SSブログ

明治のポスト [日本郵便史]

明治中期に国内各地で『商工便覧』という本が出されます。
その地方の有力商人達の店舗や病院などを、銅版画で紹介した本なのですが、これが意外と収集に役立ちます。

当時、これらの商人達の店先にポストを設置したり、店の一画を郵便切手売り捌き所にしたりしているので、よく見るとそんな光景が描かれているのです。

下の画像もその一つで、福井市内大橋詰にあった「駒屋」の店舗です。
「駒屋」というのは、江戸時代には藩札の発行を請け負うなど藩と密接に繋がった商人でした。
実際は見開きページで店舗を紹介しているのですが、画像では郵便ポストが描かれている右半分だけスキャンしました。

15135.jpg

これでは小さすぎるので、該当ヶ所の拡大が下です。

15136.jpg

ポストと、その右には開箱にやって来た集配人も描かれています。

あなたの地方の『商工便覧』見てみてください。
郵便局や、ポスト、切手売り捌き所を見つけることができますよ。
コメント(1) 

マルレディ封筒 [外国ステーショナリー]

ペニーブラックと並んで、有名なマルレディ封筒。
話のタネに1枚は持っていると面白いかもしれませんが、実態は余り人気がないようです。

ペニーブラックを1枚持ちたいと思う人は、イギリス切手収集家でなくてもけっこう居ますが、マルレディ封筒となると、まぁ、まず居ないというのが正直なところですね。

マテリアルとしては地味ですからねぇ。
切手のようなデザインではありませんし・・・。

当時の人が、この地味な封筒を楽しく、美しくしようと思ったのかは知りませんが、こんな封筒があります。

15134.jpg

上手いこと色を塗ってありますね。
きっとお茶目な人が差出人だったのでしょう。

こんなのが1通あると、コレクションの面白みが増すのですが、誰もが持てるものではありませんね。
でも欲しい・・・。
コメント(0) 

『肥後国熊本郵便局にみる明治前期の郵便』 [文献]

15132.jpg

立山一郎著『肥後国熊本郵便局にみる明治前期の郵便』。
こうした地方郵便史の著作には、二通りの出版パターンがあります。
一つは、コレクション本としてリーフ作品集としてまとめたもの。
もう一つは、マテリアルはもちろんのこと、各種資料をまとめて地方郵便史の解説書としてまとめたもの。

本書は後者にあたります。
俗な言い方ですが前者の場合は、財力があればなんとかなりますが、後者の場合は長年の地道な努力が必要となります。

本書の構成は、
明治前期の郵便事情
郵便印の変遷
郵便葉書と郵便封皮
熊本県の地方管内約束郵便
の4本が柱となっています。

既に知られている史料がベースになっていますが、その中から小まめに当該地方の関係記事を拾ってあり、なかなか面白く読まさせてもらいました。

ご当地郵便史を収集している方にとっては、地方郵便史のまとめ方として大いに参考になるものと思います。

オールカラーで、A4判139ページ。
5000円+税。
コメント(0) 

ストーブ列車 [風景印]

昨日から雪。
50センチほど積もりましたかね。
今年は暖冬で雪がなくて嬉しかったのですが、一変に憂鬱になってきました。

ということで、冬の名物「石炭ストーブ列車」です。
マスコミでもよく取り上げられるので、ご存知の方も多いと思います。
青森県の津軽鉄道の列車です。
その列車が風景印に描かれていて、下の画像がそれ。

15131.jpg

上部に描かれているのは岩木山で、下部にディーゼル機関車に牽引された3両の客車が描かれています。これがストーブ列車で、客車内に石炭を燃やすだるまストーブがあるのです。
よく見ると、客車の屋根に煙突が描かれていて、そこから煙が出ているのがわかると思います。

冬の観光資源として、五所川原にはなくてはならない存在なのでしょうね。
コメント(0) 

東京の地図 [文献]

明治時代の使用例を収集していると、必ず東京に関係したものが入って来ます。
東京発であったり、東京着であったり。また、東京府内発着便であったりすることも多くあります。

我々が持つ東京のイメージと言えば、例えば山手線にしろ中央線にしろ、その沿線は途切れのない街並みだと思います。

例えば、数年前までソニーの中枢が集まっていた大崎駅周辺と言えば、30年前はちょっとゴミゴミした雑居ビルがあったり、路地に入れば住宅地が広がっていました。そして今は再開発が進んでいます。
そんな所でも、明治時代は大崎村で完全な郊外の農村地帯でしたし、1日中買い物客でごった返す中野駅周辺だって中野村でした。

こんな調子ですから、明治時代の使用例を知るには、改めて当時の状況を知る必要が有ります。
特に郵便線路や逓送経路を考える場合には、当時のイメージが必須となります。
こんな時に一番身近な存在なのが当時発行されていた地図ですね。
明治時代の地図も、古書店や地図専門店に行くと色々な種類が売られていますが、各時代のものを揃えるのもなかなか大変です。

下の画像の本は、取り敢えず何か参考書として1冊持っていたいという人には、便利なものとして紹介できます。

15120.jpg

明治4、8、11、20年の区分図と、その他に28、40年の全図が収録されています。
コメント(0) 

スウェーデン・1858年12オーレ(2) [外国切手]

先日ご紹介した、スウェーデンが1858年に発行した紋章シリーズ・オーレ単位のリーフからの1リーフ。

15117.jpg

このシリーズには、大小合わせると多くの版欠点があり、専門書にはポピュラー・バラエティだけでも数十が登録されています。
こんな調子なので、当然、未登録のマイナー・バラエティが沢山あります。

マイナー・バラエティは、分類されていないことがほとんどなので、それこそオークションの写真をよく見ていると拾うことが可能です。

画像のリーフに貼り付けてあるマテリアルは、そうして購入したものなので、もちろんバラエティとしてのプレミアムは払っていません。
この12オーレ切手自体は、スウェーデン・クラシック切手の駄物なので、この1リーフで原価千数百円程度、2000円なんて払っていませんね。

外国切手ならではの楽しみ方です。
コメント(0) 

『切手商になる迄』 [文献]

15119.jpg

切手商の思い出話をまとめた本と言えば、世界的には『ナッソー・ストリート』が有名だし、日本では西岡氏の『切手商売六十五年』がよく読まれています。

本書の著者はルドルフ・フリードル氏で、20世紀初頭のウィーンで有名な切手商人。
今では、ヨーロッパの郵趣の中心地と言えばロンドンとパリですが、戦前ではウィーンも郵趣の中心として有名でした。

本書は文庫本サイズで25ページという薄さ。
しかも見開きで左ページに原文を、右ページに日本語訳を掲載しているため、実質はその半分の本文量しかありません。

本書には、著者が収集家であった19世紀後半の郵趣界の様子も触れられており、当時は子供でも珍品を除けば、ヨーロッパ全体のまとまったコレクションを作ることが可能であったことなど、今となってはウソのような時代であったことがわかります。

また、あのフェラリ伯爵との交友についても触れられています。
フェラリが、切手商から偽物も言い値で買い取っていた有名な話についても「偽切手を市場から引き上げて、経験の少い蒐集家に損害を蒙らせる機会を、切手商から摘むため」であったと証言していますし、フェラリの横顔についても触れられています。

本書は、小本ではありますが、今となっては中々知ることができない、百数十年も前の生のヨーロッパ収集界について知ることができる、貴重な一書ではないでしょうか。
コメント(0) 

スウェーデン・1858年12オーレ [外国切手]

画像は、スウェーデンの紋章シリーズ。
同国最初の通常切手シリーズである紋章シリーズですが、1855年のシリングバンコ単位と1858年のオーレ単位がありますが、画像は後者のオーレ単位のもの。
シリングバンコ単位はお高くて、なかなか手に負えませんが、オーレ単位ならなんとかなります。特に画像の12オーレは駄物として有名ですね。

15118.jpg

リーフは、その12オーレのトップページですが、リーフとしては未完成の発展途上のもの。
というのは、上部2列の単片の数を増やしたいのです。
12オーレというのは、当時の国内基本料金なので膨大な量が発行されています。ということは、お決まりの色調のバラエティが豊富というわけで、専門カタログには十数種類が登録されています。
どこまで集め切れるかはわかりませんが、取り敢えず異なった色調を貼り込んでいきたいとところで、そのスペースが空いているわけですね。

下のカバーは最も一般的な使用例で、送料込み日本円で千数百円で買えてしまうもの。
1869年の使用例ですから、日本で言えば龍切手の発行前。そんなカバーがこうして安価に楽しめます。
コメント(0) 

川崎の大形地名検査済印 [日本郵便史]

神奈川出身なので、ちょっとは神奈川の消印に興味を持っています。
ですが、集めてはいるわけではありません。念のため。

川崎の大形地名検査済印がユニークであることは、龍切手とか初期郵便史をテーマとしている方には有名です。
カバーは存在が知られていませんから、郵趣連合が刊行した『大型地名検査済印』には、もちろん未収録で、67ページに頭の部分のスケッチが掲載されているのみです。
このスケッチは、オランダの著名な郵便史研究者であったメッツェラー氏によるものであることが本文に記されており、鳴美の『郵便消印百科事典』にもその陰影が使用されています。

川崎の大形地名入検査済印を最初に確認したのは沢護氏で、その経緯などが『郵和』44号8ページに載っています。
それによると、氏がロンドンから取り寄せたアプ帳に龍200文1版縦ペアに、消印の右側半分が押されていたと記されています。
そして「川」の字の第2画目下端がハネていると、その特徴を記録しています。

ここに来て「アレ?」と思うのは、メッツェラー氏のスケッチは「川崎/駅」と明瞭な頭消しですが、沢氏のものは右側だけ。
しかもメッツェラー氏のスケッチには、沢氏が指摘した「川」の字の特徴が見られません。

ということは、メッツェラー氏のものと、沢氏のものとは異なるマテリアルだということになります。

『郵便消印百科事典』によると、メッツェラー氏のものは「龍200文単片」となっていますが、このデータの引用はどこからでしょうか?
『大型地名検査済印』には台切手の情報は載っていないのですが・・・。
しかも上枠を含む頭3文字「川崎検」(検は上部のみ)が単片上に収まるのか?

なんか、沢氏報告のものとメッツェラー氏のスケッチ報告が混乱しているように思うのですがねぇ。
どうなんでしょうか?
専門外の素朴な疑問なのですが。
コメント(4) 

スラニアの古地図作品 [外国切手]

15115.jpg

画像は、アイスランドが1984年に " Nordia 84 " 国際切手展を記念して発行した小型シート。
題材は、ヨーロッパの地図製作者として著名なオルテリウスが出版した『地球の舞台』1570年版に収められていた「北方地図」から取材したもの。
この地図帳は、天正遣欧使節が持ち帰り織田信長に献上しているので、信長もこの「北方地図」を見たことでしょうね。そして世界の広さを知ったことと思います。

僕がこの小型シートで意外なのは、スラニアの作品の一つであること。
スラニアというと、誰もがオリジナル豊かな作品を思い浮かべると思いますが、古地図を構成した題材も彫刻していたとは。

知らない人が見ても、この作品から彫刻者スラニアの言葉は出て来ないのではないでしょうか。
コメント(2) 

大念寺新

二重丸印の二行印です。

15113.jpg

局名は「大念寺新」で、能登国羽咋郡。
明治8年に「川尻」局から改称され、明治13年12月21日に「大念寺新村」と改称されています。

二行印は、単調な中に変化をつけるので良いですね。
これで、「甲斐・西八代/市川大門」局に続いて、やっと2点目の入手です。
コメント(0) 

「旭川釧路間鉄道全通記念」特印 [雑記]

画像は「旭川釧路間鉄道全通記念」特印で、昨年入手した知る人ぞ知る地味な珍品。

15111.jpg

印影が薄くて、おまけに花柄のカードがよろしくないのですが、入手できただけでも奇跡的なのでガマンです。
拡大して印影を正位置に回転させたのが、下の画像。

15112回転.jpeg

僕がこの特印について初めて知ったのは『スタンプ・レーダー』No. 277、279号に連載された前原松夫氏「随想」によってです。

使用されたのは、明治40年9月8日で使用局は釧路。
『改正官白宝鑑』によると押印数は9,894枚ということで、前原氏は、昭和の初めで確認4〜5枚であったと記しています。
たぶん、今では増えて十例前後ではないでしょうか。

入手先は、皆さんが鵜の目鷹の目で見ているヤフオク。
最低値1,000円で出品されていて、無競争でそのまま落札。
さすがに、秒読み段階では緊張しましたね。「誰も気がつかないで〜」って。
コメント(1) 

投稿しませんか [雑記]

ここ数年、幾つかの雑誌や会報に原稿を書かせてもらっています。
肩のこらない小文が中心です。

以前は自分が編集者だったので書く事が出来なかったのですが、お役目御免になってからは、それまでの不義理を解消すべく、年に6〜7本を書いています。
特に自分のような地方在住者だと、会の雑務をお手伝いすることが難しいので、原稿の提供ぐらいしか出来ないということもあります。

15101.jpg

画像は『FINDS』230号に書いた資料紹介3ページ分からの一部です。
会報を発行している団体は、大抵どこも原稿不足に悩まされ、編集者は苦労していると思います。
原稿を書かない(あるいは書けない)方は、難しく考えすぎているのではないでしょうか?
画像1枚と、ちょこっとした原稿(数行でも)があれば良いのです。
極端な話、このブログのような感じでも立派な原稿になります。

自分が所属している会ならば、会報を受け取るだけという消極的なことではなく、小さなミニ記事でも構いませんから、積極的に会報を通じて参加してはいかがでしょうか。
コメント(0) 

ハンガリーの鉄道駅構内印 [外国郵便史]

これまでにも、何回か紹介したハンガリーの鉄道駅構内印。
下の画像もそうなのですが、これまでに紹介したものよりも新しいタイプです。

15100.jpg

台葉書は1882年発行のもので、宛先はフランクフルト。
消印の上部には " BUDAPEST " 。
そして日付の下には " OSTZ, MAGY, ALLAMP. U." と入っているので、ブダペスト中央駅構内で取扱われたことがわかります。

” P. U." というのは、Railway Station のハンガリー語の省略形です。

そして下部に入っている " délután " は、午後ということですから、中央の日付から本例が1887年6月10日午後の取扱であることがわかります。
欲を言えば、フランクフルトの到着印があればよかったのですが。
コメント(0) 

『駅逓局類聚摘要録』から [日本郵便史]

明治18年に出版された『駅逓局類聚摘要録』。
郵便史に興味のある方は、基本文献の一つですね。原本の入手は難しいですが、有難いことに復刻版が出ており、ほぼ100パーセントの人がこれを利用しているはずです。

休みの間に暇に任せてペラペラと捲っていたら、面白い記事というか物騒な記事に出くわしました。
舞台は大阪の古市。

明治9年当時、河内国古市郵便局に取扱役として吉田耕太郎という人が居たそうで、なんとこの人が明治9年5月1日〜22日間分の為替金を横領したのですが、その横領額が凄い。凄すぎます!
1,124円96銭7厘。

参考までに、明治8年の給与所得者の年収平均が160円ですから、一つの目安として今だと2,900万円弱でしょうか。
吉田耕太郎さん、明治時代にこんな大金を何に使ったのでしょうかね?

結局この人、裁判で懲役終身刑(上告も大審院は却下)となったのですが、収監中の13年1月12日に獄中で病死してしまいます。

横領金弁済のため家財、土地、建物、切手、葉書と共に、衣類雑品という項目も見られます。本人の命以外全て売却といった感じですね。
家族はどうなったのでしょうか?
コメント(0) 

ドイツ国鉄05形蒸気機関車 [外国切手]

15099.jpg

短い休みが、当然のごとくアッと言う間に過ぎて、今日から出勤でした。

画像の蒸気機関車は、ドイツ国鉄の05形と呼ばれるもので、世界の蒸気機関車の中でも屈指の名機だと僕は思っています。
製造は1935年で、この時期は各国が鉄道がスピードを競っていた時代です。
本機もその流れの中に位置付けられ、流線型の車体に2300mmの直径を持つ動輪など、目を見張るものがあり、1936年5月11日には197トンの客車を牽引して200.4キロという、当時の蒸気機関車世界最高速度を記録しています。

現在この機関車は、ニュルンベルクにある交通博物館に展示されているのですが、僕が初めて対面したのは1999年のこと。
ちょうど、この年にIBRA '99 国際切手展がニュルンベルクで開催され、その参観の折にニュルンベルク駅に隣接する博物館を訪問して実現しました。

この交通博物館には、意外と郵趣家には知られていないのですが、鉄道郵便に関する巨大なコレクションも収蔵されています。
コメント(0) 

『呉ポスト』第61巻1号 [文献]

15098.jpg

今日は『呉ポスト』が到着。
新年最初の号は、毎年楽しみにしています。

というのは、画像でもわかるように、年賀切手を表紙に貼って1月1日の消印で送ってくれるのです。
これが『呉ポスト』の仕来りってやつです。

これで思い出すのは、『森下スタンプ・オークション』。
ここは、新年のオークション誌を1月1日の年賀印で送ってくれていましたね。
懐かしいですね。

今号で感心したのは、岡藤政人氏の「墨が塗られた小判はがき2態」。
表面に墨がベッタリと塗られた小判はがきをよく見ます。オークション誌でも、決して買おうなどと思わないものですね。
ですが、こんな汚い小判はがきがこんなに魅力的なマテリアルに化けるとは!
なるほどねー。
目からウロコで勉強になりました。

事情のわからない方は「なんのこっちゃ」と思われると思いますが、気になる方は『呉ポスト』をご覧ください。
コメント(2) 

『Railway Stamps』No.183

15097.jpg

年賀状と共に『Railway Stamps』No.183が到着。
一年の始まりに、こうして郵趣品が届くのがいいですね。

『Railway Stamps』には、必ず何点かのリーフが紹介されますが、特に表二と表三に掲載される2点は、毎号楽しみにしています。
切手展の出品リーフ有り、普段の整理用リーフ有り。
色々な方のリーフを見ることができます。

こんな何気ないリーフ紹介でも良いのです。
何も大げさな記事でなくても、さりげなくリーフ画像を掲載する。
やはり郵趣誌ですから、こうでなくてはいけません。
コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。