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配達局名の記載 [日本郵便史]

いつも、色々とお世話になっている方から、氏の著作物を沢山いただきました。
その中に『たんぶるぽすと』Vol.38 No.8に掲載の「配達局名の記載された書留封筒」という記事があり、類例として震災葉書による配達局名が紹介されていました。

震災葉書には府県名や番地を記載するように、その項目が予め印刷されており、第1行目には確かに(配達局名)と印刷されています。
このことについては、全く気にも留めていませんでした。記事によると、きちんと配達局名が書かれている使用例は少ないと指摘されています。
そこで、手持ちの震災葉書を調べてみたら確かに少ないのです。百数十枚の中から4枚だけみつけました。

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画像は、その中からの1枚で、第1行目に「福井県(三国局)」と()内に配達局名が書かれています。

マテリアルを丁寧に観察することを、痛感したしだいです。
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『英国切手部会報』187号 [文献]

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留守にしている3日間でドッサリと届いていた郵便物の中に、『英国切手部会報』187号がありました。
主要な読み物は、「ダウニーヘッドのあらまし」2と「マーチン十二進法通貨シリーズ」で、どれも読み応え十分です。

ページをパラパラ捲っていると、1枚の紙が挟まれていました。
「2012年イギリス切手部会切手展出品申込み書」と書かれています。毎年の恒例行事で、今年の会期は4月15・16日。僕も何回か出品させていただいたことがありますが、申し訳ないけど今年は無理です。
今年は、数年振りに全日展に出品を考えているので、4月と言えば作品を作っている真っ最中ということで、二股はちょっと無理。

前回は、「ネパールの郵便略史」みたいな作品を出させてもらいました。
イギリス部会の良いところは、イギリスのみに固執しないところですね。これはミニペックスもそうですし、部会報もそうです。
居心地の良い部会です。
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「郵便の全国実施と均一料金制」 [雑記]

昨日に続いて逓信総合博物館ネタです。
2階の小スペースを利用して『近代郵便のあけぼの展』第2期「郵便の全国実施と均一料金制」が開催されています。第1期については昨年の9月14日のブログでご紹介しましたね。

なにぶん小さなスペースなので、展示資料が多いわけではないのですが、それでも普段は見ることができない貴重な実物資料が幾つも展示されています。
明治5年に出された郵便の全国実施が記された布告には「後志、胆振を除く」となっており、明治初期の北海道の状況(見渡す限り原野なんでしょうね)が浮かんできます。また「伝馬所廃止の神奈川県庁達」、「郵便馬車の広告」、「郵便線路図」明治5年、「駅逓局出張大阪郵便局より陸路並鉄道等各地へ毎日差立時間記」明治10年なども興味深かったですね。

実物の消印も何点か展示されていました。
東京ボタの日付印データは「一五・四・三〇・イ/東京」、KG型「岩代・信夫・六・二一/福島」、DKN3「下野・七・五・六/日光」、記番印「メ第五号」田鶴浜、「ハ一五」木下、「ハ二二」大和田、不統一印「長久保/検」、「隈府/検査済」がありました。
このうち、日光のデータがおかしいような気がするのですが、メモする時に間違えたかなぁ。でも確認したから、そんなことはないと思うのだけど・・・。
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『宮廷衣裳の美〜切手で旅する「雅」の世界〜』 [雑記]

逓信総合博物館で、『宮廷衣裳の美〜切手で旅する「雅」の世界〜』という特別展が開催されています。
全日展が開催される1階ホールが会場なので、特別展会場としては如何なものかと思いますが、館内に特別展示室を持っていないので仕方がありません。

展示品のうち、着物関係は全く興味が無かったのですが、郵趣関係品も副題に「切手」と出ているだけあって、けっこう出品されていて楽しめました。
切手の原画類は、最近はよく展示されるようになったので、目新しさは無かったのですが、記念絵葉書の原画類は面白かったですね。
「大正大礼記念」の2種は原画が、「昭和大礼記念」は「紫宸殿の儀式」が原画で、「五節の舞」は下絵でした。「五節の舞」は木版による多色重刷りという手の混んだ印刷なのですが、その版木が3点と印刷工程の見本帳まで見ることができました。この辺の展示が最大の収穫だったですね。

会場では、スタンプラリーが設置されていて、6ヶ所のスタンプを集めると絵葉書が1枚もらえるとのことで、皆さんけっこうされていました。というか、10〜15人ほど居た参観者全員が押していたのじゃないかな。僕ももちろん完収で、下の画像がその台紙。(三つ折り台紙の一部分)

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誤報か、デマか? [雑記]

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戦前の有力な郵趣情報誌の1つに名古屋漫歩クラブの『漫歩』があります。
その昭和7年3月発行の第2巻第3号に面白い記事が載っています。下の画像がそれで、拡大すると読めると思います。

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話しの内容は、新聞に「新しい局が開局し特印が使用される」という趣旨の記事が載ったので、特印の押印を依頼したところ、新聞の誤報で返送されてきたというもの。
この誤報の局は、文面からするとかなり山の中らしく、当日はわざわざ出向いた人もあったらしいですね。第三者的には、ご苦労な話しで済みますが、当の本人は怒り心頭だったことでしょう。

郵趣の世界にも、いつの時代も誤報とかデマはあるようです。誤報は許せますが、意図的なデマは絶対に許せませんね。

明日から27日(金)まで、所用で出掛けますので更新はありません。ネット環境は持ち歩いているので、気が向いたら更新するかも知れませんが、可能性は低いでしょう。ということで、次回の更新は28日(土)になると思います。
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局式凹版 [日本切手]

局式凹版。『日専』の表記では「グラビア(局式凹版)」となってます。
この表記は、局式凹版の性格をよく現していると思いますね。「凹版とは名がつくものの、グラビアなんだよ」みたいな感じで。
グラビアだって凹版の亜種なのはわかっているけど、ここでは一般的に凹版とグラビアは分けて考えるので、それに従います。

局式凹版の強みは、グラビアでありながら製版工程でグラビア・スクリーンを用いないので、線が途切れないということ。しかし、彫刻凹版ではないので細線までは再現できません。

日本のグラビア印刷切手の第1号は、皆さんもよくご存知のとおり、昭和11年7月発行の第1次国立公園「富士箱根」。この時は、まだ印刷局にグラビア印刷機が無かったので、大日本印刷へ外注しています。確かスクリーンは180線じゃなかったかな。
その後、幾つかのグラビア切手が出されたのだけど、技術的にクッキリ、スッキリとはいかないで、特に当時は切手の中でも重要な要素であった菊の紋章の評判がよくなかったとか。
そのような経緯があって、研究のうえ開発されたのが局式凹版だそうです。

じゃあ、その問題のグラビアの出来ってどの程度だったのだろうかと思い、ルーペで覗くと確かに悪いですね。ブチブチです。
そこで、今度は局式凹版を覗いて見ると「オオ、素晴らしいじゃありませんか!」
こんな風に考えて見比べたことなんてありませんでした。局式凹版誕生の一側面を見た思いがします。

画像は、左が第1次国立公園「富士箱根」1 1/2銭のグラビアで、右が「満州国建国10周年」2銭の局式凹版です。

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タタキ売り [雑記]

『大蔵省印刷局百年史』第1〜3巻。
昨年、あるオークションで無入札の即売、投げ売り2000円です。
1冊の値段じゃありません。3巻セットの値段です。
集め方のようなハウツー本は売れるのですが、こういう硬い本はさっぱりダメらしいですね。

それでもって、こんなに良い本が2000円でタタキ売られていたんじゃ可哀相なので、有り難く買わせてもらいました。
元々、この本は持っていたので2セットになってしまったのだけど、「そのうち、欲しい人が出て来るだろう」という魂胆で買い取ったわけ。こういう買い方はよくしますね。相場よりかなり安く売られていると買い取って、後日、必要な人がいたら譲ります。もちろん買値+送料で。だから儲けはゼロ。
一時期『日本切手精集』は4冊余分にありましたし、ウッドワードの翻訳本なんか6〜7冊あったこともあります。

今回の『百年史』ですが、めでたく行き先が決りました。
まだ若い大学2年生で、日本切手全般の収集家ですが、特に菊〜大正切手に興味を持たれている方です。こうした若い方には、ハウツー本だけではなくて、基本図書を読んで一般的な知識を身につけてもらいたいと思います。つまり、幅広い収集家になってもらいたいのです。
ということで、今回は送料こちら持ち。その分赤字だけど、まぁいいや。
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『Encyclopedia of Plate Varieties on U.S. Bureau-Printed Postage Stamps』 [文献]

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『Encyclopedia of Plate Varieties on U.S. Bureau-Printed Postage Stamps』Loran C. French著。日本では「フレンチの版欠点百科事典」と呼ばれています。

内容はというと、タイトルが示すように米国切手の版欠点を集成したもので、1894年から1974年までの切手を扱っています。基本的に画像のような図とプレート番号やポジションなどの基本的な事柄が示されたリストからできています。

「まぁ、なんてたくさん」と言うか、「死ぬほど」と言うくらいの量が登録されていますが、落ち着いて考えると印刷数が膨大な米国切手が分母ですから、その中から該当切手を探そうと言うのは至難の業だと思いますね。だから、「あー、こういう切手があるんだ」とか、ネックになるような版欠点を知識として覚えるために使った方が、本書は実用的だと思います。それとか、たまたま自分のコレクションに紛れ込んでいた版欠点を確認するとか。
けっして、ここに載っている版欠点を探そうなどとは思わない方が良いでしょう。時間と労力の無駄だと思います。欲しければ、切手商から買った方が手っ取り早いと思います。

日本には、こうした本がありませんね。
そういう視点から見ると、やっぱり日本の郵趣界は底が薄いのではないでしょうか。
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長崎県立図書館 [雑記]

長崎県立図書館の郵趣文献の充実は素晴らしい。
どのくらい素晴らしいかと言うと、一回アクセスして蔵書検索すればすぐにわかります。
この郵趣文献は別に長崎県立図書館が買い集めたものではなくて、ある有名収集家(収集家であり、消印研究者)が寄贈したものなのです。

膨れ上がった文献をどうしようかと思うのは、ちょっと熱心に文献を集めている方なら誰でも思うことだと思います。すぐ思い浮かぶのは、処分(売却・廃棄)するか、寄贈するかでしょうね。寄贈のばあいだと、じゃあどこに寄贈するのかで、これまた頭を悩ませます。

僕も、この先増え続ける蔵書を数十年後にはどのようにしようか?などと考える時がありますが、やっぱり1つのまとまった郵趣アーカイブスとして受け入れて欲しいな。と思います。
細切れにされて、あちこちに売却されるのは、ちょっと避けたいですね。
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全日本切手展2012 [雑記]

印刷の関係で遅れていた『全日本郵趣』1月号が到着。
この中で「全日本切手展2012」の開催について公式に発表されました。
主催者が、今回から日本郵趣連合に変更され、7月13日(金)〜16日(土)までが会期で、逓信総合博物館が会場だそうです。また、開催概要など詳細については後日発表されるとのこと。

昨年中に公式発表を待たないで、単なる憶測で書かれた幼稚な話しが一部のネット上に流れているのを見て、「全日展について無知な人がいるものだなぁ」と思い、郵趣誌に掲載するための仮題「全日本切手展小史」を書き始めています。詳細に書くと焦点がボケてしまうため小史にとどめ、そのかわり経緯や流れがわかるような記事にするつもりでいます。


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第1次新昭和15銭のバラエティ [日本切手]

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画像は、第4コーナーの8枚ブロックで、用紙は灰白紙で、色は薄い緑。このブロックの左上の切手、つまり87番切手が今日の話題の切手になります。

第1次新昭和15銭というと、30銭と共にバラエティが多い切手として、色々と楽しめます。取りあえず適当に10枚ほど買えば、その中に大抵はなにかしらのバラエティが入っていると思います。

そんな切手の中でも、1枚の切手の中に4カ所もバラエティを含んでいるポジションは、なかなか無いですね。面白い切手です。
1.前島密を囲む左枠の中央部が切断。
2.額面数字「1」の左の枠に外側に向けた突起有り。
3.額面数字「5」の中に白点有り。
4.右枠に全体的にヒビ割れ有り。
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終っちゃいましたが・・・ [雑記]

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良い企画をいつも見せてくれるサントリー美術館ですが、昨日まで開催していた「殿様も犬も旅した 広重 東海道五十三次」も見応え十分でした。

収集家ならぱ、日本切手の中に広重の作品が沢山あって、中でも東海道五十三次を題材としたものが多いことはよく知っていますね。
この東海道五十三次ですが、普通、皆さんが思い浮かべるのは保永堂版で、その他にも版があることは意外と知られていません。

今回の展覧会では、保永堂版と隷書版がそれぞれ見比べられるように展開されている点が特徴で、今までに無い展示でした。
また、関連資料として販売の際に袋として使用されていた「絵袋」という超貴重な資料も展示されていました。

今回の展示は、国際文通週間を収集している方にとっては、教養を高めるためには必見の展覧会だったと思います。
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鰹釣り50銭 [雑記]

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切手なのか、切手じゃないのか、集める人によって判断がわかれるのが、この鰹釣り50銭。
逓信省からの発注書が現存しているので、発行はしなかったけど、一応は正式に発注されたものですね。

この切手(ここでは一応、切手としておきます)の存在を最初に郵趣界に報じたのが、昭和25年7月21日発行の『京都寸葉』第218号で画像のもの。さすが早耳の武田氏と言ったところでしょうか。
それで、武田氏がどこからこの情報を得たのかというと、これが僕にはちょっと意外で小島勇之助氏だそうです。

武田氏と小島氏というと、郵趣界において対極に位置しそうな人なのですが意外な組合せ。
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第1次ローマ字入り15円の白線 [日本切手]

第1次ローマ字入りの仮貼リーフを見ていたら、こんなのがありました。

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見たらすぐにわかる別納シートからの銘版10枚ブロックなのですが、銘版左隣の97番切手になんか白線らしきものが見えたので、ルーペで除いたら「日本郵便」の「便」字と額面「15」との間に、ニョロニョロの白線が・・・。なんか亀裂が入ったような感じの白線です。

性格は不明ですが、こういうのって、知られているのでしょうかね?
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チベットの郵便配達夫 [雑記]

僕がネバールを集めているということは、それなりに認知されているらしく、初対面の人からもネパール切手の話題を振られることがあります。
ただ困ったことに、比較的高い確率でネパールとチベットを混同されることがあって、ちょっと辟易する時があります。
日本では、ネパールの初期切手よりも、チベットの初期切手の方が有名らしく、それと間違えられるのです。

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上の画像は、よく間違えられる方のチベット初期の郵便配達人です。
よく見ると、チベット風の肩掛けカバンのようなものを持っているので、きっとその中に郵便物が入っているのだと思います。
日本では珍しい写真なので、ご覧下さい。
出典は "The Collectors Club Philatelist "31巻4号です。この号には、ラサの郵便局舎をはじめ貴重な写真が何枚も掲載されています。
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『昭和切手 誕生から追放まで』 [文献]

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これまでの全日展の特別展示のうち、何回かのものについては記念出版物として刊行されています。
これらの中には、一生自分には縁が無いようなマテリアルがズラズラと並んだものもありますが、今日ご紹介する1986年の全日本切手展特別展示『昭和切手 誕生から追放まで』は、その対象が身近なものだけに、他のものよりも遥かに親しみやすい記念出版物です。

昭和切手の専門家でも、意外と本書の存在を知らない人が多いのに驚きます。まぁ、JPSの出版物のように大々的に売り出すものではないので、それも仕方がないところかも知れません。

本書は、サブタイトルに「誕生から追放まで」と記されていることからもわかるように、作品の構成はトラディショナルなものではありません。その点においては、名鑑のような本を変に期待するとハズレとなってしまいます。
本書の良いところは、昭和切手出現前夜から追放までの過程を、歴史ストーリー風に構成した点で、一覧すると昭和切手物語が理解できることだと思います。
このような作品構成をとっていることから、構成方法に関しては競争展への参考には全くなりません。

画像は写真編ですが、別冊として解説編が付属しています。
写真編のマテリアルを1点1点見て行くと、さりげなく昭和切手の名品の数々が、そこかしこに散りばめられており、作品の構成者である大門会の恐ろしさがよくわかります。
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チェコスロバキア1925年 [外国切手]

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画像の切手は、チェコスロバキアが1925年に発行した通常切手シリーズからの1枚。描かれているのは、マサリク大統領。
日本では、チェコスロバキアと言えプラハ城切手ということで、この切手は地味な存在の日陰者みたいな切手です。
この切手は安価なので、外国切手をゼネラルで集められている方なら大抵は収集に加えられていると思います。中には何枚もお持ちの方がいらっしゃるかも知れませんが、重品とされる前にもう一度、よく観察されることをお勧めします。

まず最初の着眼点は、定番の目打でしょう。13.5の細かい目打と、10の粗い目打があると思います。
そして、印面上部の文字列にも注目して下さい。下の画像のように、上段列の「T」が、下段列の国名の「V」の文字のどこにあるのかが分類の大きなポイントです。
よく下の画像を見て下さいね。最初に見た目打とこの文字列の組合せで、同じように見えた切手でも実は4グループに分類されるのです。

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こういう例を見ていると、重品扱いには最大限の注意が必要なのがわかります。
これと同じ趣旨のことを、三井高陽さんがよくおっしゃっていますね。
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『逓信事業周知用機械日付印ハンドブック』 [文献]

機械印の調査を進めていらっしゃる林久夫さんから、私家版の『逓信事業周知用機械日付印ハンドブック』をご恵贈いただきました。

こうした機械印があることは単発的には知っていましたが、こうしてまとめてみると沢山あるのがわかります。ただ、この分野は国内でも数人の方がデータを集めているだけではないかと思いますし、機械印の中でもマイナーな分野ですね。

データとしても貴重なものですが、集められた所見なども記録され、単なる資料集で終っていないところが、なかなかの労作です。

僕は、この分野に関してはマテリアルが全く手元に無いのですが、一読したところ、郵趣史の資料としても本書が極めて有効であることがわかりました。これは、副次的かも知れませんが穴場的な使用方法です。
本書に収められている消印は、逓信事業関係の各種展覧会の会場で使われたものが多いので、いつ、どこで、とのような展覧会がおこなわれたのかを知るのに、非常に良くまとまっているのです。

本書の刊行が計画されていることを聞いたのは2年ほど前ですが、このたび刊行になったことを率直に喜びたいと思います。

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切手展ネーミングのルーツ [切手展]

切手展の名称には大きく2種類がある。1つは「●●切手展」というシンプルなもので、もう1つは「●●pex」というもの。
このうち、前者はストレートな名前なので古くは戦前から使用されています。では、後者はどうなのでしょうか?後者については、毎年恒例の「Japex」があるので、「まぁ、そんな辺りからかなぁ」と思われる人が多いのではないでしょうか。

戦後開催の切手展史をいろいろと見て行くと、僕が確認できた一番古い例は、1955年に名古屋で開催された「Napex' 55」でした。この「Napex' 55」というのは、戦後郵趣史の中でも画期的な出来事として有名な切手展で、文献では「Napex'55の記録」として刊行されています。古くからの収集家の中には、リアルに体験されている方もいらっしゃると思います。
たぶん、その影響を受けてではないかと思いますが、これ以後に地方の小規模、あるいは中規模の切手展でも「●●pex」という名称が使用される例が出てきています。

で、ここから先がまだよくわからないのですが、この「●●pex」を誰が導入したのか?という問題。
このことが気になって十数年になるのですが、いっこうに解決できないでいます。
この「Napex' 55」は全日本郵趣連盟主催の「第2回郵便切手展」という非競争展の略称で、東海郵趣連盟が当番連盟に当りました。第1回は1953年に大阪で開催されています。

これは全くの推測なのですが、1951年にホノルルで開催された「ハワイ切手100年切手展」に日本も招待され、郵政省から記念や公園切手の原画、小島勇之助、三井高陽、吉田利一、三島良積、八田知雄、金井宏之、大川如水の各氏が作品を出品しています。作品は郵政省切手係長だった中村宗文氏が搬入し、会期中は滞在し切手展の視察をおこなっています。どうも、この辺りから日本に戦後の海外切手展情報がいろいろと入り始め、その結果として「●●pex」というネーミングが導入されたのではないでしょうか。
最初に書いたように、これはあくまで現段階での推測なので、今後も資料の入手をおこない確定していきたいと思っています。
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切断! [日本切手]

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画像は、Ameripex'86でシーゲルが開催した "The Isleham Collection of Classic Japan" のカタログ。
ちょうど、この国際展を参観していて、会場のシーゲルのブースでもらったものです。

このカタログは重要で、画像にある和紙30銭左2列縦MLL目打のシートが未裁断の状態で姿を現した最後のものなのです。確かこの時に160000ドルで落札されたと思います。手数料込みでドル換算レートが185円程度だったので約3000万円ぐらいですかね。
この時に日本へ帰ってきたのですが、すぐに切断されて何人かの人のコレクションに入り、それが切手展で展示されたのを見た人も多いと思います。

このシートは、それ以前にはビュルスコレクションに入っていて、金井スタンプが1963年に開催したビュルスセールのロット227として売られているのですが、その当時は日本にまだこのシートの重要性に気付く人がいなくて、海外へ渡ってしまい長いこと消息不明となっていました。それが突然こうした形で現われたのです。

現存1枚の特殊なシートだったので、切断されてしまったのは残念ですね。
僕は切断されてしまうなんて考えてもいなかったので、切断されたという話しを聞いた後に、切手展で実際に無惨な姿を見た時には「あー、本当に・・・」とビックリしたものです。
資料としての重要性と、コレクションとしての姿のバランスは難しい問題です。
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陸軍穿孔切手 [日本切手]

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別に意識して集めたわけではないけど、気がつけば穿孔切手がそこそこ手元にあります。
画像の穿孔は陸軍省のものだけど、抜けが悪くてよくわかりませんね。裏から見た方がちょっとは見えそうです。陸軍省のものは数枚持っているのですが、どれも抜けが悪くていけません。画像のものでもよい方です。

台切手は、ご存知のとおり第2次昭和切手の大東亜共栄圏図案のもので、陸軍省にはピッタリの図案と思ってご紹介するしだい。
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機関車トーマス切手帳 [外国切手]

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機関車トーマスは、今や日本では大抵の人が知っているキャラクターですね。
僕が最初に知ったのは、今から20年ほど前に鉄道好きの長男がテレビで見てからです。たしか「ひらけ!ポンキッキ」じゃなかったかな?
その当時はビデオに録画してよく見てましたね。おもちゃも買いましたし。あまりにも繰り返し子供が見るものだから、そのテーマ曲が僕の脳内メモリにセットされちゃって、仕事に行っても脳内でテーマ曲が流れるほどでした。
そんな彼も今ではJRで車掌をしていて、今日は特急の「しらさぎ」に乗ってます。

画像の切手帳はマン島が1995年に発行した機関車トーマス切手帳です。
マン島では、この前年にもトーマス図案の切手を発行していて、元祖トーマス切手発行国になっています。
切手帳の裏表紙にはソドー島(物語り上の架空の島)の平面図も入っていて、なかなか楽しい切手帳です。

なんで、こんな切手帳が手元にあるのかさっぱりわからないのですけど、たぶんテレビのトーマスに引きずられて買っちゃったのではないでしょうかねぇ。
ちなみに、僕はコードンが好きでした。何となく性格が似ているので。
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「おしどり5円」こんなの見つけました [日本切手]

第1次円単位の5円「おしどり」の仮貼帳を眺めていたら、こんなのを発見しました。

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青版の右辺中央付近に白点です。けっこう大きくて肉眼でもよくわかりますが、鯛中宏一氏『おしどり5円』には未採録のようです。もっとも、今となっては「本書も時代遅れ」と囁かれているので、すでに登録済のバラエティなのかも知れません。
スクリーンの角度は一般的な茶90度、青45度のものですが、ローラー印のデータを見ると昭和41年の使用例であることがわかります。
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乃木2銭の色 [日本切手]

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乃木2銭は、人物は別にして好きな切手です。
そもそも、赤い切手という点がいいですね。何しろ目立つし綺麗です。同じ赤系統である新小判2銭もよいですが、それよりも乃木の方が目立つのではないでしょうか。

画像は、色調分類を未使用単片で示したリーフなのですが、外国切手収集家の立場からすると、これでもヒーヒー言いながら揃えたものです。だから、日本切手専門家から見ると不十分な感じを受けると思いますが、そこはご勘弁を・・・。

色調で難しいのは、どこまで分類するのか?という点だと思います。
分類のための分類だと、極端な言い方をすると幾らでも分類できる可能性がありますが、その分類が合理的な穏当性を持っていなければ意味がないと思います。
例えば、乃木のばあい戦争末期のボロボロの印刷の切手だと、たった1枚のシート上でさえ色調が異なる時がありますから、これを分類したところで何の意味があるのか?ということになります。

正月に赤い切手。いいですね。
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リトアニア・第5次臨時切手 [外国切手]

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リトアニアの切手は、その歴史を見ているとけっこう面白い。
画像の切手は、出来具合から見ても納得できると思うけど、1919年に緊急に発行された臨時切手。

以下に、ちょっとだけリトアニア初期切手の発行の概略を記すと、
1.第1次世界大戦時にドイツ切手に "Postgebiet Ob. Ost." 加刷を使用。
2.ドイツが撤退したことにより切手が皆無となったことから、1918年12月27日に10・15skの臨時切手を発行。
3.12月30日、第2次臨時切手20・30skを発行。
4.1919年2月4日、第3次臨時切手10・15・20・30skを発行。
5.2月10日、ベルリンにて印刷の正刷切手が、各額面1万枚発行される。
6.2月18日、正刷切手の不足により、第4次臨時切手15・15・20・30・40・50skを発行。
7.3月5日、ベルリンに追加発注した正刷切手が到着しないため、第5次臨時切手10・15・20・30・40・50・60skを発行。

ザッと書くと上のような流れになるのですが、画像の切手は7の段階の第5次臨時切手になります。

このうち、2とか3の段階の切手は高額品ではないのですが、発行数が少ないので偽造品が多く、鑑定書付でないと危なくて手が出せません。もちろん僕は持ってませんが。
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"THE ROYAL PHILATELIC COLLECTION" [文献]

イギリス王室の切手コレクションが、ロイヤル・コレクションと呼ばれていることは、切手収集家なら誰でも知っていますね。
このコレクションが閉鎖的なものではなく、極めてオープンな存在であることは、世界各国で開かれる国際展に、よく出品されていることからわかります。
とは言っても、公開展示の時はその膨大なコレクションの中から、厳選された極めて少数が展示されるだけですから、コレクションの全体を知ることはできません。

1954年に出版された "THE ROYAL PHILATELIC COLLECTION" は、そんなロイヤル・コレクションの骨格を知るには唯一とも言える文献です。
本書は、縦36.5cm、横25cm、厚さ7.5cm、重さ5.9kgを測る大冊(下画像)で、両手で持たないと運べません。

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本書の内容は、コレクションの成り立ちに始まり、主要品の紹介など、同コレクションの概要が記されていますが、圧巻はコレクションのリスト(下画像)にあります。

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リストと言っても全ての収集品を記録するには膨大な量になるため、地域別、国別に主要品のみがリストされています。そのリストは、記号などを用いて極力わかりやすく記されており、一見したところではオークションカタログを詳しくしたような感じを受けますが、通して見ていくと、当該国のコレクション内容について、ある程度の傾向がわかるように作られています。また、要所要所には図版(下画像)が配されています。

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さて、そんな本書ですが、過去に何度か入手を試みたものの、いずれも縁が無く未入手だったのですが、昨年、偶然にも大阪の古書店でモロッコ革装丁の特装版が入手できました。
お値段的にも超破格であり、特装版の5分1、安価な普及版(通常装丁の普及版がある)と比べても半値以下という、欧米市場では考えられない値段でした。
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