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「塔30銭と版分類」 [文献]

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昨日の日誌で紹介した、大村公作氏による塔30銭のタイプ分類の発見を報告したのが、上の画像の報文です。
『スンタンプコレクター』No,317号で2002年9月号ですから、もう一昔も前になります。
たったの2ページですが、塔30銭にとっては原図の相違に迫る重要な報文。

こうして教えてもらうと、「こんな目立つことが、何で今まで気がつかれなかったのだろう?」なんて思えて来ます。
世の中の重要な発見って、意外とこんな感じのことが多いですね。
観察力と注意力の問題なのでしょうか。
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塔30銭横抜櫛形目打 [日本切手]

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上の8×2枚ブロックをリーフに整理したのは約20年前で、書込みには櫛形13×13.5目打として分類してあります。
上耳は付いているのですが、残念ながら両耳が無いので、櫛形目打としたのだと思います。

新井紀元氏の『30銭塔切手の版別分類』を読んで、ハタと気がつきました。
14ページの「30銭塔、各版とタイプとの関係」の表から判断すると、点の有無により分類すれば、櫛形の中から横抜け目打を抽出出来るのではないかと。
何しろ点無し版は3版しか無くて、そのうち目打入りの版は「ハ」版と呼ばれるものしかなく、しかもそれは横抜き目打です。

で、片っ端からリーフ上に貼られている櫛形13×13.5を覗いていくと、数点のブロックが見つかり、そのうち最も大きい塊が画像のものです。
下の画像が、点無し部分の拡大画像。
これで、単なる櫛形目打から横抜け櫛形目打へと細分類することができました。

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この点の有無による分類の発見者は、大村公作氏。
この切手についての重要な発見の1つに位置づけられる成果です。

この点の有無についてですが、稀に印刷状態で本来あるものが欠落してしまうことがあるので、単片などの時は、気をつけられるべきでしょう。
全体的に鮮明な印刷ならば問題ないですが、ちょっと荒れた印面のばあい、ブロックで観察すると他の切手では点が有るのに、極一部に点無しのものを見ることが出来ます。
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ナ第五号 [日本郵便史]

房1銭切手に記番印「ナ第五号」で、近江国柏原局のもの。

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近江国柏原というのは、現在の米原市内で、JRに乗ると米原から名古屋方面に2つ目の駅です。

随分前の話しですが、記番印を集めている知人にたまたま手元にある記番印を見せたところ、大変な驚きようで教えてもらったのが、この1枚。
なんでも、近江国の記番印で難関局の1つだとか。
その日に家に帰ってから『日本記号入番号消印型録』で確認すると、確かに星5つの最難関にランクされています。

きっと、こんなのを店頭で買うと高いのでしょうね。ウン万円か?
安物の手彫切手専門でも、長い間集めていると、こんな切手がいつの間にか入っていたりします。
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もっと楽しまなければ・・・ [雑記]

ズボラなので、本当は切手収集には向いていないのでは?なんて思うことがよくあります。
例えば、入手したマテリアルをいつまでも放置したままであったり・・・。
本来だと、すぐに仮貼などしなくてはいけないのですがねぇ。友人の多くは、皆さん「すぐにやる派」だと思います。

その積み重ねだと思うのですが、競争、非競争に関わらずに、コンスタントに出品される方が多くいらっしゃいます。
僕などは、これも全然ダメ。
「出品しなきゃ」と、気ばかりは思うのですが・・・。

競争展は、それなりの準備(マテリアルの入手も含めて)が必要なので長期の準備が必要ですが、非競争のワンフレームくらいは、もっとコンスタントに出品できるようにしたいですね。
例えばミニペックスに出品するとか。

意外と郵趣を楽しんでいない自分を発見しました。
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英国切手部会ミニペックス [切手展]

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全日展の会期にあわせて、目白の切手の博物館では、毎年恒例の英国切手部会ミニペックスが開催されていたので、全日展会場から友人達と参観に。

僕も過去に何回か出品させていただいたのですが、今回は出品できませんでした。
来年こそは出品いたします。

今年のテーマは「地方切手」ということなので、その関連作品が色々と出品されていましたが、その他にも、ミニペックスならではの自由な発想の作品や、本格的なトラディショナル作品など、この部会の層の厚さがわかる展示で楽しめました。

一番元気な部会だと思います。
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『北陸郵趣』の原稿 [雑記]

昨日と今日で、『北陸郵趣』に掲載する恒例の「全日展参観記」を書き上げました。
連休が入るので、もしかすると(たぶん)いつもより、発送が若干遅れるかも知れませんが、ブログをご覧の読者の方には、その旨ご了解ください。
たぶん、郵趣界で最速のレポートになるのではないかと思います。

切手展参観の後には、「参観記」がすっかり恒例化していますが、復習を兼ねてけっこう自分のためになっているのです。
ただし、その効果も数ヶ月ですが。
なにしろ、すぐに忘却の彼方へ飛んで行ってしまうので・・・。

愚文ですが、お読み頂けると幸いです。
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1つの試み [雑記]

子供の切手離れが叫ばれて久しいけど、今でも、その原因を日本の切手発行政策にだけ、一方的になすり付ける人の何と多いこと!
そのような人に限って、上から目線で発想が貧しい。

切手収集には、新切手を未使用で1枚ずつ買うほかに、安い使用済単片で収集する方法だってあるし、バカみたいな新切手など無視して、さまざまなアプローチが幾つも考えられます。
そうしたことを考えないで、「収集家は悪くない、悪いのは新切手発行の仕方」だと、わけのわからんことを言うだけ。
収集家自体に、努力が足りないと考える人は少ない。

1年ほど前から、自分達で子供に切手の楽しさを伝えようという人の考えを聞いており、近々その構想の第一弾が具体化するようです。

僕は、県立の博物館で学芸員という仕事をしていますが、子供向けに切手を材料に使ったキッズ企画を考えることもできますし、周囲を見回すと意外と「こんなタイアップがあったのか」と思うことがあるかも知れません。
方法は何であれ、切手と子供達を繫ぐ糸口は、私達の周りに色々とあると思います。

そもそも、昔と違って手紙に切手を貼ったことが無い子供なんてのが、わんさか居ます。
ですから、とにかく切手の存在を知ってもらい、そして切手には様々な種類や図案があることを知ってもらうことが大切だと思います。
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全日展 [切手展]

全日展、行って来ました。
今回も、いろいろな方にお世話になり、ありがとうございました。
中には、勉強用にと作品コピーのお土産まで用意してくださった方もあり、有難いと同時にお手数をおかけして申し訳ありませんでした。

帰って来てさっそく『北陸郵趣』用の原稿書きを始めているのですが、今年はどうしたことか田沢、朝鮮、選挙に複数の作品が出品されており、偶然なのは当たり前ですが、なんだか示し合わせたようで「えっ!」という感じ。

作品については、『北陸郵趣』掲載の参観記が恒例となっているのでここでは触れませんが、会場全体の印象は暗すぎです。
その暗さをカバーするためにスポットライトを多用しているのですが、これがまた昼光用ではないため全くの逆効果で、微妙な色調を見るには全く使い物にはなっていませんでした。
それに熱量が大きく、ライトの間近にあるマテリアルへの影響が、他人事ながら心配になってきます。

土曜の夜は、「外国切手出品者の会」の恒例行事である宴会がありました。
宴会では、真面目な作品作りの議論はもちろんのこと、その場限りのディープな裏情報など、話題満載です。
切手関係の宴会では、この会が最も有益かつ楽しいものです。
2次会では、食い足りない連中はパスタを食べ、デザートを食べ、ドリンクを飲み、はち切れんばかりの腹に。そうかと思えば、1次会で日本酒をガンガン飲んだO氏は zzz・・・。向かいに座っていた結婚式帰りと思われる姉ちゃん達には、いったいどんな連中に見られていたのでしょう・・・。
ホントは、皆さんジェントルマンなんですよ。単なる酔っぱらい集団ではないのです。

まぁ、とにかく楽しい2日間でした。
皆さん、ありがとうございました。
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明日は全日展 [切手展]

明日から全日展参観です。
作品名と審査結果は、すでにわかっているので、皆さんの作品がどんな内容か楽しみです。
今回も多くの友人たちと郵趣談義ができることを楽しみにしていますが、『北陸郵趣』用のネタ探しに多くの時間を使います。まぁ、これは毎度のことなのですが、けっこう骨が折れる仕事なのです。

夕方からは、「外国切手出品者の会」の宴会。
これも全日展・ジャペックスでの恒例行事なのですが、ある意味これが一番の楽しみかも知れません。
ということで、お酒を飲んじゃうので明日の更新はありません。次回は、日曜日の夜になります。
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ハンガリーのプレ・スタンプ・カバー [外国郵便史]

たまには、こんなカバーでも話題にしておかないと、皆さんに収集分野を忘れられてしまいそうで・・・。

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画像のカバーは、宛名書きも丁寧だし消印もスッキリとしていて、見ていて気持ちがいいですね。
タイプCと分類されている楕円形印の使用局は "Grwardein" 局のもので、同局は現在ではルーマニアに属しています。宛先は Dosvetzin。

消印内の装飾の上部中央にはポストホルンが描かれていて、いかにも19世紀っぽい雰囲気を出しています。
残念ながら、この時期の消印には日付が押されることが極めて珍しいのですが、大抵のばあい文面に発信年月日が書かれているので特定できます。
このカバーのばあいは1830年2月20日です。

赤いクレヨンで書かれているのは「4」で、料金を示しています。
当時の郵便料金表で見ると、重さ1/2Lothまでの4〜6郵便局区間宛を示しているのですが、郵便線路図で確認すると、4郵便局区間であることがわかります。
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切手展作品と賞 [雑記]

気が付いたら、もう全日展が始まっていますね。
早くも参観された方がいらっしゃると思います。
入賞結果も発表されたので出品された方の中には、自己評価以上の賞の方も居れば、またその逆の方もいらっしゃることでしょう。

審査というのは、審査基準という一定の型にはめただけの結果なのであって、たとえ自分の思惑と外れたからと言って悲観することはないと思います。

また、その逆に効率よく集めることに主眼を置き、賞をもらうのに必要なマテリアルのみしか見向きもしない人がいますが、これなどは自ら収集をつまらなくしているように思います。
僕の知人に、リーフの構想(設計図)を先に作ってしまい、あとはそれにあわせてマテリアルを揃えていくという、自作高級図入りアルバム(?)的な集め方をしている人がいます。
ても、こういうのって集めて楽しいのでしょうかね?
僕は、まっぴらごめんですが。

僕などは、ある意味においては古い収集家なのかも知れません。
何しろ「ムダこそが楽しい」と感じていますからね。その変わり、お金もムダに使っています。
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第1次新昭和15銭のバラエティ [日本切手]

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手元にある第1次新昭和15銭のブロックを見ていたら、こんなのがありました。
右上のポジション83の「便」の字の左下に大きな丸いドットがあります。

シートの特徴は1α3版の特徴を持つのですが、一部のポジションにはこれと合致しない特徴もあるので、今後の検討が必要だと思います。
この辺の調査の進展はどうなっているのでしょうか?
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『太陽』1968年2月号 [文献]

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一般紙に組まれた切手特集号の中でも、『太陽』1968年2月号は、最も著名な特集号のうちの1つだと思います。
特集のタイトルは「名画切手のすべて」。
巻頭から36ページまでカラーで世界各国の美術切手がズラリと並び、その後55ページまでは各種記事が掲載されています。

全体の構成は以下のとおり。
「名画切手のすべて」、「名画切手への招待」山下武夫、「切手の出来るまで」、「世界の絵画切手」中島健蔵、「国王と争った一枚の切手」市田左右一、「郵便の文化史」春山行夫、「切手づくりあれこれ」木村勝、「切手に生きる国」野上素一。

巻頭の「名画切手のすべて」は、美術史の区分と流れに沿って展開されたもので、一般の人には美術切手による美術館として、切手の楽しみ方の1つをアピールするには良い仕上がりになっています。

また、他の記事も美術切手オンリーではなく、ほどよいバランスで切手収集の楽しみについて記されています。特に「国王と争った一枚の切手」では、市田左右一氏の独特で軽妙な筆に、氏の経験豊富なエピソードが綴られています。

巻末の編集後記が、本特集の真面目さを語っています。
カラー図版には、何枚かのアラブ土侯国切手も採録されているのですが、そのことについて「主要画家の代表作をもらさないように、また、なるべく印刷の美しい切手を選ぶようにしたため、アラビアの土侯国などで発行されたものも採用しました。」ときちんと断り書きがしてあります。
郵趣雑誌でさえ、こんな断り書きをすることはありませんからねぇ・・・。
さすがに『太陽』。真面目です。
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間に合いませんでした [日本ステーショナリー]

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上の画像は、議事堂2円はがきに名古屋中局の料金別納印が印刷されています。
「印面のあるはがきに別納印?」と思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、時と場合によってはこんなこともあるのです。

別納印と重なってしまい見難いのですが、日付印部分をアップすると下の画像のようになります。

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まったく読み難いですね。
データは「名古屋中/26/11, 2/前8-12」。
なんと、その前日からはがき料金は2円から5円にアップされています。

このはがき、裏面を見ると「温泉ご招待大特売会」の案内が印刷されています。つまり、お得意様宛の特売会の案内というわけで、印刷屋さんに頼んで印刷したもの。
印刷屋が仕事をしたのはもちろん旧料金の時だったので、料金改正がわかっていても旧料金のはがきに印刷しなければなりませんでした。なにしろ、額面変更の新しいはがきの発売は12月1日なものなので。
そんな状況だったので、差額分の3円を別納で対応したはがきということになります。

一般用には窓口では、料金収納印を押したものを販売しましたが、それと兄弟関係の使用例とも言えます。
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第2次新昭和35銭 [日本切手]

第2次新昭和35銭の図案は極めてつまらなくて、単に「35」と書かれただけ。
はがき料金の値上げに伴って、その加貼用として発行されたものなので、そんな図案も仕方がないかも知れません。実用的な切手と言うことでね。

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上の画像は、その35銭切手のまさに正しい使い方で、市場にはたくさんあります。

はがきが15銭から一気に50銭に値上げされたのが、昭和22年4月1日。そして35銭切手の発行は4月15日ですから、意外と対応が早い。
まぁ、15銭はがきが多量に在庫しているのですから、当たり前と言えます。

ところが、昭和22年代の使用例を見ると、この新発行の35銭よりも、第3次昭和の5銭と30銭の組合せとか、第3次昭和20銭と第1次新昭和15銭の組合せの方が多いような気がします。
どうも、35銭を貼った使用例となると昭和23年代の方が主流では無いかと・・・。

画像の使用例は、「織田/22, 5, 9/福井県」。
この時期の使用例は少ないと思いますが、どうでしょうか?
ちょっと、そんなことを思ってみました。
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『フィンランドの郵便と切手』 [文献]

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本書は、JPS北欧切手部会報の別冊のような形で、昭和55年に刊行されています。
B5判32ページの小冊子なのですが、内容はなかなか手際よくまとまっており、日本語で読めるフィンランド切手の解説書として重宝する存在です。

採録範囲は、初期切手から第3次ライオン紋章シリーズまでですが、タイプ別はもちろんのこと、実用版の作成過程、切手帳の製作方法など本格的な内容を含んでいます。
図や表なども適切に配置されているので、理解を容易にしており親切な編集になっています。

欧米の専門団体では、本書のようなコンパクトな解説書や研究書が作られ、配布価格も実費に近い安価であることが多いのですが、日本ではそうしたことが少ないと思います。
本書の出来は素晴らしいものなのですが、続刊が無く途切れてしまったのが残念ですね。
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今日の産經新聞から [雑記]

今日の産経新聞朝刊に、下記の記事がありました。

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ちょっと面白い記事ですね。
僕は、相手がロシアではないですけど、似たようなことがありました。

イギリスからの小荷物で、みかん箱程度のダンボール箱2個が発送されたのですが、届いたのは1個だけ。普通なら、同時に届くと思いますが・・・。
「何かの都合で、数日遅れかな?」と思い、待っていましたが届く気配は全くなし。

数週間経って、いよいよ怪しくなり相手に問い合わせても「2個発送で間違い無し」の答えです。
取りあえず、相手もロイヤル・メールに照会してくれたのですが、まともな答えが返ってきません。

もう、どうしようもないので諦めていたのですが、たぶん1年近くは経っていたとは思いますが、行方不明の残りが、ある日突然の配達。
最初は何が届いたのかわからず、梱包を開いたら「あっ!」と言う感じでしたね。
いったい1年近くもどこに抑留されていたやら・・・。

収集家は、国内・国際ともに郵便利用率が高いと思うので、皆さんもいろいろな経験があるのではないでしょうか。
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『消印とエンタイヤ150号記念写真集』 [文献]

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廃刊となって久しいですが、今でも現役のように使用することが多いのが『消印とエンタイヤ』誌です。これほど、頻繁にお世話になる雑誌も少ないですね。たぶん、刊行の趣旨がデータの集積にあったことが、使われ続けている大きな理由でしょう。

上の画像は、それの150号記念として昭和42年に刊行された珍品集合的な写真集。
そうは言っても単なる写真集ではなくて、巻末に詳しい各種データが付いているところが、いかにも『消印とエンタイヤ』というところです。

本書には35通の貴重な使用例が掲載されているのですが、この中から独断と偏見で僕の好みを2通紹介しましょう。

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このカバーは、龍48文1版1枚貼りの東京市内便という泣けてくるような使用例で、両かし→三田へ宛てたもの。篆書体の「東京検査済」印も、カバー全体のルックスも申し分ありません。

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上のもう一通の方は、藤沢→横浜長者町宛の龍200文2版1枚貼りで「藤沢検査済」印。この藤沢は、僕の実家(鎌倉)の隣町で、子供の頃から買物と言えば藤沢でしたし、高校の時には通学に利用していた駅なので、超馴染みの所なのです。

本書には、他に未確認であった使用例がそこかしこに収録されているので、鮮明な写真と詳しいデータを見ながら初期消印を堪能できます。
ただし、限定300部なので市場で見る機会は多くはありません。
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『毛沢東大躍進秘録』 [文献]

今日のは、郵趣本ではありません。
まぁ、書名を見ればわかりますよね。

1950年代末〜1960年代初頭に中国で起こった「大躍進」ですが、実体はその逆で大混乱です。
なにしろおびただしい数の餓死者の山を築き、正確な数字がわからないほど。
おまけに、人民公社や公共食堂というシロモノが社会混乱を引き起こしたのですが、この歴史は今の中国では子供達に教えないし、また一般の人達が知ることもできません。
中国現代史の正に闇のような存在で、この「大躍進」の延長線上に「文化大革命」があります。

で、この本ですが、ちょびっとだけ当時行われていた郵便検閲のことが出てきます。
先ほど書いたように、この「大躍進」では中国全土にわたって餓死者がドッと発生したのですが、各省では自分のところの実情を他省には知られたくないわけ。
つまり、自分の所は「発展(大躍進)している」と。なにしろウソどころか、大ウソを10倍にしたような、全くのおとぎ話の報告を中央に送っているのですから・・・。

そのため、他省へ出て行く郵便物の中に「餓死」とか「生活が苦しい」などが書かれていると都合が悪いわけで、そのために郵便検閲をおこない郵便の差し押さえをしていたそうなのです。
僕は、中国郵趣については全く知識を持ち合わせていないのですが、もし、この時のカバーが残っているのなら見てみたいものです。

本書は、591ページ。文藝春秋社からの発売で、定価2,950円。
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「ヒゲR」 [文献]

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旧小判5厘切手にある「ヒゲR」の定常変種は、子供の頃から知っていた。
と言うよりも、旧小判の変種はそれしか知らなかったですね。
つまり、旧小判を代表とする定常変種であったと言っても間違いないと思います。

上の画像の記事は、『切手趣味』Vol.61 No.6に掲載の近辻氏による「ヒゲR」についての報文で、この変種を確認した経緯が記されていて、なかなか面白い内容です。

報文を書かれたのは近辻氏なのですが、実際の発見者は谷喬氏であり、『日本切手明鑑』の編集の席上で、大蔵銘版の80面シート上で発見されたとのことです。
本文には、その後の展開を含めて小判切手研究史上有益な情報が色々と記されているので、小判切手収集家の方には一読をお勧めします。
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『三井高陽切手コレクション名品展 栄光のドイツ郵便と日本手彫切手の精選』 [文献]

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ブログでは一応「文献」として分類していますが、性格的にはパンフレットの領域です。

財団法人三井文庫別館には、以前はよく通いました。
常に開館というわけではなくて、年刊で半年程度が開館日だったと思います。

今では、日本橋に立派な三井記念美術館が出来てしまったので、新井薬師駅近くの別館での展示がなくなってしまいましたが、展示施設の移転と同時に切手の展示は大幅というか、ほとんど壊滅的に無くなってしまったのが、収集家にとっては痛いところです。

別館には切手室があって、手彫から外国クラシックまで綺麗に整理されたリーフが数百リーフを見放題でしたからねぇ。
僕にとっては、切手の聖地のような展示でした。

そんな別館では、時々切手の特別展も開催されており、その都度に8ページ程度のパンフレットを無料でくれました。

画像は、戦前のドイツと日本手彫切手の展示の時のもので、1〜6ページをドイツ切手、6〜7ページを手彫切手に割当ています。
ドイツ切手では、一般の人には理解し難いステーツ時代から統一までの移り変わりを、解りやすい地図や表を用いて解説しています。
また、在外地や植民地、船舶、軍艦郵便についても解説されており、これなどはドイツ切手を専収していない収集家にとっては、その概要を知るために有益な資料となります。

三井コレクションには、トゥルン・ウント・タクシス郵便の取扱所の90パーセントが揃えられているということで、三井高陽氏がいかにドイツ切手に力を入れていたのかを知ることができます。
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マーチン切手帳の表紙 [外国切手]

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画像は、マーチン切手帳の表紙から船関係のものを幾つかまとめたもの。
内容はプレ・デシマルで、1968〜70年のものです。

ペン画タッチのもので、この他にも建築物や野鳥、人物、馬車など色々なシリーズがあって、表紙だけでもけっこう楽しめるのが特徴です。
日本には、こうした発想のものがないので、日本切手オンリーの収集家にはちょっと意表だと思いますがどうでしょう。

さすが、切手帳王国の1つだけあって、収集心をくすぐる演出です。

以前にも書きましたが、僕の切手帳好きもこの辺りから入り込みました。
子供の頃(1970年代)のジャペックスで、今から思うとたぶん英国海外郵趣代理部のブースだと思うのですが、そこでまとめ買いしたのがそもそもの始まりですね。

なかなか良いと思いませんか?
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偽造品・・・だけど欲しいかも [雑記]

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日本切手の専門家なら、皆さんよくご存知の偽造品。
そう、あのStanley Bermanのコレクションに含まれていたものです。

消印の知識が無いと、引っ掛かってしまう典型的な例だと思います。
外人さんは、その辺が難しいのでしょうね。

和紙1銭の半截使用という珍品(?)なのですが、明治8年発行のはがきに明治7年の姫路の消印。
もはやこのレベルだと、ある意味において偽造品の迷品と言えます。

僕の偽造手彫切手のコレクションに加えたい逸品。

明日は、職場の宴会の日なので更新はありません。念のため。
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『英国切手部会報』194号

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昨日、『英国切手部会報』194号が到着。
今号の圧巻は、佐藤明夫氏による「ワイルディングシリーズ コイル切手」。同分野の日本語で読める文献としては最高の内容です。
と、言っても実際に読んでもらわないと、いくらここで内容を紹介したところで、話が伝わりませんよね。

で、皆さんに特にご紹介したいのは下の画像。

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4月20(土)・21日(日)と目白の切手の博物館で開催される英国切手部会ミニペックスの出品予定作品一覧です。
ちょうど全日展の日程とも重なっているので、地方から上京される方にはよい日程になっていますので、ぜひ足を運んでください。
全日展の会場からだと、地下鉄東西線1本で高田馬場駅に出れるので、駅から切手の博物館までの徒歩時間を入れても移動に30分程度です。

ご参観のほど、よろしくお願いいたします。
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「田沢切手論」 [文献]

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『カナイ・スタンプレーダー』No. 119(1969年)〜No. 134(1970年)まで16回にわたり、肥後増雄氏による「田沢切手論」という論考が連載されています。
内容は、田沢切手全般にわたって独自の研究成果を中心に詳細に記したもので、僕のような日本切手の素人にはなかなか難解な部分もあったりします。

この論考には紙質についても詳しく検討が加えられており、本論考の発表からだいぶ経ってから論じられるようになった、天野氏による田沢切手の紙質分類の嚆矢となった論考であることは間違いないと思われます。

ということで、以前に何人かの田沢切手専門の方に「なぜ、田沢切手では肥後論考を無視するのか?」と伺ったのですが、皆さんハッキリとは答えてくれませんでした。
どうもその辺の経緯がしっくりとこないのです。

先人の業績は大切にしないといけませんね。
論考を書くときには、ここからここまでは誰の業績で、ここから先は自分のオリジナルであることを明確にしてもらいたいものです。

田沢切手の紙質分類のオリジナルは、本論考に認められると僕は評価するのですが、皆さんはいかが?
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「日本の郵便葉書」 [文献]

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「日本の郵便葉書」は、昭和30年1月発行の『関西郵趣』第68号からの連載。
僕は、もともとステーショナリーは好きではなく、集めたことがありませんでした。少なくとも大学卒業するまでは見向きもしませんでしたね。

ところが就職して数年経った頃に、たまたま『全日本郵趣』に統合される前の第1次『関西郵趣』の創刊号からの完揃いを入手する機会があり、この連載を知るところとなりました。
読んでみて、とても面白く「なんで今まで、ステーショナリーに見向きもしなかったのだろうか?」と、ステーショナリー収集の楽しさに気付かされたのです。

逆に考えると、それまでステーショナリーの魅力を伝えてくれる文献に出会っていなかったということになります。

本書に出会ってからというもの、できるだけ未使用で揃えることを目標にしています。まぁ、これはまだまだ先の長い話というか、どこまで達成できるかが問題でもありますが・・・。

ステーショナリーには、専門カタログとか『日本切手名鑑』など、優れた概説書が何冊もありますが、おそらく、本連載以後に刊行された解説本の多くは、本書のスタイルを踏襲しているものと思えます。それだけ本連載は、基本文献として最も重要な存在に位置づけられます。
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