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『郵趣』3月号で一番目に止まったページ [雑記]

数日前に来た『郵趣』3月号。
相変わらず全く読む所がない、空っぽの雑誌です。
ならば購読を止めればよいので、購読中止も考えたことがあるのですが、創刊号から揃っているので止めるに止めれない状況なのです。

僕と同じ感想を持つ人って意外と多くて、切手の集りで『郵趣』の話題になると、多くの人が同じ感想を言います。
そして「80〜90年代は良かったのにねぇ」と言うのも共通です。

で、今日の話題はそういうことではなくて、3月号で僕が最も長く開いたページは21ページ。
新切手の「海外の世界遺産シリーズ第1集」。
切手発行の転落振りは今に始まったことではないので、驚くことは無いのかもしれませんが、これはないでしょう。ねぇ・・・。
最早転落ぶりもここまできたか。といった感じです。
何の関係があるのでしょうかねぇ。日本と。

ディズニー切手もありましたが、あれはグリーティング切手なので手紙や切手に親近感を持ってもらうためと言えば、なんとなくわかります。

ところが今回はシリーズ切手ですから、グリーティングとは性格がちょっと違うと思いますが。

ということで、あまりの唐突さからしばし目が離せなかったわけで、結果として3月号の中で一番長い時間眺めたページとなりました。
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「赤二にみられる消印」 [文献]

先日ご紹介した『最近の情報(108)別冊』の中で、何人かの方が澤先生の執筆による「赤二にみられる消印」について触れられていました。
特に近辻さんは、澤先生の郵趣界デビュー作であったと書かれています。

恥ずかしい話し、そんな紹介文を読んで「そう言えば、なんかそんなのを読んだことが有るような、無いような・・・」と。
そこで、お手製「郵趣文献データベース」で検索してみると、ありました、ありました。『切手趣味』50巻1号に。
その表紙が下の画像です。

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発行年月は、昭和35年1月。
澤先生は、昭和12年生まれなので23才でしょうか。
本文最初のページは下の画像。

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文章量としては3ページ半。
内容は、赤二に見られる二重丸、大型ボタ、外郵、丸一、丸二、消印漏れ、未納不足の各印について、ほんのアウトラインが述べられています。
とは言っても、昭和35年当時の小判切手収集レベルを考えると、衝撃的な一文だったことは間違いないと思われます。
結局、小判切手の消印収集というのは、現在までもが本文の延長線上であり、これを細分深化させたものであると言えます。

本文には、先生の収集・研究の結果が随所に散りばめられており、その後の先生のスタイルの原形を見ることができます。
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釜山巡邏船内 [日本切手]

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画像は、菊3銭切手に「釜山巡邏船内」の櫛形印。
たぶん、やや薄消しだからだと思うけど、切手商の菊切手の消印ブックの中で、普通の国内消しと同じように売られていたもの。
店のオヤジも見落として、僕より先に見ていた収集家も見落としていたのでしょう。

できたら「木浦巡邏船内」とセットにしたいのだけど、木浦の方は釜山よりもずっと少ないので、入手は無理でしょう。
別に機会が無いからということではなくて、菊切手の専門家では無いので、オークションなどで頑張って入手する必要も、気持ちも無いということ。

まぁ、上の切手のように、気がついたら足下に転がっていたなんてことがあるかも知れませんが、恐らく10万分の1の確率でもそれはないでしょうね。
菊切手へのウンは、この切手を抜き取ったことで使い果たしていると思いますし・・・。
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ウェバリー・オークション・カタログ 1973年12月9日 [文献]

ウェバリー・オークションと聞けば、誰もが真っ先に思い浮かべるのが「龍500文逆刷り」ではないでしょうか。
それだけ衝撃的なオークションだったと思います。
僕はまだ小学生だったので、もちろん現場に居合わせたわけではありませんが、それでも各種郵趣誌を通じて、そのセンセーショナルな発見と売立てについては感じ取っていました。

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上の画像は、その時のオークション誌の表紙で、この頃だと白黒印刷が当たり前なのですが、さすがに白黒では逆刷り様に失礼と思ってか、異例のカラー印刷で登場です。
このオークション誌、それなりの数が日本に入ってきているはずなのですが、不思議と見る機会が少ないですね。意外と市場にも顔を出しません。数年に1冊程度でしょうか。

このオークションについて紹介される時に、いつも使われるのが上の表紙で、ノートの書かれた本文の紹介画像を見たことがありません。
ということで、下の画像がそれです。

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「世界珍品十傑」に入るそうです。
そうなのでしょうかね?
僕としてはどうかな。まぁ、世界の珍品ランクなんて考えたことありませんが・・・。
郵趣的には、珍品ランクなんて関係ありませんしねぇ。

オークションの様子については、各種郵趣誌に色々と書かれているので、皆さんもよくご存知のことと思います。
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洋紙青1銭「ロ」プレート2ポジション11 [日本切手]

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画像の切手は、リコンストラクションを進めている洋紙青1銭の仮名「ロ」のプレート2で、ボジションは11。

この切手は、ブレート2の中でも容易にポジション特定ができる筆頭ですね。
なぜだかわかりますか?
答えは、右側上部の七宝内の点が全部落ちいてる変種なのです。
「ロ」のプレート2では一番大きな変種だと思います。
ウッドワードも記録しているほど、昔から有名なものですね。

この切手の状態は、下辺がシザー・カットなので人様にお見せできるほどのものではないのですが、こうした二級品でも安価に入手して使い道があるということで勘弁して下さい。
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『最近の情報(108)別冊 澤まもる先生を偲ぶ』 [文献]

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先日、到着した『最近の情報(108)別冊』
澤先生の追悼号の形になっており、28名の方が執筆されています。

皆さんが書かれた文章の構成はほぼ似たような感じで、澤先生の思い出やエピソードから始まり、それに先生に因むマテリアルを絡めて紹介する手法がとられています。
どれもが、堅苦しく無く、すーっと読めてしまう内容です。

先生が亡くなってから2ヶ月で、これだけの内容の本をまとめて上げてしまう会の機動力には、全く驚くばかりです。

僕個人としては、あのように徹底した資料調査をした上で執筆をしている先生の資料整理法について、一度お伺いしたいものと思っていたのですが、けっきょく果たすことはできませんでした。
あの東北大震災の後に、先生から「地震で資料類が倒壊してしまい、家の中がゴチャゴチャで資料が出てきません」とお手紙をいただいているので、何らかの方法で整理されていたのだと思います。
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「書き十」のシート [日本切手]

手彫切手のシートコレクションと言えば、ペプロウですね。
そのコレクション、正確に言うと第2次ペプロウ・シート・コレクションが売りに出されたのが1970年3月16日。ニューヨークのハーマー社です。

この売立てには、何枚もの希少性の高いシートが含まれていたのですが、その中の1枚が下の画像のシート。

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日本を代表する珍品の1つであり、世界的にも珍しい修正をおこなった「書き十」を含むシートです。
画像は、オークション・カタログをスキャンしたものなので粗くて見えないとは思いますが、5番切手がそれ。
目打離れが激しく補修がしてあるそうですが、それでも「書き十」を含むシートですから、今となっては貴重な写真です。
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セレス25サンチーム [外国切手]

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画像は、フランスのタイプ・セレス・25サンチームの仮貼リーフからの1枚。
ボストークのリーフなので製造年を確認すると92年7月になっています。早いもので20年以上も昔のリーフ。

この頃は、不思議なことにフランスのクラシックを買いに、渋谷の英国海外郵趣代理部によく行ってました。
そう、目当てはイギリス切手ではなくてフランス切手。
貼込帖というか、アルバムリーフにセレスやナポレオンがぎっしりと貼ってあるのがあって、それをチマチマと抜き取りによく通っていたのです。

客なんてほとんど来ないから、事務所にドカッと座っていつも2時間くらいいましたねぇ。
英国海外でフランス切手を買うなんてちょっと普通は考えないもので、少し時間をあけて行っても他に誰も見た形跡がありませんでした。
つまり、前回抜くかどうか迷った切手がいつもそのまま残っていて、結局は抜き取ることになるのです。

さすがに上物の版欠点はありませんが、細かなものならけっこう見つけることができます。
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第153回 金井パブリック・オークション [文献]

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153回目の金井パブリック・オークションは、1977年10月22日の開催。
このオークションは、桜洋紙黄色2銭切手の専門コレクションのみの売立てという、ちょっと変わったもの。
どなたのコレクションだったのかは不明ですが、たぶん、これ以後に洋紙黄色2銭の専門コレクションの売立ては無いのではないかと思います。

全部で408ロット。
反則技で、最初の方に少量の和紙黄色2銭が入っているのですが、ロット4に未使用の仮名「イ」があります。さすがに完璧な状態ではないですが、そんなに悪くないものです。正確な数字で何枚残存しているのでしょうか?10枚以下とは言われていますが・・・。

ロット14は「ニ」のシート右半分20枚ブロックで、これは未使用最大ブロック。
ロット16の「ソ」の6枚ブロックには、「最大ブロックと思われる」とノートがあります。使用済には7枚の塊がありますが、現在でも未使用はこれが最大なのでしょうか?上耳付なのですが、その耳紙にトンポのような長い横線が見えます。

使用例では、下のカバーがバツグンに美しい。

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僕の地元、若狭の使用例で仮名「イ」1枚貼り。
「小浜/検査済」の抹消印で、証示印は「九月四日/若狭国 郵便役所 小浜港」の朱印です。
到着印は横浜N1B1で、7年9月8日。

画像が粗いとは思いますが、美しさか伝わりますかね。
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目立つのですがねぇ・・・ [日本切手]

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画像の切手は、第1次新昭和1円で変則的な6枚ブロックからの一部分で、下列は100番を含んでいるので、97・98番切手であることが特定できます。

で、まず98番切手ですが額面数字「1」の右側に縦線が入っているのがわかると思いますが、どうでしょうか?けっこう大きなキズなので、パッと見てもよく目立ちます。
それと、97番切手の方は菊花紋章の6時の方向の花弁に小さなドットが付いていますね。こちらは小さいので気をつけないと見落としてしまいます。

上の欠点と同じ特徴を持つ切手をもう一組持っています。それが下の画像です。

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まるっきり同じであることがわかると思います。
違う点と言えば、色調でしょう。上の切手は薄いですが、下の切手は濃いので異なる環境下で印刷された切手であることがわかります。

『日専』には、これよりも細かいバラエティは採録されているのですが、こんなに目立つのが未採録なんですね。
どういう基準で採録を決めているのでしょうか。
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選ぶ努力 [雑記]

市場には、実に様々な状態のマテリアルがあります。
たった今、郵便局から買ってきたような美しい状態の切手もあれば、ヘゲや目打欠け、裂けがある切手だって売ってます。
カバーだったら、黄ばみやシワの無いものから、封筒自体が変色したりシミのあるものも普通に売られています。

収集家はそうした中から、自分の収集コンセプトにあったマテリアルを購入するわけです。
例えば、希少な切手やカバーで、他に代替品が無いばあいは、たとえキズやシミ、変色があったとしてもそれしか購入する手段が無いので、それを入手し、切手展でも状態に関係なく大きな顔をして使用することができます。極端な話しだと、英領ギアナの1セント切手がそれです。

上の話しとちょっと視点が異なるけど、状態の悪い切手を使ってコレクションを進める考えもあります。
僕の手彫切手がそうしたスタイルです。
つまり、高価な手彫切手を安価に楽しむ手段として、手彫切手の専門家が敬遠するようなちょっと難点のあるマテリアルを活用する方法です。言い方を変えると2軍、3軍のコレクションですね。
このばあい、相手が手彫切手であるだけに、たとえ2軍、3軍のコレクションでも、その展開の仕方によっては、手彫切手を安価に楽しむ方法として全く相手にされないことはないと思います。

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画像の切手は、ペニー・レッドの目打付。
最近は高くなってしまったイギリスのクラシックでも、まだたまだ庶民の味方でいてくれる切手です。
この切手は版が沢山あるので有名ですが、この切手は下の画像でもわかるとおりプレート163。

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未使用でも、ギボンズ・カタログの評価で65ポンドですから、実勢価格はもっと低いですね。この切手は24ポンドでした。
この程度の価格のものは、こうした美品でないとセンスを疑われてしまいます。
先に話した、手彫切手の論理は通用しないでしょう。

目打付ペニー・レッドは、市場に膨大な量が存在し、しかも幾つかの版を除けば安価なものばかりです。
ですから、こうした切手は選んで集めたいと思います。
皆さんのコレクションはどうでしょうか?

「切手は美術品と同じである」と、ロブソン・ローの言葉にありますが、さすがですね。
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こんな消印が・・・(青梅) [日本郵便史]

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不統一印をちょっと調べていたら、こんな消印を発見!
武蔵の青梅のものです。
不統一印の中には稀に面白いものがありますが、こんなのは初めて気がつきました。

外円の中が面白いです。
「武蔵之西/玉川之北」と、局の位置関係を消印の中に入れてしまっています。

ここで出てくる「玉川」は、現在の「多摩川」ですね。
関東に住んでいる人にしかわからないかも知れませんが、消印としてスゴい発想というか、何でまたこんな情報を入れたのでしょうかねぇ・・・。

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福井戦前の小型印2題 [雑記]

『戦前の小型記念スタンプ集』がらみで、福井の戦前の小型印を2個ご紹介。
初期消印と違って、小型印なんて誰も見向きもしないので、ご当地物でも1枚50円から入手できます。
せっかく福井に住んだのだからと、ここ十数年で機会があるごとに見つけて、全国使用のものも含めるとはがきホルダー1冊分にはなりました。

今日ご紹介するのは、2個とも昭和11年のものです。

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上の小型印は、金沢に司令部を置いていた第9師団の防空演習を記念したもの。
この小型印の使用は各連隊の所在地以外での使用も何ヶ所かあり、どういう基準で使用したのかがわかりません。
当時の新聞とか見ると意外と鍵が見つかるのかも知れません。

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続いて2個目は、福井と言えば繊維産業ですが、織物協同組合創立50周年を記念して開かれた展覧会の会場内臨時郵便局で使用されたもの。
まさにご当地ものの題材です。

小型印は、図案の完成度から言うとイマイチのものが多いのですが(もちろん中には素晴らしいものもあります)、ご当地物の楽しみという見方では、今の「ふるさと切手」より話題性があります。

明日から出張なので、次回の更新は16日土曜日の夜になります。


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オーストリアのフランツ・ヨセフ・シリーズ [外国切手]

2月7日に紹介したオーストリアのハンドブックの記事の中で、以前にオーストリアの大きなコレクションを入手したことを書きましたが、その整理過程の仮貼りリーフの1枚が下の画像です。

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訳があってそのコレクションを手放した知人のコレクションは、ボストークアルバム5冊、ストックブック1冊、コメットカバーアルバム2冊の内容でした。

ボストークアルバムには、標準リーフにフランツ・ヨセフ・シリーズが仮貼りの状態で入っていたのですが、細分類はされてなかったので、少しずつ剥がしながらギボンズのSIMPLEX MEDIUMアルバムに仮貼りをしている状態です。

SIMPLEX MEDIUMは、大きさ的に仮貼りリーフとしてちょうど良い大きさです。
DEVONのようにゴツくないので、郵趣会の集りなどにもカバンにホイと入れて持ち運びに便利ですし、用紙もしっかりしているのでマテリルの貼り替えにも良いのです。

フランツ・ヨセフ・シリーズは、日本で言うと小判切手みたいなものと考えてもらえれば良いかも知れません。
とにかく目打の分類が基本で、これが老眼になってきた僕としては、ちょっと苦痛になってきました。何しろ数千枚の分量ですから・・・。
画像のものだけでも、けっこうな種類になりますが、これだけでは無いですからねぇ。

このシリーズは、切手の性格から見てもじっくりと腰を落ち着けて取組むシリーズですね。
即席の利かないシリーズです。
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『新・風景スタンプ集』中国・四国・九州・沖縄 [文献]

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『新・風景スタンプ集』の最終巻が一昨日、『戦前の小型記念スタンプ集』と一緒に到着。
これで、北海道から沖縄までが揃いました。全4巻です。

旧版が出たのはいつ頃だったかな?
10年は経っていると思います。
風景印って生もので、新規もあれば廃止もあるし、図案改正だってあります。
なので、10年は間隔が開き過ぎだから、5年ごとの改訂にならないでしょうかね。
まぁ、それではあまり売れそうもありませんから、商売のことを考えると10年間隔くらいになってしまうのでしょうか。

僕は、仕方がないのでその間に鳴美から出ているのを併用していたのですが、あちらは1冊本で大きすぎて使い勝手が悪いですね。

その点、JPS本は分冊なので使いやすいです。
どこかに行く時に使用局などを調べるのに持ち運びしやすいし、本を片手にネットで局の位置を調べるにも扱いやすいのです。

それにしても、こうして印影を見ていると題材が豊富で、1つ1つ丁寧に調べて行くと「日本ご当地事典」みたいな本が作れてしまいそうです。
学校の社会科の教材にも良いと思うのですが。
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『戦前の小型記念スタンプ』 [文献]

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昨日、新刊の『戦前の小型記念スタンプ』が到着。
この手の本の登場を何年も待っていました。
確かに、過去には何冊か類書がありますが、気軽に誰もが手に出来る本ではなく、ちょっと不便でしたからね。

小型印と言うと、特にかなり専門的に伝統郵趣や郵便史収集をしている人の中には、「えー、小型印なんて」と、うさん臭そうな顔をする人がいますけど、僕は郵趣品としては大切にしています。
何しろ立派な消印の1つですし、特に地方の余り知られていない行事や記念事業が題材になっているので、内容的にも興味深いと思っています。
そして、テーマ関係の人には、重要なマテリアルでしょうね。

本書は年度別に印影が収録されているのですが、巻末には都道府県別リストが収録されているので、ご当地物を見つけるのにも便利な編集になっています。

待ちに待った1冊でした。
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ハンガリー・変則的なFrancoカバー [外国郵便史]

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画像は、ハンガリーのプレ・スタンプ・カバーで地味だけど珍しいもの。
入手した頃は、その希少性に全く気付かなかったのだけど、じっくりと見ているうちに「なるほど」と思わせるものだとわかりました。

右上隅の地名印は、"Nagybanva" 局と言って現在のルーマニアに属する局です。本タイプは1820〜48年の間に使用されたもの。
宛先は右下に "Ungvar" と書かれています。
左下隅には、黒ペンで "/:Franco:/" と書かれていますが、これは料金完納を示す書込みです。
そして、赤のクレヨンで斜に大きく引かれた斜線は、料金半額支払済を示す記号。

裏面を見ると右上隅に、赤のクレヨンで "3×" と書かれています。

以上が、この手紙に書かれている事実です。
実は、最初はこの裏面の "3×" を "34" と読み違え、34kreuzerの郵便料金と勘違いし、その上、表面の斜線から半分先払で、残り34kreuzerの料金だと思い込んでいました。
これだったら、高額料金を別にすれば普通のカバーです。

ところがある日、よくよく見ると表に小さく "Franco" と書かれているのに気付きました。
Francoならば料金完納のはずですが、そうすると半分支払済を示す斜線と話しがあいません。

しばらく悶々と過ごす日が続いて、いよいよ「ハンガリーの先生に聞こうかな?」と思い始めた頃に、最後にもう一度じっくり取組んで、これでダメなら教えてもらおうと。

当時の郵便線路図を見直すと、差立地から宛先迄は8郵便局区間であることがわかり、この手紙で68kreuzer料金では、途方もなく重すぎるので、裏面の "34" はあり得ないことがわかりました。
手紙の重さから見ると6Kreuzer料金らしいので、そうすると "4" と読んでいた部分が "×" 印であるとわかりました。つまり "3×" で、郵便料金の半分の3Kreuzerが未払いというわけです。
この時代、ハーフ・ペイドは通常はあり得ないので、もしそうだとすると公用便しかあり得ません。

つまり、このカバーは料金前納制時代の公用便ハーフ・ペイド・カバーだったのです。
表の "Franco" は「自分負担分は完納だよ」という意味なのですね。

と、ここまで答えが出来てから、念のため先生に聞いてみました。
答えは、ピッタリあっているとのこと。
ついでに教えてもらったのは、役所宛のカバーだと。
大変に珍しい使用例だということです。

めでたし、めでたし。
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完集広告 [雑記]

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画像は、大正14年11月の『郵楽』11巻11号に掲載された、小島勇之助氏による広告。
その内容が、日本切手完集の広告とは恐れ入るのですが、いかにもレトロな内容ですね。今とは、コレクションに対する考えが全く違います。

何の本だったか忘れてしまったのですが、この広告が結果として小島氏への反感となってしまった。というような事を読んだ記憶があります。
何に載っていたのだっけな?

左の方に書かれている「類鑑記載郵券番号第一号ヨリ第四十五号迄ノシート(未使用)当方研究ノ為メ御分譲下サレタク」とあるのは、「手彫シートを譲ってくれ」ということですね。
小島氏が郵趣記事を書かれたのは極めて少ないですが、その少ない中に竜切手のシートを題材とした、各ポジションの特徴を記したものがあります。
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"Die Postmarken Von Oesterreich" [文献]

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「あっ、こんなの持っていたんだ」
と、積み重なった平積みの山の、更に奥の山の下の方から出て来たのがこの本。

こんな有名な本でさえ、忘れ去っているとは・・・。
ちょっと考えものです。でも、悲しいかな整理する場所がもうありません。

Muller著の本書は、オーストリアの基本文献では絶対に外せないものですね。
A4判427ページですから、そんなに大冊ではないのですが、初期から1918年までを扱っています。ですから、内容も重箱の隅を突っついたような専門書というわけではなく、日本で例えるならば『日本切手とその集め方』をもう少し詳しくした感じと言えば、わかりやすいかも知れません。

僕が本書を購入したのは、知人からフランツ・ヨセフ・シリーズを数千枚含んだアルバム4冊分のロットを入手したのがきっかけです。
それらを整理するのに、参考にしようかと。今から15年ほど前でしょうか。

基本文献や専門カタログなども取揃えたのは良いのですが、なかなか根気が続かなくてねぇ・・・。
お恥ずかしいかぎりです。
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インド土侯国 [外国切手]

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インド土侯国の中からCochinです。
子供の頃は、インド土侯国切手と言うと何かうさん臭そうで、ちょっと軽蔑みたいな感じでしたが、大人になってからは、全く逆になりました。

子供の頃に変な印象だったのは、カタログに載っている途方も無いくらいの量にウンザリしていたからだと思います。
ところが、大人になってインド切手やネパール切手を集めていると、土侯国切手が自然と一緒に集って来てしまうので、それを分類整理していくうちに、なんとはなしに「意外と面白そう」と思ってしまったのです。

積極的に集めているわけではないのですが、それでも土侯国だけでDEVONアルバム2冊分にはなりました。
ついでに手に入った物が中心なので、カタログの分類で見ると穴だらけなのですが、それでもあの膨大で複雑な土侯国切手の概要は掴めることはできます。
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たまにはこんなのも・・・ [外国切手]

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いつもと雰囲気を変えて、僕だってこんな物を持ってますとご紹介。

画像の切手は、トリスタン・ダ・クーニャが1978年3月1日に発行した絵画切手です。
トリスタン・ダ・クーニャと言っても、大部分の人はどこか知りませんよね。南大西洋にある島なのですが、行政上はセントヘレナに含まれるイギリス領の諸島です。
『ブリタニカ』の百科事典にも堂々と「切手発行が重要な収入源」と書かれちゃうくらいのところです。

さて切手の方なのですが、良い図案だと思いませんか?
こういう絵画切手は好きですね。
嫌いなのは宗教画の切手。あれは退屈で仕方がありません。とか言いながらも少しは持ってますが。

この絵を描いたのは、ローランド・スベンソンというスウェーデン人です。
日本では、北欧の画家はほとんど知られていないので、たぶんご存知ないと思います。
彼は、1960年代にトリスタン・ダ・クーニャやセント・ヘレナで多くの美しい風景画を描いています。どれも、ホッとするような、自分は行ったことが無いくせに、どこか懐かしい感じのする絵を描いています。

こうした、自分にシックリとする絵画切手を集めるのも良いかも知れませんね。

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サビーヌの書留便 [外国切手]

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上の画像は、ここでも度々話題にしているフランスのサビーヌ切手。その国内書留便です。
このカバーは気に入っています。

別に理論的に好ましいカバーというわけではなくて、サビーヌ切手のみが賑やかに貼ってあるし、消印も素晴らしい状態。つまり、印象的に素晴らしく気に入っていると言うわけ。
4種類10枚も貼ってありますしね。

データは、Vedene 局1981年10月19日発で、宛先は右下に書いてある Sorgue 。裏面には同局10月20日の到着印が押してあります。

この時期はサビーヌ最後の時期にあたり、1982年1月からは次のシリーズであるリベルテに変わっています。

このカバーの本質とは全く関係が無いのですが、差立日(10月19日)の前日まで、東京の晴海ではフィラ東京81が開催されていました。つまり、その閉幕翌日の使用例というわけ。
僕が初めて参観した国際展で、会場中に本でしか見たことがないような切手がそこかしこにあって「スゲー!スゲー!」と思いながら、キョロキョロと見て回っていたのを覚えています。
ちょうどその頃、使われたカバーなんですね。妙に親近感のあるカバーです。
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"The New Philatelic Exhibitors Handbook" [文献]

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本書は、良書であるのに日本ではほとんど読まれなかったと思います。
僕が本書を手にしたのは、97年のサンフランシスコ国際展のブース。見本を見てすぐに気に入り、収友へのお土産分を入れて1梱包の10冊を購入。
その頃、若手(当時30才過ぎ)で競争展の常連や、競争展を目指していた収友に配りました。

本書を一言で紹介すると「切手展出品を楽しむ本」に尽きると思います。
切手展のシステムに始まり、作品プランの考え方、リーフアレンジ、各出品区分ごとの実際、リーフの作り方などなど、「切手展に出品しよう!」と思ったときから、「作品の完成」までが丸ごと1冊の中で論じられています。

アルバム作りのテクニック本は何冊もありますが、本書はその類いのものではありません。
単にテクニックのみではなくて、哲学的な部分も含めて、切手展出品作品をどう考え、組み立てて行ったらよいのか。という視点で書かれています。

本書は、パソコンのDTPソフトを用いたリーフ作りを推奨(当時は、まだ少なかった)しており、そうした効果も積極的に紹介されています。

日本にもこうした文献があると、競争展作品自体のレベルアップに繋がると思うのですが、ここまで書ける人材はいないでしょうね。
というわけで、訳本でもあると今でも役立つと思うのですが・・・。
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ハンガリーの不便地配達料金 [外国郵便史]

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画像は、ハンガリーのプレスタンプ・カバー。
カバー左上にある "ROSENAU" は差立局の局名印で、この局は現在のスロバキアに所在します。
この局の歴史は古く1769年の開局で、1781年から地名印の使用を始めています。画像の消印は、同局では5番目に使用したタイプで、1835〜1858年の使用が確認されています。
残念ながら、このカバーには手紙が無いので使用年月日の特定はできないのですが、この消印からアバウトながら使用期間は絞られます。

宛先は、右下に書かれている "Csejte" 。
この村は小さな村だったらしく、郵便局が無かったものと思われます。

最初にこの手紙を受け付けた "Rosenau" 局の局員は、料金を10 kreutzerとして表面に黒ペンで "10" と料金を書き込みました。
ところが、"Csejte" への配達を受け持っていた "Vagujhely" 局では、その料金の間違いに気付き、裏面に赤のクレヨンで "11" と書込み、配達先から11 kreutzer を受け取っています。

その差額1 kreutzer が郵便局の無い村への配達手数料になるわけです。
日本にも、明治時代にこれと似た制度がありましたね。
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第1次昭和4銭東郷の平台印刷 [日本切手]

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1月29日の日誌に平台印刷のことを書いたけど、上の画像は第1次昭和切手4銭東郷の平台印刷。
ご存じのように、昭和切手の未使用の中でも、この平台印刷はちょっと少なく、僕のサブコレクションとしての昭和切手の中では、ちょっとは人様にお見せできるもの。

銘版付きとなると更に少ないですね。珍品では全くありませんが、いざ買いに行くとなるとどこにでもあるものではありません。

美しい状態であることも気に入っています。
これを買ったのはよく覚えていて、谷中に古くからある切手商です。
ここの店は、他のマテリアルにしても常に良い状態のものを置いているので、在庫を見せてもらっても 気持ちが良いところです。
ただし、お値段はちょっと高いかも。
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