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ネパールのセカンド・シリーズ版欠点 [外国切手]

専門で集めているネパールのセカンド・シリーズ。
大きく分けて、イギリスのパーキンス・ベーコン社印刷と地元のカトマンズ印刷に分かれます。
何と言っても面白いのは、後者のカトマンズ印刷の方で、伝統的に熱心に収集されています。それに対して、パーキンス・ベーコン社製の方は、製造面はあっさりと、使用面でちょっぴり突っ込んでというのが、定番の展開方法。
でも、これはやっぱり仕方が無い展開なのですね。
カトマンズ印刷の方は、設備が設備だけにバラエティてんこ盛りだし、それに対してパーキンス・ベーコン社の方は、伝統的にきっちりと仕事をしてますから。

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上のブロックは、パーキンス・ヘーコン社による1935年印刷の2パイス切手なのですが、この程度のブロックでも意外と入手が難しいのが現実。
このブロック、印面をルーペでじっくりと観察すると、版欠点らしいものがチラホラと確認できます。矢印ラベルが貼ってある場所がそうなのですが、その一番上のラベル部分を拡大したのが下の画像。

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方形飾り枠の右上隅が欠けていますね。
このような感じの欠点が、ブロック上に散見されます。
意外とネパール切手のこうした研究が行われたことがなくて、僕の持っている文献や雑誌には載っていません。もちろん海外の切手展でも見た記憶がありません。

これを追求して行くにはブロックの入手が課題ですが、市場に余っているものではないので、その辺が泣き所。
よい展開に発展すればいいのですが・・・。
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ペニーレッド目打付の版別収集 [外国切手]

イギリスのペニーレッド収集で、取りあえずの目標は版揃えでしょうか。
日本の手彫青一の収集と似たようなものですね。
青一は、お高いものが多くて、僕なんかは「ヒーヒー」言いながら20年経っても、まだまだ先が見えてきません。
それがペニーレッドでは、ゴールまであと数メートルと言うところまで来ています。

下の画像は、そんなコレクションの中から219版。
センターが悪いですね。そのうちに取り替えようとは思っています。
右の画像は、版番号の拡大部分です。

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ペニーレッド目打付は、71版〜225版まであります。
こう書くと、手彫切手収集家ならば気が遠くなると思いますが、その大部分は安価で入手は難しくありません。
ただ、このうち77版は普通の収集家には入手できないシロモノなので、除外しておいた方がまともでしょう。
となると、ネックは最終の225版。サラリーマンであっても絶対的に無理な額ではないし、ちょっとした手彫の単片よりは安いのですが、それでも僕にしてみれば「ちょっと買うか」と言う額でもありません。

で、先に「ゴール手前数メートル」と書きましたが、僕の版別収集は77版と225版の2枚だけが抜けています。
画像の219版は、カタログ値では高い方から3番目ですね。もちろん使用済の話しですが・・・。
取りあえず、自分としては225版の入手で版別はゴールとしています。
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明治末期の偽造事件 [雑記]

今井修さんの執筆による『日本切手100年小史』という本があります。発行は1978年。
このブログをご覧になっている方の多くも、刊行時にお読みになっているのではないでしょうか?

この本に、以前から気になっている一文があります。
それは、123ページの「毛紙切手のおめみえ」の1行目です。
ちょっと抜き書きしてみると、「明治42年(1909)ごろ、現行切手に偽造品があるのではないか、と一時騒がれたことがあったが、実態がわからないままうやむやに終ってしまった。」

有名な菊切手偽造事件は大正2年ですから、あきらかにこれとは別の偽造事件として紹介されています。
悲しいかな、今井氏は出典を明記されていないので、何を根拠に書かれているのかがわかりません。

こうして書かれているのですから、必ず何かに記録されているのでしょうけど、何でしょう?
ずっと気になっているのですがねぇ・・・。
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機種依存文字 [雑記]

雑誌の編集をしていて、いつも困るのが機種依存文字を使った原稿。
編集の現場では、テキスト・スタイルのファイルを使うのが鉄則で、ワードとかのファイルでもらった原稿をそのたびに、テキスト・スタイルに変換しています。
つまり、ワードとか一太郎などのいわゆるワープロソフトは、そのソフト特有の情報が含まれているので、そのままでは編集ができないのです。
つまり、編集の一連の流れを示すと以下のようになります。

もらった原稿→テキスト・スタイルに変換→DTPソフトによる編集→印刷屋

そして、原稿書きの段階で機種依存文字を使われてしまうと、文字化けを起こして読めなくなってしまうのです。
この機種依存文字を使わないと言うのは、原稿書きの初歩的な約束事なのですが、意外と皆さん知らないらしく、人によってはガンガンと使ってきます。
それをこちらが1つ1つ確認しながら直して行くのですが、稀に修正漏れなどが発生してしまうのです。

このブログをお読みの皆さんの中には、様々な雑誌などに投稿される方も多いと思いますが、機種依存文字の使用をしないようにすると、編集者に喜ばれます。
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大統領シリーズの残骸 [外国切手]

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今年のジャペックスの企画の1つが、米国の大統領シリーズと伝え聞いています。
発行75年と言うことでしょうか。

小学生〜中学生時代に集めていた残骸の一部が画像です。
『スタンプ・クラブ』で、そそのかされて(?)集め始めたものですね。
郵趣会館の切手センター街の左側一番奥の店(旭スタンプ?)でよく買いました。けっこう貼り込み帖がありましたから。老夫婦の店だったと思います。

どうなんでしょう?大統領シリーズって。
伝統郵趣の手法で個性的なコレクションを作るには、ちょっと難しいシリーズのような気がします。
ただ、郵便史的には面白いでしょうね。時期的に米軍が世界中に展開していた時ですから、そうした方面からのアプローチはよいかも知れません。

今でも、好きなシリーズではあるので、人捻りあるコレクションに出会えると嬉しいですね。
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こうありたいのですが・・・ [雑記]

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文献の画像ですが、文献の紹介ではありません。
書名である「人生は切手とともに楽しく」。
いい言葉ですね。

恐らく、世の収集家の大部分の方は、この書名と同じ思いで収集をされているのだと思います。
もちろん、僕もそうです。

切手収集は、1人でひっそりとも出来ますが、それでは楽しさ半滅というか、3分の1ではないでしょうか。
僕は、やっぱり収友とワイワイやりながら楽しむのが好きで、ある意味、切手を通じて友人を増やすのが楽しみでもあります。

でも、良いことばかりではありませんね。
人が集れば、グループとか、組織とかが出来てきます。
そうすると色々な役があったりして、収集とは本質的に異なったところで問題が起きたりします。
そして、そうした問題は往々にして不快であることが多く、ちっとも楽しくはない。

これまでにも、大なり、小なりの組織で何度と無くそうしたトラブルを経験してきましたが、「まっ、しょうがないな」程度で、やり過ごして来ました。

ところが昨年経験した事件は、自分自身の中でこれまでのように「しょうがないな」というレベルではなく、本質的に「何のために切手収集をしているのか」とか、「何のための組織なのか」という根底を考えさせるものでした。

その結果として、自分として優先させることは「人生は切手とともに楽しく」であると。
そのために、切手に関係する幾つかの役職を辞めされてもらうことにしました。任期とか色々とあるので、今年から来年にかけて順番に降りさせてもらいます。

『人生は切手とともに楽しく』さすが、三鷹支部のネーミング。
星の数程ある郵趣書の中で、最も印象深く、忘れないタイトルです。
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秀山堂S版 [日本切手]

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最近、と言っても1ヶ月程前に作り直したリーフです。
秀山堂のS版。
「シュウザンドウ」と読む人が意外と多いですが、「シュウサンドウ」が正しい読み方です。

ご存知のとおり、この切手にはS版とN版がありますが、別に気にして集めていたわけではありませんが、単片切手を分類してみたらS版の方が多く集っていました。
実際の印刷枚数はどうなのでしょうかね。S版の方が多いのでしょうか?

それにしても、ちょっと詰め込みすぎました。
図を入れているので、こんなことになってしまったのですが、2リーフにするには足りないし、スカスカのリーフよりは良いでしょう。

塔30銭は新しい分類の解説書も出たことだし、整理し直しを考えています。完了目標は今年中。
20年振りの作り替えです。
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「龍五百文のタスキ落変種の発見」 [文献]

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『切手趣味』40巻2号(昭和30年2月)に掲載された「龍五百文のタスキ落変種の発見」。
龍500文第1版ポジション2の「タスキ落ち」と、ポジション3の「点タスキ落ち」は、龍切手を代表するエラーと言えます。
『手彫切手専門カタログ』では、どちらも1,000万の評価ですが、これがペアーとなると・・・。

この内、ポジション2の「タスキ落ち」エラーの発見者が山本謹一氏であることは、意外と知られていませんね。
ウッドワードの大著には載っていないので、ウッドワードの発見だと思っている方は少ないと思いますが、ドクター市田の発見と思われている方は、意外と多いようです。
山本氏は、手彫どころか現行切手までの大コレクターではありましたが、積極的にご自身で研究成果を執筆し、発表するタイプではなかったのが郵趣史の中ではちょっとマイナスかも。
本報告も、山本氏の筆ではなくて吉田利一になっています。
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オランダ・1924年シリーズ [外国切手]

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各国の切手をカタログ・コレクションとして集めていると、本格的に集めてみたいと思う切手が、そこそこ出てきます。
しかし、それを片っ端から手を出すのは資金的に現実的ではないので、他のテーマが片付いてからとか、余裕が出て来てからとなります。

オランダのウィルヘルミナ女王を描いた1924年シリーズも、そのうちに集めてみたいテーマの1つです。
このシリーズは、低額面がカモメ図案で、中額面以降が女王図案で、高額面はサイズが大形で中々よい切手。図案的には、イギリスのビクトリア女王図案にも負けないくらいだと思いますが、どうでしょうか。
画像は、最高額面の5gld の切手。

当初は、無透かしなのですが、中額面には1926年から透かしが入ります。
目打は、コンパウンドを含む幾つかの種類があるのですが、その目打ごとの製造数が知られているなど、日本切手には見ることの出来ないデータが出ています。

日本では、専門コレクションをほとんど見ない切手ですね。
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オーストラリアの国内航空便 [外国郵便史]

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フィラテリック・カバーっぽい印象を受けますが、戦前カタログ・コレクションの内なので個人的には許容範囲です。

貼付切手は、オーストラリアが1925年5月に発行した航空切手と、1930年7月に発行した加刷切手を1枚ずつ貼った5ペンス料金で、消印データは以下のとおりです。
Victoria 州 Melbourne 1930,8,14
Sydney 8,15(裏面)
New South Wales 州 Tooraweenah 8,16

差立地である Victoria 州 Melbourne と、宛先である New South Wales 州 Tooraweenah は、広いオーストラリア大陸の中では近距離で、当時、存在していたかどうかは解りませんが、現在では主要道で直接結ばれています。

このカバーで目についたのが、左下にある "VIA SYDNEY" と経由地をわざわざ指定しているところ。
差立地から宛地までは、ほぼ北上すればよい位置関係なのに、わざわざ遠回りしているのは、航空便に乗せるためだだったのでしょうね。
航空郵便黎明期の性格を現していると思います。
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「切手集め」から「郵趣」へ [雑記]

随分と前の話しですが、職場で切手収集について話題になったことがあります。
突然の話題だったので、もちろん、こちらも解説するための準備なんかしていません。
やはり口頭での説明より、実物を見せての方が良いので、翌日に国際展へ出した作品を持参しました。

昼飯を食べた後に30分ほど余裕があるので、そこでテーブル上に作品を並べて郵趣の楽しみ方について解説すると、皆の驚きようと言ったらスゴいもの。
つまり、皆さんは「切手集め」のことしか知らなかったのです。
まぁ、そりゃあそうですね。一般の人の中に「切手集め」を発展させた「郵趣」について知っている人が居たら、そっちの方がおかしいくらいです。

話しが前後しますが、ここでちょっと僕の立場を言わせてもらうと、僕は「切手集め」と「郵趣」を分けて考えています。
つまり、集めた切手をストックブックや缶などに入れて、枚数や種類を増やして楽しんでいる段階を「切手集め」。
「切手集め」を発展させて、切手に秩序を与えて分類・整理し、リーフ作成を行う段階を「郵趣」としています。
僕は、必ずしも「郵趣」が切手収集の全てではないし、「切手集め」だって楽しんでいれば、それはそれでいいと思っています。要は、自分が楽しめていればそれでいいわけですね。

で、話しを元に戻すと、僕の同僚は切手収集と言えば「切手集め」の段階しか知らなかったわけで、リーフに整理されたカバー類を見て「えっ、切手って、こういう楽しみ方があるの?」と、そこに居た皆が驚くわけ。

同僚は全員が研究職なので、その辺の飲み込みは早くて、ちょっと解説をすると「テーマを決めて、材料を集めて、収集を展開していくわけね」「切手展というのは、決められたルールの中で知識とかを競うわけだ」など、僅かな時間で理解してくれます。
そこで、最終的には「切手収集って深めて行くと、奥が深いし知的だねぇ」となって、ちょぅど昼休みは終りました。

先に記したように、切手収集の方法に唯一絶対的なものはありません。
ですから、ストックブックや缶に溜め込んだだけでもOKなのです。
しかし、僕の個人的考えでは、ある程度ストックブックなどに溜め込んだ人には、リーフに整理することをお勧めしたいと思います。
そうすることにより、1つの新たな世界が広がると思うのです。

最近は、僕のようなオッサンが声を掛けるのを躊躇するほどの若いお姉ちゃんが、新切手を買って行きます。その意味では、郵政の発行政策は当っているのです。
そうしたお姉ちゃんの大部分は、実際に切手を手紙に貼って消費するのが楽しいらしいのですが、ぜひ余った切手は溜め込んで、そしてリーフに整理して欲しいと思います。
僕の友人の発行する『stamp club』というフリーペーパーは、こうした「切手集め」の段階の人達に配られると良いと思います。

それと、もう1点。
リーフに整理して間もない人達向けの切手展や、オリジナルなローカル・ルールを作って、リーフ作り初心者が楽しむ競争展があったら良いと思いますね。
「○○が入っていないからダメ」などと、野暮なことは言わない切手展です。
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切手付封筒「塔1円20銭」 [日本ステーショナリー]

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塔1円20銭+清水寺2円+採炭夫50銭2枚=4円20銭の貼付料金。
消印は、神田局のローラー印で23年の年号はわかるのですが、日付が脱落してしまっています。ただし、裏面の書込みにより8月9日の差立であることは特定可能です。

昭和23年というと、7月10日に郵便料金の改正が行われており、第1種は1円20銭から一挙に5円へと値上がっています。この切手付封筒の料額印面は、旧料金のものですね。

このカバーを見ると、貼付切手は先に書いたように4円20銭なので、もし第1種であったならば80銭の不足と言うことで不足扱いのはずですが、そのような取扱の形跡は見当たりません。

と言うことは、他の種別であった可能性が大きく調べてみると、第4種が100グラムごとに4円なので、これに該当するものと考えられます。つまり20銭は加納ということ。
宛先から考えても、それで説明がつきそうです。

面白いのは、50銭切手で上の切手は私製目打付で、下の切手は普通の無目打。色調も上と下では異なるので、同一シートの切手でないことは明白です。
いかにも、その辺にあった使い残しの切手を貼って差出した感じがしますね。
だとすると20銭加納も頷けます。
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『切手で見るスイス』 [文献]

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本書は、切手を題材に様々な角度からスイスを紹介すると言う企画であり、その意味からも郵趣書と言うよりは、一般書と言えるかも知れません。

章立ては、「歴史と街」「自然」「政治」「経済」「社会と風俗」「文化」「旅」になっており、各章は幾つかのテーマから構成されています。そのテーマは全部で60を数え、各テーマを見開きで解説しており、その材料として切手を1〜3枚を使用しています。

その解説に用いられている切手の一部が使用済切手なので、その辺が難点と言えば難点だと思います。こうした性格の本に使用する切手は、やはり消印が邪魔しない未使用切手を用いるべきと思います。
ただ、巻頭には20ページにわたりカラー図版により、スイス切手が紹介されているので、一般読者にもスイス切手の美しさは十分に伝わるものと思います。

本書の発行元は酒田時計貿易株式会社という、切手商社でもなく、出版社でもない会社なのですが、時計流通業界向けPR誌に連載されたものを1冊にまとめたものだそうです。

本書は、スイス切手に興味のある方には、楽しく読んでもらえるものと思います。
発行は1973年、A5判、ページ数128ページ。
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長野の友人の所へ [雑記]

昨日、今日と長野の友人の所へ行ってきました。
と言うわけで、郵趣三昧の2日間。

震災の面白いコレクションを見せてもらったり、僕は最近になって再整理を始めた塔30銭のリーフを数リーフ持参し、それらを肴に郵趣談議です。
そのほか、ここでは書けない裏情報なども色々と・・・。

居酒屋→寿司屋→更にホテルに戻っても、延々と切手ネタです。
馬刺、岩魚の塩焼き美味しかったなぁ。

今日は、松代に連れで行ってもらったり、昼食は長野出身、埼玉在住O氏ご推薦の善光寺界隈の蕎麦屋で、これもうまかったなぁー。
長野はいいな。うん、また行こう。
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南方占領地フィリピン [日本切手]

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南方占領地入門には、フィリピンが一番適していると思います。
僕も安価で入手しやすいので、フィリピンの正刷切手から入っていきました。

上の画像は、長いことかけて1枚ずつ揃えて作ったカタログコレクションを、20年程前に作り直したリーフからの1枚。

集めたのは、小学6年〜中学か高校までのことだと思います。ですから、未使用・使用済の混合コレクション。
ハッキリと覚えているのは一番下の初日カバーで、このカバーの入手がきっかけで集め始めました。入手先は郵趣会館地下の切手センター街で、小学生の時です。

こうして思うと、小学生のくせに収集分野としてはマイナーな南方占領地正刷切手に惹かれるとは、随分と変わり者だったのでしょうね。
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『地図切手の世界』 [文献]

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高木実『地図切手の世界』は、1981年に日本交通公社からの発行。
僕は、地図切手は集めていませんが、本書は気に入っています。
特に第1章「"集める"愉しみ」は、どのような収集テーマでも共通する事柄であり、必ずしも収集家を対象としていない本書においては、一般の人に切手収集の愉しみを伝えるにはよく練られた内容です。

それ以降の、第2章「"眺める"愉しみ」、第3章「"顧みる"愉しみ」、第4章「"考える"愉しみ」の各章も、一般の人が興味を持って読める内容になっています。
即ち、「地図切手から何が解るのか」「何が考えられるのか」という視点から解説されており、トピカル系の解説書にありがちな、図案の解説に終始すると言う事典風な展開にはなっていません。

本書は、日本で発行されたトピカルをテーマとした解説書の中で名著と言って良いと思います。
A5判、本文198ページに巻頭カラー18ページです。

1985年に旺文社文庫から『小さな地図への旅』として改題され出版されていますが、巻頭カラーなど省略された部分もあるので、これから古書市場で本書を入手される方は、ハードーカバーの親版の入手をおすすめいたします。
文庫版には若干の補筆があるので、興味のある方は両方の版を揃えられてはいかがでしょうか。
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中国・第1回全国体育大会 [外国切手]

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画像は、中国が1959年12月28日に発行した「第1回全国体育大会」の記念切手16種セットからの2枚です。
左はパラシュート競技で、右は武術。
この他は、射撃、卓球、重量挙げ、体操、サッカーなど、解りやすい図案です。
武術と言うのは、日本の国体では剣道とか柔道があるので何となく解るのですが、パラシュート競技って何でしょうね?
今で言う、スカイダイビングでしょうか。

僕はこの切手については、図案よりも発行された1959年に注目しています。
1958〜1960年の中国は、大躍進運動による大混乱期で、どうでもよいバカ事業に大衆が大動員され、その影響で田畑は荒れ放題。餓死者が続出で、飢えた民衆により死体から人肉を食べることが行われていた時代。
そして、ノルマを消化出来ない民衆に対しては、暴行、殺害など普通です。
もちろん、そこは共産党ですから、そんな社会状況でも幹部のみは、特権を最大限に利用して贅の限りを尽くしています。

国がドン底の経済状態、国民が飢えに苦しみ餓死者続出のそのような時代に、日本で言えば国体のような全国体育大会の開催です。
よくやるなぁ・・・。
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フランス・パスツールの使用例 [外国郵便史]

有名な種蒔きの陰に隠れて、ちょっと地味な存在のタイプ・パスツール。
今日は、その使用例2題。

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最初は、45サンチームの1枚貼りの外国宛はがき使用例です。
消印の日付は、1924年12月30日でパリ市内局。
この45サンチーム切手の発行日は1924年8月7日なので、ぎりぎり発行年内のまぁまぁの使用例だと思っています。
この料金は、1924年4月1日〜1926年1月31日の期間。

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次は、同じ切手の2枚貼り使用例で、こちらも上と同じ外国宛はがきです。
消印は1926年8月10日で、90サンチーム料金というのは、このちょっと前の8月1日からの料金。
つまり、この使用例は料金改定10日目の使用例になります。

ここまで読むと、上の使用例と下の使用例の間に、もう1つの料金期間があることが解るでしょう。
即ち、1926年2月1日〜7月30日の期間ですね。
この期間の料金は75サンチームで、パスツールにも青の75サンチーム切手があります。
この75サンチーム期間の使用例、持ってないのです。
半年の料金期間なのですが、マジメに探すとすんなりと入手できるのかも知れませんが・・・。
集め方が不真面目なもので・・・。
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フランス・セレスの使用例 [外国郵便史]

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画像は、フランスのセレス目打付切手を貼ったアルジェリア宛のカバー。
5・15・40サンチームを1枚ずつ貼って、郵便料金は60サンチームです。

このカバー、マルセイユとボーン(現在のアンナバ)を結ぶフランス船内で投函されたらしく、その船内印がAの消印です。日付は1873年4月23日。
船内局では、切手への抹消権限がなかったらしく、切手の抹消は荷揚げされたボーン局でされています。Bの消印5015ですね。その時の証示印はCの4月25日。
そして宛地のチェニスへは4月27日に到着し、Dの消印が押されています。

このカバーを入手したのは、セレスとかナポレオンに興味を持ち始めて間もなくのこと。
最初は、この船内印とボーン局との抹消権限の関係がわからなくて、理解に苦労したことを覚えています。
色々と興味を持っていると、時間が解決してくれることが多々ありますね。
解ってしまうと「なんだ、そんなことだったのか・・・」と。

明日から日曜日まで、ちょいと長崎まで行って来ます。
というわけで、次回の更新は月曜日です。
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3冊目の『切手の愉しみ』 [文献]

市田左右一氏の著書『切手の愉しみ』は、日本で発行された一般向け郵趣書の中では、名著中の名著だと思います。
恐らく、この本を越える著作は今後も現われないのではないでしょうか。

僕が最初にこの本を読んだのは、小学校高学年の時だったと思います。
家にあったのを父親が探し出して来て、数冊の古い郵趣書と一緒にもらったものの中に入っていました。
市田氏ならではの収集体験やエピソードがてんこ盛りで、知らない間に「郵趣ってこんなものか」というのが解ってしまう本です。
もちろん技術書ではないので、アルバム作りとかそうしたつまらない話しは全く無くて「世界の郵趣界とはこんなもの」と言う視点が中心です。

下の画像は、父親から譲り受けたもので、何回も読み返しているのでボロボロになってきました。

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実は、上の画像の本は昭和38年発行の新教養選書として発行された再版のもので、下の画像が昭和33年発行の初版本なのです。

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再版本の方は、その発行に際して初版発行後の体験談などが増補されており、内容が厚くなっています。
もし、これから本書を入手される方は、ぜひ再版本の新教養選書の方を入手してください。

手元にある再版本の方が長年の使用でボロボロになりかけているので、先日、良い状態の再版本を見つけて入手しました。
これで、本書は3冊目です。

古書市場では、どうも初版本の方が多くて、再版本はなかなか出て来ないような気がします。
発行部数を調べたわけではないので、あくまで感覚的なことですが。
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スイス図入りリーフ [外国ステーショナリー]

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ボストークのスイス図入りリーフ。
僕が一番最初にスイス切手を買ったのは、中学1年の時。今から三十数年、四十年弱も前のことです。
あの頃は、各国のパケットをよく買っていました。
もちろんスイスもパケットからのスタートで100種入りの小さなものからのスタートです。

その最初の1枚が、画像の右上に貼ってある「ピッツ・バリュ峰」を描いた切手。バックのふじ色が強烈に美しい切手です。
スイス切手のパケットを開いて驚いたのが、噂には聞いていたグラビア印刷の美しさで、同じグラビアでもこんなに違うのかと、とても驚いたのを覚えています。

アルバムの中には、最初に手に入れたスイス切手として記憶しているのが今でも何枚かあります。
それらを見ると、なんだか思い出の切手みたいな気がしますね。
きっと皆さんにも、何でもないごく普通の切手なのだけど、そんな思いの切手があると思います。
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「大正天皇婚儀」切手の縦紙と横紙 [日本切手]

千葉県の某郵趣会の会報をいただきました。
その中でH氏が「大正天皇婚儀」切手の無加刷、支那字入加刷、朝鮮字入加刷、それぞれの縦紙と横紙の割合に付いて書かれており、その内容たるや豊富な収集歴と仕事柄から来る観察眼に感心します。

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で、上の画像ですが、僕の「大正婚儀」のリーフから朝鮮字入加刷の部分です。
左:縦紙、中:横紙、右:縦紙
実は、僕も以前に多少マジメに日本切手を集めていた頃に、縦紙、横紙を分類して集めていました。

H氏は最後に「縦紙・横紙のバラエティなど意味がない、と言う人もいます。しかし、誰にでも明確に分類出来るバラエティー。小判切手や旧毛紙切手の紙質の分類より、遥かにスカッと解ります。私は、大いにその違いを楽しみたいと思っています。」と結んでいます。
全くそのとおりだと思います。
さすがに奥の深い収集をしていらっしゃるH氏。
切手収集の基本ではないでしょうか。
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洋紙黄色2銭仮名入りの不統一印 [日本切手]

下の画像は、洋紙黄色2銭「ホ」の縦ペアで、白子の不統一印が押されています。
僕の手彫切手の中で、切手展で見るような見栄えのするマテリアルは、極々少数しか持っていません。そんな1枚がこの切手です。

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入手したのは、手彫切手に手を出し始めて間もない頃。
振り返ると、あの頃は手彫切手に対する自分の収集方針も無く、「皆もそうだから・・・」という、今から考えると信じられない理由で、こうしたものに手を出していました。
全くおバカちゃんなレベルでしたねぇ・・・。

僕にしてみれば、今とは違う、昔の残骸と言えるマテリアルです。
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エクアドル1938年 [外国切手]

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豪華な切手ですね。
1938年2月22日にエクアドルが発行した、「米国憲法150年記念」切手です。
製造は、アメリカン・バンクノート社。
印面の大きさが5×3.1センチもあるし、凹版×平版印刷の多色刷り効果が抜群で、実物は迫力十分です。

よい切手です。
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