49年当時に、この切手に注目された方は数人だったと言われています。
その後、類似の切手が続々と確認され、現在に至っています。

オークション誌の小さな図版から、こうした発見をするなんて専門家はやっぱり違います。
このオークション誌には、こうした重要性があるのです。
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" Philatelic Journal " の快挙 [雑記]

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僕の友人が発行する" Philatelic Journal " が、現在オーストラリアで開催中の国際展で、LVを受賞しました。
これは、日本郵趣界の快挙の1つと言って良いと思います。

一般的に、国際展の文献部門で上位入賞は極めてハードルが高いものがあり、しかも研究書ではなく雑誌での受賞ですから、ほんとにスゴい出来事です。

LVと言えば、切手ではそこへの到達が1つの目標になり、努力すればなんとかなるものです。
これが文献部門では、そうはいきません。
切手と文献とではLVの質的な価値が全く異なります。
これは、ホントに凄いことです。
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高額の大ブロック [雑記]

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画像は、2012年の全日展で金銀賞を貰ったネパールのセカンドシリーズを扱った作品からの1ページ。
7リーフ目のもので、1930年発行切手全員集合の顔見せ的なリーフです。

このリーフのミソは、高額の1ルピーと5ルピー切手のブロックで、特に5ルピーの10枚ブロックはなかなか得難いもの。

このリーフがもし、2パイスとか4パイスの大ブロックだったとしたら・・・。
ハッキリ言って、魅力無しのつまらんリーフになってしまいます。
普段家で楽しむリーフ限定であったり、定常変種の位置などを見せるとか、何かそうした理由が無い限り低額面の大ブロックを貼られても、全く有り難みがないですね。

こうしたリーフを作るのなら、入手の難しい高額面の大ブロックで存在感を出すのが常套手段。
そうした意味では、見本的なリーフになったかと。
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新小判2銭(2) [日本切手]

昨日の続きで、別のリーフです。

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僕のような身分では、木綿紙なんてのはもちろん持ってないので、このリーフが赤2銭のトップページになります。

単片はどうでもいいのですが、東京ボタのカバーの方は明治16年3月1日の使用例で、発行から3ヶ月目のもの。
僕のレベルでは、このカバーで取りあえずは満足してます。

こうしてたまにリーフを見返してみると、安いチョロ消しを買って、基本的な紙質と目打を揃えてみようか。なんて思ったりします。
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新小判2銭 [日本切手]

このブログで、日本切手の中で話題の少ない切手の1つが小判切手。
なぜなら、話しは簡単で持っていないから。

だけど単純に「持っていない=好きでは無い」という図式は成り立たなくて、正直なところ「持っていない=高くて買う気が起こらない」である。
何しろ、外国切手収集の合間に買える様な切手が少なくて・・・。

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上の画像は、超々貧弱な小判切手のページから新小判2銭(タイトルではU小判ですが)の後期普通紙と最後期普通紙のページです。
偶然のように集って来たものを整理しただけなので、何とも言えないリーフですが、いつからあるのか「朝鮮 仁川」の丸一印が便号空欄とロ便の2枚があります。

今度作り直すときは、後期、最後期ともにカバーを入れて各リーフを独立させるとよいかも。
何で最初から、そうしたリーフを作らなかったのでしょうかね。
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早朝の配達 [雑記]

9日の日誌で、明治時代の配達の事に触れたけど、『スタンプレーダー』297号(1984年1月号)の「郵趣反古集」38に澤先生が面白いことを書かれていました。

出典は明かされていないのですが、当時の郵便配達夫の証言として「まだ何処の家も寝て居る。起きない、起きない、何程戸を叩いても起きない。トントントン、郵便!郵便!トントントンでは容易に起きない。今度はドンドンドン、郵便!郵便!郵便!矢張り起きない(以下略)」。
東京の支局では5時45分からの配達があったそうで、上のような話になるのでしょう。
それにしても、朝の早くから迷惑な話かも知れません。今だったら確実に苦情もの。

同じ記事の中に、手紙に貼り付けられた付箋に「安眠、事故ニ依リ持帰リ候也」というものがあると記されています。
いくら起こしても、受取人が起きて来なかったのでしょうね。なかなか面白い実例です。
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声の郵便 [日本郵便史]

『いずみ』をパラパラと捲っていたら、その211号(1981年10月号)に下のような記事が載っていました。

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どんなものかと言うと、早い話しがレコードに録音して配達してくれるというもので、手紙の文字に替って、レコードの声を届けるというもの。
まぁ、アイデア商品の1つだと思いますが、商品としてはどうでしょうかねぇ・・・。
僕はちょっと使いたくないですねぇ。
実際に使用実績が上がったとも、とても思えませんよね。

そして下の画像が、そのレコードを入れて届けた封筒だそうです。

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専用封筒で銘版が「日本郵声工業株式会社製」となっています。「郵政」ならぬ「郵声」と、茶目っ気はなかなかのもの。
そして、封筒の左端には「郵声録音盤在中」と印刷されています。

ところで、現存は何通ぐらいでしょうか。
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逓送速度 [日本郵便史]

昨日、丸一形印の束(けっしてリーフに整理されていません。束で収納です。)を見ていて、気が付いたのがこの葉書。

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別にハンコが珍しいわけではないのですが、逓送の早さに驚いたのです。
データは以下の通り。

抹消印:「信濃 軽井沢/廿九年六月十五日 イ便」
配達印:「武蔵 東京/廿九年六月十五日 ヲ便」

つまり、軽井沢を朝一番で送りだされて、最終便に間に合ってその日のうちに配達となっています。
明治時代は便数も多かったので、こうした対応が可能だったのですね。
今では、確実に翌日配達です。

それにしても、いつも思うのですが、本当に夜遅くまで通常配達していたのでしょうか?
今の感覚では、とても信じ難いことだと思いませんか。

この葉書で気になったのが、「内国通運会社軽井沢代理店」の朱色の角印。
手紙の内容と、どうも一致しないハンコなのです。
何か逓送に関係するものではないか?なんて考えたりもするのですが・・・。
どうでしょう。

明日は、お酒を飲みにいってしまうので、更新はありません。
次回は、土曜日です。
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丸一形印ワ便 [日本郵便史]

一頃、10年位前でしょうか、話題になったのが丸一形印のワ便。
その当時、正直なところ「なんで、そんなに話題になるのかなぁ・・・」という程度の意識で、特に気にも止めていませんでした。

と言うことで、別に意識して買ったわけではないけど、気がついたらストックされていたのが下の画像のもの。

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到着印に「越前 西田中」という、越前でも大局ではない局の配達印が押されていたのが、購入した理由だと思います。

で、今日の主役のワ便の方ですが、データは下記の通り。
「武蔵 東京神田/廿七年三月十■日ワ便」印色は茶色。
残念ながら日にちが「十」しか読めないのですが、通信文の日付が「十五日」になっており、配達印の日付が「十七日」なので、「十五日」で間違いないはずです。

東京神田のワ便は26年1月の使用例が確認されていますから、偶然入手したデータとしては27年3月でも意外とよい日付だと思います。
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エジプト1953年 [外国切手]

画像の切手は、1952年にイスラエルとの戦争に負けたエジプトの自由将校団が起こしたクーデターにより失脚した、ファルーク1世が描かれたていた切手。
「描かれていた」と過去形なのは、見ての通り抹消されてしまっているから。

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この時に発売されていた全ての切手が、抹消扱いとなったと見えて下の航空切手も・・・。

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ご覧のとおりです。
集めて楽しい切手ではないですね。当たり前ですが美しくないし。
きっと、手紙に貼っても腹が立つだけだと思います。

ところでこの人、切手収集家としても有名でしたね。
コレクションは新政府によって売られてしまいましたが。

クーデターが起こった時には死刑になるのを恐れていたらしいですが、亡命が認められて喜んでいたと伝えられています。
その亡命先では、美食の限りを尽くして暴飲暴食三昧で、死んだのも食事中だったとか。

僕だったら、切手を眺めながら死にたいかも。
オークションで落札のショックで死ぬというのも、後世に語り継がれるかも知れませんねぇ。
家族は、恥ずかしいかもしれませんが・・・。
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帝政ロシアの初期切手 [外国切手]

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帝政ロシアの初期切手は、難しい収集対象として有名ですが、切手自体は悪くないと思います。
黄や緑、青、灰、サーモンピンクなどクラシック切手でありながら色彩がカラフル。それでいて、図案にはクラシック切手独特の重厚さが漂っています。

僕などは、カタログコレクションの穴埋めでヒーヒー言っているレベルなので関係無いのですが、この切手の専門コレクションは大変だと思います。
何が大変って、単価もそうなのですが、何しろ切手の大きさが小さすぎ。印面の大きさで1.6×2.2センチ程度ですからねぇ。
アルバム作りに苦労しそうです。下手するとリーフがスカスカの空白だらけになってしまいますからね。

切手を気に入るかどうかが収集を決める一番重要な要素ではありますが、こうなると切手の大きさも無視出来ません。
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『北陸郵趣』723号 [文献]

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世の中、ゴールデンウィークなのですが、僕には縁のないウィークです。
今日は、展示解説をしてきました。
昭和30〜40年代の福井の鉄道写真の解説で、北陸トンネルの開通により、今では廃線になってしまった旧北陸本線の写真が多数展示されているので、皆さん熱心に聞いて下さいました。
長距離列車に連結されていた郵便車の写真もあるので、ちょっと脱線して鉄道郵便のシステムも・・・。

全日展関係の記事を入れたため遅れていた『北陸郵趣』723号が、そろそろ読者の皆さんのお手元に届く頃と思います。

今号は、「全日本切手展2013参観記」と「夢現・北陸郵便史 金沢・・・市内局のザワめき」の連載3回目。
前者は、ジャペックス、全日展後の恒例記事で僕が参観の復習の意味で毎回書かせてもらっているもの。僕の目線で気になるデータなども記録させてもらっています。

後者は、今回は最終回の表だけですが、連載(1・2)ともう一度振り返って読んでいただくと、わかりやすいと思います。
1つの地方都市に限って、丸一印の細分類にこだわってデータを集積し、不明部分を予測した記事は、手法を真似ると他の都市でもなかなか面白いことになると思います。
お金のかからない、ご当地物の新しい取組みではないでしょうか。
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ホワイトアロー [日本切手]

秀山堂(「しゅうざんどう」と呼ぶ人が居ますが、「しゅうさんどう」が正しい読み方です)切手については、子供の頃から変わった日本切手として各種入門書を読んでで知っていたけど、本格的に知ったのは『フィラテリスト』に掲載された「破れた2枚の秀山堂切手 秀山堂塔30銭切手の全貌」(1976年)を読んでから。

最初に読んだ時には、子供だったので難しかったけれども、年齢を重ねて読み返す度に理解度が深まっていきました。
そして、切手の方はと言うと専門的に集めているわけではないのですが、それでも長い間に少しは集ってきました。

この切手には、ユニークな名前のついた変種が幾つかありますが、その中から今日はホワイトアローをご紹介。
下の画像がそれです。

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秀山堂切手は実用版の作り方の特徴から、ある変種が複数のポジションに出現することがあります。
例えばホワイトアローは、上の画像の銘版付ペアの切手では左側の切手、つまり45番切手に現われています。このペアはS版と言われている版のもの。

対して、単片の切手の方は21番切手のものです。左側がストレートエッジになっているので、すぐにわかりますね。
この21番切手がホワイトアローになっている版はN2版のものですが、N版の多くは1版で、2版は少ないようです。
N2版には、この他に「ダブル・ホワイトアロー」と言う、ホワイトアローが横に2個並んだ珍品がありますが、それの入手は容易ではなく、僕などが持てるものではありません。
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" The Local Posts of London 1680-1840 " [文献]

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自分の専門として、ハンガリー19世紀の郵便印をテーマとしています。
最初は、切手発行後も含めて収集し作品を作っていたのですが、国際展に出すうちにちょっと路線が変わって来て、特にプレ・スタンプに力を入れるようになりました。
今では、18世紀をその前史として、ハンガリーにおけるプレ・スタンプ郵便のような趣になっています。

この収集テーマでは、あくまでハンガリー全体が範囲となっていますから、トリエステ、ルーマニア、スロバキア、チェコの一部なども含んだ広大な地域が対象となっています。
そんな収集範囲なので、これとは逆に「極めて限定的な地域の郵便史ってどんなだろう」という興味から入手したのが本書で、タイトルが示しているとおり、1680年の創設から1840年の廃止までのロンドン市内郵便160年の歴史が記されています。

本文は91ページですが、前半は郵便史の流れが概説的に記され、後半では各種郵便印を多数の図版を用いて詳細に解説するという2部構成になっています。また、巻末には書状受取所の位置や、その期間がまとめられており、資料性にも優れたものとなっています。

大都会ロンドンの郵便史なので、マテリアルも入手しやすいと考えがちですが、どんな収集分野でもそうであるように、なかなか金銭的に得難い部分があることは確かです。
それでも、本書を読むとサブ・コレクション的に無理をしない範囲で、1都市の郵便史に挑戦してみようという気にさせてくれます。

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宮本百合子「郵便切手」 [文献]

「郵便切手」と言う短編小説をご存知だろうか?
著者の宮本百合子と言えば、日本共産党の元書記長であった宮本顕治の妻として、またプロレタリア作家としても文学史上に知られています。

そんな作家の目から見た郵便切手について書かれたのが、昭和21年に雑誌『労働者』に掲載された「郵便切手」です。
刑務所暮しであった宮本顕治に手紙を出すのに使用した郵便切手にヒントを得て執筆したもので、「乃木」「東郷」「稲刈り」「女子工員」の図案についてや、郵便料金の移り変わりと絡めて社会情勢を論じるなど、郵便切手についてプロレタリア作家ならではの視点から語っています。

この小説の本質に共鳴するかどうかは別にして、まだお読みでない方は、小説に現われた郵便切手として一読しておいて損は無いと思います。
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ジュニア層の発掘 [雑記]

ちょっとしたきっかけがあれば、切手収集を始める子供がいるのではないか?
そんな気持ちから、下の画像のようなフリーペーパーが発刊されました。

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A4判、28ページのオールカラーです。
フリーペーパーなので、もちろんタダ。
発行部数が、なぜか1万部という膨大な数です。

発行者曰く「これを手にした中から、数人でよいから収集家の仲間入りをしてくれたらいい」と。
ちょっとスゴすぎな行動力です。

子供が切手収集をしないのではなくて、切手収集を知らない子供も多くいると僕は考えます。
今の世の中、ゲーム機や切手の多種・多発行ばかりが切手離れを招いている原因ではないでしょう。
切手収集家が、そうした趣味の世界を知らせようという努力を、どれだけしたでしょうか?
切手教室にしたって、使用済切手を配って、リーフの作り方を教えて・・・。などという30年も、40年も前から何ら変わらない、苔の生えたような代り映えのしない教え方だったりしませんか?

本書は、コレクションとしての切手収集をやさしく解説しています。
僕だったら、本書を切手教室のテキストとして使用したり、また、切手を題材とした子供向けの歴史教室を開いて、その時に配布したりすると思います。

収集家自らが切手の楽しさを伝えないで、一体誰が伝えるというのでしょうか。
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