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” DUTCH EAST INDIES 1941 - 1945 " [文献]

 南方占領地、特に蘭領関係を収集している人にとってオランダのRoel Boekemaを知らない人は、まずいないでしょう。
 僕が彼の名を初めて知ったのは、1948年に発行された "DAI NIPPON IN SOUTH EAST ASIA" という彼の著書を通じてのことです。この本が占領地切手収集の古典的研究書であることから、Boekema = 研究者と理解していたのですが、実際はそうではなく、本業は切手商とオークショニア (晩年はオークションに専念) であることを知ったのは、それからしばらくしてからのことでした。

 このオークションを一言で言うならば、「熊手で掻き集めてきたと思えるほど」の出品量なのです。
 どれだけの量なのかを具体的な数字で表すと、ロット数が6048点で、その参考価格の総額が当時の日本円で約8400万円にもなりますから、現在の感覚では3億円以上になるのではないでしょうか。

 オークションは、1974年1月28日〜2月1日の5日間に全11部に分けてオランダのハーグで開催されました。当時の記録を見ると、日本から切手趣味社の吉田利一氏など数名がフロアに参加しているようで、代理入札やメール入札などを加えると、日本からも多くの入札があり、一説によると日本人の落札数は1,000ロットにもなったと言われています。

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 上は、ロンボク大日本加刷ですが、加刷全体がわかるカットが多く含まれているところが好ましいと思います。また、他のページにはフィラテリックと思われるものではありますが、カバーが含まれていました。

 下は、フロレス島暫定切手のページですが、なんといってもロット4293の6枚ブロックが注目の的でした。それにしても現存40枚以下と言われ、当時日本国内には1枚も存在していなかったこの切手が、一度にこれだけ出品されたのですから、その衝撃たるやすごかったに違いありません。

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 本書は蘭領占領地切手の珍品や貴品がゴロゴロとしているカタログであり、当該切手の図録としても他に例を見ない本として、今ではこのカタログ自体が貴重な文献となっています。
 本カタログはアート紙を用いた480ページ、重量は1キロを超えます。発行部数1,000冊で、そのうちの50冊が日本へ送られたという記録が残っています。
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スウェーデンの路面電車 [外国切手]

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1995年5月12日にスウェーデンが発行した「スウェーデンの路面電車(トラム)の歴史」切手帳。
一番上の切手は、タイトルとは異なり馬車ですが、トラムの歴史を語る上で必要ですから混ざっていても良いでしょう。
イェーテボルィの1900年頃のものだそうです。

一番下の電車はストックホルムのもの。
僕は、1980年代、90年代に何回かストックホルムを訪れていますが、その時に乗ったことがあります。

表紙の図案も路面電車が描かれていますし、出来映えも良い切手です。
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「逓博時代の思い出」 [文献]

『モダン・フィラテリー』5号(1977年12月)掲載の中村宗文氏による「逓博時代の思い出」は、昭和17年4月〜22年7月までを逓信博物館で勤務された、氏の体験談がまとめられたもので、貴重資料の疎開や戦後の各切手展などについて記されており、当時の記録として面白い内容です。

その中に「郵便創始75周年記念逓信文化展覧会」のことも記され、あの4種連刷小型シートのことも紹介されています。
あのシートは、人気が高かったことと製造能力の関係から、後日引換券を配布したことは余りに有名な話しなので、皆さんもよくご存知のはず。

引換券で対処するというのは中村氏の発案で、急遽作成し、氏の印鑑を押して配布したそうです。
ところが、何と、その引換券が売買の対象になり、しかもニセ引換券まで出回ったそうです。当然のことながら、押されているハンコも偽印。
下の画像が、そのニセ引換券です。

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もし現存していれば、かなりの珍品。
資料として、欲しいですね。
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読者に校正させる本 [雑記]

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今でも、多くの収集家に使われている『日本切手百科事典』。
僕は、予約で買いました。小学生の時に。
最も、そんなお金は無いので、父親にねだって買ってもらったのです。
父親は読書家で書庫を持っているくらいでしたから、本をねだって「ダメ」と言われたことは、ありませんでした。

で、買った後に。このチラシ。
「誤植を見つけたら報告ください」という誤植報告シート付です。
なんと、校正まで読者にさせるという信じがたい商売。

普及版では、その誤植を訂正し、もちろん値段はお安く980円。この値段なら、小学生でも買えますね。
それでもって、おバカな僕は自分で普及版も買いました。
今も覚えていますがJunexの会場で、ドーンと平積になっていたのを。

ところで限定版ですが、文字が大きいので今でも大活躍です。
老眼には、見やすいので。
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第三海軍軍用郵便所 [日本郵便史]

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陸軍の野戦郵便局に相当するのが、海軍では軍用郵便所。
当初は艦隊の船内に置かれたのですが、後にはそれが陸上に移されました。

画像は第三局のものなのですが、設置船名は不明。もっとも、全体で見ても船名が分かっている方が少ないですが・・・。
文面を見ると、第11掃海隊第14号掃海艇の乗員が差出していることがわかります。
軍事郵便が専門の方、この辺を手掛かりに設置局を解明してくれませんか?
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千葉県ユーカリが丘 [風景印]

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画像の風景印は、千葉県佐倉市にあるユーカリが丘局。
今のところ、定年後に住む候補地ナンバー1の場所に所在する郵便局です。
図案は、京成電鉄ユーカリが丘駅を起点に、ニュータウン内を循環する新交通システムを描いています。

家内は東京都港区のど真中出身だし、僕は鎌倉なので田舎暮らしも限界です。
仕事と縁が切れたら、長居は無用。とっとと首都圏へ帰ります。
かと言っても、家内の実家の近くには家どころかマンションさえも買えないので、取りあえずこの辺ならばと。

それに、このユーカリが丘の街作りが気に入っています。
多くの場合、ニュータウン構想は完成と共に業者が撤退するパターンが多いのですが、ここの場合は成長管理型の展開なのです。

定年後のお金をかけない郵趣三昧を実行するべく、将来の郵趣活動を色々と思案するのもまた楽しいもの。
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震災切手2銭 [日本切手]

画像は、震災切手2銭の東京印刷。
名刺を入れた年賀状扱いのカバーなのですが、よくわかるように切手の部分の拡大です。

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データは「京城/14, 1, 1/前0-7」。
データとしては、朝鮮での初期使用でもなく普通のものですが、リーフに貼るには国内便よりは多少は見栄えが良いかと。


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スウェーデンのロココ美術 [外国切手]

画像は、スウェーデンが1979年10月6日に発行した「スウェーデンのロココ美術」。

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実は、長いことリーフの下部に初日カバーが貼ってあるだけでした。
この初日カバー、いつ買ったのかも覚えていないのですが、買ってリーフに貼った時には、上に未使用を貼る予定として空けてあったわけ。
つまり、未使用は持っていないと思っていたことになります。

で、時は流れて昨日の夜のこと。
何の気無しに、雑多なマテリアルが入っているストックリーフを、次々と何冊も見ていたら「アッ」と言うことで発見したのが、上に貼ってある未使用です。

そのストックリーフの前後のマテリアルから推測すると、この未使用は30年くらい前には入手していたようです。
なんて、おバカちゃんなんでしょうかね。僕は。
全く自分のマテリアルを把握していません。

でも、ご覧のようにリーフが完成したので、ちょっと嬉しい気分です。
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スロベニア・チェーンブレイカーズ [外国切手]

スロベニア・チェーンブレイカーズの仮貼りを見ていたら、こんなのがありました。

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横目打が2段にわたって二重目打になっています。

この切手は、チェーンブレイカーズの中でも凸版印刷の方。
凸版印刷は、2ヶ所の印刷に分かれますが、この切手はウィーン印刷です。

このシリーズの、こうした切手はバラエティの中でも極めて珍しいというわけではありませんが、あればあったでアクセントにはなりますね。
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「デグロン君」なる人物についての若干の知見』 [文献]

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『スタンプレーダー』1975年5月号に掲載された、松本純一氏による『「デグロン君」なる人物についての若干の知見』。

後学の自分たちは、デグロン君が勤勉な人柄で郵政の仕事に取組み、最後はフランスのクリスピエールで亡くなった事など、大雑把ではありますが彼の生涯について知っています。
こうしたことを我々は、ほとんど常識的に学習して知っていますが、その原点になるのが本稿ではないかと思います。
もちろん、本稿以前に在日フランス局については、篠原宏氏による先駆的な業績がありますが、デグロンその人を紹介するものとしては、本稿が最初のものと言えます。

近年に至るまでに松本氏は、在日フランス局をテーマとした何冊もの著作を現わしていますが、その出発点となったものとしても、記念すべき著作ではないでしょうか。
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『郵趣仙台』207号 [文献]

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『郵趣仙台』207号をご恵贈いただきました。

斎享氏の「和文ローラー印」は10回目。
横山裕三氏の「即日速達」は19回目になります。
この2大連載は、毎回楽しみ、かつ教えてもらうことが多いのですが、今号で僕が注目したのは中島斉氏による「アウシュヴイッツからの手紙」。
収容所封皮の左側に、収容所長による通信に関する通達が印刷されているのですが、その内容の日本語訳を初めて見ました。中々興味深い内容なので、ご興味のある方は同誌をご覧下さい。

僕は、この封皮を使った切手貼りカバーを1通欲しくなりました。
戦前ドイツのコレクションの中にさり気なく入れて、上記の日本語訳を書込んでおくと、素敵なリーフになりそうです。
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「円単位切手・私の収集 5円・おしどり」 [文献]

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『スタンプ・コレクター』173号(1990年9月号)に掲載の、成田弘氏による「円単位切手・私の収集 5円・おしどり」。
氏は、本稿で大変に重要な問題提起をしているのですが、大部分の人にとっては現行切手の解説程度にしか認識されていないと思います。

その重要な視点というのは、定常変種をどう考えるか?ということ。
氏は、

「これまでは大きいものも小さいものも一様に定常変種の名称でまとめられているが、これを区分してみたらどうであろうか。例えばギボンズカタログの英国専門版ではグラビア切手のきずをVarieties と Minor Constant (Sheet) Flaws (以後MCFと略)とに区別している。(中略)言うなれば Varieties は一般的な収集対象として充分な資格のある定常変種であり、MCFは特定の専門家にとっては版の研究に不可欠のマテリアルであるが、一般的には小さすぎて収集対象とする興味も起らないものである。」

とし、

「我々のグラビア切手の場合も、MCFに相当する小さなものを手がけるからには、グラビアスクリーンの分類や目打の詳細な区別と組み合せて、版の研究や分類に役立てるのでなければ意味のないこととなる。変種の数だけを追いかけるのは片手落ちである。」

僕にとっては、今読んでも耳の痛い話で、いつまでたっても話が活かされません。
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英領インド1854年 1/2 anna [外国切手]

各国のクラシック切手の中でも、僕が最も好きな切手の1枚が下のもの。

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英領インドの1854年 1/2 anna 切手。
英領定番のビクトリア図案ですが、完成度が極めて高く美しいシャロン・ヘッドとは対極的な切手です。

ローカルな印刷の、一見幼稚な出来映えの切手にしか見えませんが、見方によってはこの素朴さに魅力を感じます。
そして、ローカルな印刷ならではの多種多様な印刷バラエティも魅力の1つで、日本の手彫切手並の面白さを兼ね備えています。

日本では、インド初期のまとまったコレクションを中々見ることはありませんが、国際展では必ずと言ってよいほど出品があります。
国内でも、切手展には未出品ながらも大小複数のコレクションを、プライベートで見ていますが、四十年近く前にジャペックスで見た、インド初期切手の作品は強烈なインパクトだったですね。
なにしろ初めて見たので「こんな切手があるのか」とね。
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大谷流切手整理カード [文献]

大谷流の大谷とは、あの最強カタログコレクターの大谷博さんのこと。
氏は、世界中の切手をカタログコレクターの目で見て収集していたので、その知識は素晴らしかったし、今の郵趣界を見ていると、今後、氏のような収集家は恐らく現われないのではないかと思います。
子供の頃に買って読んだ『切手集め大作戦』は、今読んでも面白いし、国内で初歩者向けに書かれた郵趣書としては、歴代最高の出来だと思っています。

氏のコレクションを見たことのある人なら、大抵は同じことを思うのではないでしょうか。
それは、リーフへの書込みが極端に少ないこと。
例えば、10種1セットの切手があるとしたら、シリーズ名と発行年月日、それと確か『スコット』のカタログ番号が書かれていたと思います。

書込みは鉛筆じゃなかったかな?記憶が曖昧ですが・・・。
印象としては、なんだか仮貼リーフのような感じでした。

浅草を拠点とした郵趣会として、雷門郵趣会というのがあり、大谷氏は主要メンバーの1人。
この郵趣会のメンバーには、後の蒼々たる人達が名を連ねています。

その機関誌である『雷郵』10号(1955年11月)に、「私の切手収集白書」と題して大谷氏が投稿しており、その中で、氏のリーフ作りに対する考えが次のように述べられています。
「説明文は全体の美しさを損ねるのでなるべく省略する。その代わり下図のような整理カードを作りカタログ順に並べておくのである。これが完成すると切手百科辞典が出来る」と。

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あの、あまりにあっさりしたとしたリーフの原点はこれだったのですね。
ただ、ここまでくると切手収集というよりも、カタログ作成とか百科辞典作成の作業みたいな気がしないでもありません。
でも、あの膨大な知識の裏を垣間見たような気がしますし、読者として間接的にこのシステムのお世話になっていたのですね。
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旧料金から新料金へ [外国郵便史]

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画像のカバーは、ハンガリーのプレ・スタンプです。
使用年は1806年ですから、日本では文化3年で、江戸時代後期の町人文化である化政文化の頃です。有名な『東海道中膝栗毛』が書かれた時代と言えば、イメージが出来るでしょうか。

右上に " Pest " の局所印が見えますが、大事なのは紫でペン書きされた郵便料金。
右と左の2ヶ所に書かれていますが、右は上書きされて消されています。この消された料金は " 16 " で、書き直された左は " 24 " です。

Pest 局では、郵便料金を間違えて記入したのですが、それに直ぐに気が付いて書き直したと思われます。
通常、こうした場合には逓送距離を間違いて、それを訂正したように考えますが、この使用例の場合はそうではなくて、新旧郵便料金の間違えなのです。

重さ1Loth までの郵便料金は、1803年11月1日〜1806年10月30日までは16Ftだったのですが、11月1日からは24Ftに値上げされたのです。
つまり、それまでの馴れた旧料金をうっかり書いてしまい、あわてて新料金に書き直したと思われます。

このカバーは、某 Pest 局員の不注意を物語っていますが、郵便料金改定にからむ使用例として面白いものと思っています。
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7円金魚発光切手初日カバー [日本切手]

7月11日の記事に「15円菊」の発光切手初日カバーを紹介しましたが、今日はその相棒である「7円金魚」です。

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小石川局の局留めなので、同局の到着印が右下にありますが、多量に処理したと見えて、機械印ですね。
機械印なので、当たり前ですが逆位になっているのですが、それが、大宮局の抹消印と対称の位置にあって、不思議なバランスを保っています。

在り来りですが、銘版付き未使用と貼って1リーフ。
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“ PHILAKOREA " の参考作品 [雑記]

先日、閉幕したPHILAKOREAを参観した知人より “HUNGARY PRE-STAMP PERIOD” という作品が出品されていたことを、その詳しい内容と共に教えてくれました。
僕の収集内容を把握してくれた上での、こうした情報は本当に有り難いことです。

この作品、僕の作品内容とピッタリ同じで参考になります。
僕の方はというと、これまでとは違った組立にするため、目下充電とお勉強中。次回、国際展への出品は、まだ先になりそうです。

今までは「ハンガリー19世紀の郵便印」として、19世紀全般を扱い、その前史として18世紀を扱っていましたが、ハンガリーの先生の助言に従い、プレ・スタンプ時代(切手発行まで)に特化するつもりです。

カバーは以前のリーフから全て外して、仮貼りの方へ戻してあり、カバー上のデータも1つずつ確認し直しの状態。
プレ・スタンプカバーの一番難しいところは、カバー上に書かれた情報が逓送のための情報なのか、そうでないのかを読み取ること。
当時の芸術品とも言いたくなるような筆記体で書かれると、もう解読不能なことがよくあります。

でも、こうした他作品の情報に接すると、刺激されてやる気が出るのだから不思議です。
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スロベニア・チェーンブレイカーズ [外国切手]

1990年代中頃に、パソコン通信というのがありました。
そこの「切手フォーラム」で仲良くなった外国切手収集家が、年に何回か集ってオフ会を開いていたのですが、ちょうど8月の今頃は、その中の1人である外国ゼネラルの収集家の家に集るのが習わしでした。

もの凄い量のアルバムがあって、朝から夕方まで途中宅配ピザなどを食べながらの切手三昧です。
その時に、1冊のスロベニアのアルバムを見てすっかりハマったのが、チェーンブレイカーズのシリーズです。

このシリーズは、印刷所、版式、紙、色、目打の基本的な分類でさえ、色々とありますし、版欠点などに至っては膨大なバラエティが存在します。

下の画像は、額面15vの凸版印刷、目打11.5に分類される普通の切手。

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そして、下の切手は同じ切手のバラエティを持つ切手です。

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先日、久しぶりに仮貼りリーフを見て発見したのですが、余りにストックが多すぎて、長いこと見落としていたものです。
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全日展ネタ・頂き物(7) [切手展]

全日展ネタも今回で最終回。
最終回ということで、どう考えるか悩ましい使用例です。

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菊1/2銭の縦6枚ストリップを貼って、特印を押した横浜宛の使用例です。
特印は、皆さんもよくご存知の「万国郵便連合25周年祝典」を記念したもので、抹消印データは「東京 35-6-22」ですから、特印使用の最終日のもの。
下は、その拡大画像です。

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こうした使用例なら普通にありますが、このカバーの悩ましいところは、右下にあるもう1つの特印です。
その拡大画像が下。

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鮮明印ではないので日付が読めないのですが、使用局が横浜局であることは間違いありませんね。
宛先も横浜ですから、この特印は普通なら配達印と考えます。

この特印、希望されれば1種・2種の差立印として押印されたもので、配達印として使用するものではありません。
それで迷うのが、この横浜局の配達印の正体です。
1つの考えは、郵便として普通に逓送され、横浜局では間違えて(好意?)押してしまったもの。
もう1つの考えは、見せかけの使用例。つまり、東京で記念印を押して、自分で横浜局に持込み横浜局で押印したもの。このばあい、どうして押してくれたのか疑問が残りますが。

僕としては、前者であってほしいですね。
もしそうだとしたら、中々の珍使用例として菊切手のアルバムに貼って自慢するのですが。
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全日展ネタ・頂き物(6) [切手展]

全日展が終って1週間以上が経ちますが、まだ関連ネタで引っ張ります。

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画像は、イギリスのワイルディング・シリーズ 1 1/2d 縦ペアを2組貼って6d の外国航空郵便としたもので、1オンスまでの基本料金です。
消印データは「FIELD POST OFFICE 600/64 SP 2」で、宛地はオーストリアのウィーン。

このカバーの注目は、「FIELD POST OFFICE 600」。
すなわち、野戦郵便局扱いとなっている点で、その番号である600番を調べてみると、キプロスであることがわかります。
緑の刷色に黒の消印で見難いので、下に拡大画像を。

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野戦郵便局と言っても別に珍しいわけではなくて、キプロスは駄物です。一応、念のため。

ワイルディング野戦局のアルバムに、有難く加えさせていただきました。
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全日展ネタ・頂き物(5) [切手展]

今日も日本のステーショナリーです。

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1958年ですから、昭和33年発行の「母の日・子供の日」記念はがきに、ブラジル丸の船内風景印が押されています。
データは1961年5月25日。

このブラジル丸、意外と知られていないのが船名ではポルトガル表記の「BRASIL MARU」であるのに対して、船内局の方は英語表記の「BRAZIL MARU」になっているのです。
つまり、船名と局名の綴りが一致していないわけ。

この風景印、持っていないので頂けてよかったです。
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全日展ネタ・頂き物(4) [切手展]

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頂き物の4回目は、ステーショナリーにも現行にも使える使用例です。
昭和57年用年賀はがきに、通常切手「笛吹飛天」70円を加貼して110円料金の第3地帯宛航空便としたもので、宛地は南米のペルー。
この行き先が気に入っています。

データは「KAWANISHIHIKITA/81, 12, 24」。

70円と言えば、当時は定形重量便用の額面として発行され、多量に消費されていますが、こうした使われ方があったとは。

70円のリーフに使用例として、有難くリーフに貼ることにします。

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全日展ネタ・作品 [切手展]

今回の全日展では、手彫証券印紙が3作品もありました。
これは、ちょっと驚きです。
この3作品、それぞれレベルが異なるのですが、そこに面白味があって良かったと思います。
それにしても、皆さん版別が上手というか、版別でヒーヒー言っている僕とは次元が違いますね。
切手よりも印紙の版別の方が何倍も、いや十倍は難しいと思っているのは、僕だけでしょうか。

印紙のほかに面白いと思ったのが、郵便史に1つありました。
「料金別納印、料金収納印 昭和19年4月〜21年7月」。銀銅賞の作品なのですが、今回の全日展では一番面白いと思った作品。
料金収納印付のステーショナリーは、ただ何となく集って来て「あ〜、料金収納印だな。これは事前に押したのか、それとも差出し時に押したのか?」程度にしか思わなかったのですが、それぞれ見ていくと郵便史的にこんなに面白いものとは、全く気が付かなかったですね。
なかなか、良い視点を見せてもらいました。
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全日展ネタ・頂き物(3) [切手展]

ブログで、日本関係を紹介して「こんなのも多少集めています」みたいに紹介すると、こうした物も頂けちゃいます。
そして、ここで紹介した後は有難くアルバムへ。

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画像は、新小判5厘を貼った第3種便。
データは「羽後酒田/25年1月3日ハ便」→「羽前宮内/25年1月5日ロ便」。

新小判5厘を貼った第3種便は沢山ありますから、馬に喰わせるほど残っている大局ではなくて、このような地方局での使用例はなかなか魅力的です。

この第3種便5厘という料金は、明治22年10月1日からですが、その後の料金改正で封書やはがきなどが値上がっても、昭和17年4月1日に1銭料金になるまでそのままですから、長寿郵便料金として面白い存在ですね。

明日は留守にするので、更新はありません。
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全日展ネタ・頂き物(2) [切手展]

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頂き物の第2弾です。
今回の話題の一つに、カリブ切手展がありました。
正直なところ、幾つもの作品が並んで目立つ存在なのかと思いきや、意外にもヒッソリとした小規模展示にビックリ。
なにしろ、会場内で探しちゃったほどです。
しかし、ようやく見つけた某氏出品作品には、中々目にすることがない切手が色々とあり、その展示技巧ともに大満足。

この作品、お手伝いとは言えるレベルではありませんが、ほんのちょびっと関係したので、そのお礼に頂いたのが作品のカラーコピーを製本したもの。
中扉には、上の画像の小型印が押してあって、心憎い演出でよい記念になりました。

改めて見るとよい作品です。
展示の趣旨から考えて、一般向けに解りやすくまとめた解説が素晴らしいし、それでいて、専門収集的を指向したバラエティや珍品が、そこかしこにあります。

良い作品集を頂きました。
ありがとうございました。
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全日展ネタ・頂き物(1) [切手展]

恒例の「頂き物シリーズ」です。
その第1回目は、これ。

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安室芳樹氏による著作『スコットランド郵便史 1662-1840』。
これは凄い。スゴすぎますですヨ!

僕が、もう長いこと探していた本で、私家版なのでホントに見ないのです。
それが、いとも簡単に転がり込んで来たというか、何というか。

僕が、ハンガリーのプレスタンプに手を出し始めた頃に、日本語によるプレスタンプを読み解く本として、ぜひとも入手したいと思っていたもの。

プレスタンプの解説書というと、当たり前ですが、どうしても現地で出版されているものになってしまいます。
そして、それらはやっぱり英語ですから、日本語と同じレベルでの理解にはなりません。

スコットランドとハンガリーとの違いはありますが、マテリアルの読み方、考え方には、それほど大きな違いは無いので、プレスタンプのイロハを勉強する本として、ずっと探していたものなのです。

まさか、本書がこんな劇的な形で入手できるとは、思ってもいませんでした。
ありがとうございました。
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全日展ネタ・タイトルリーフ [切手展]

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今回の全日展は、外国部門の好成績が目立ちました。
この外国部門の好成績の原動力が何だかおわかりになった方が、参観された方の中に何人いらしたでしょうか?
これと同じ現象は、数年前の全日展でもありました。

タネを明かせば、その原動力とはタイトルリーフです。
タイトルリーフの重要性は、もう随分と古くから言われているのですが、一部の人達を除くとほとんど研究されていないと思われます。
マテリアルの入手には努力を惜しまない人でも、不思議とタイトルリーフの作成については、おざなりになっているように見受けられます。
タイトルリーフの改善に、軍資金はそんなに必要ありません。切手展に参観し、良いタイトルリーフを書き写したり、そのことを扱った若干の文献を入手し熟読すれば良いのです。
また、昔と違ってネットでも、そうした情報を集めることだってできます。
つまり、今日から改善に向けて、行動を起こすことができるのです。
実質0円でも可能でしょう。

我々の「外国切手出品者の会」では、日頃からタイトルリーフの作り方について議論し、また会員個々人のレベルでも、国際展での動向を踏まえた調査・研究をおこなっています。
そうした努力が、このような結果に繋がるわけで、仲間の好成績(伝統外国部門7作品中5作品で、内訳は大金1、金3、金銀1。その他、伝統日本部門で金1)に嬉しい思いをした反面、こうした情報を持たない人達に、どのようにすれば改善に向けてのお手伝いができるのだろうか?という気にもなりました。

タイトルリーフがしっかり出来ていると、展示プランや主題も明確になるものです。
作品を見ていると、「たぶん良いマテリアルが並んでいるのだろうけど、全体として作品を捉えるとよくわからない」というのに出会う時がありますが、こうしたことの大部分はタイトルリーフで解決できるものだと思います。
また、タイトルリーフをきちんとまとめると、作品の展開が強引であったり、論理的な展開になっていないことに気づくこともあります。

作品底上げのカギがタイトルリーフにあることを、お忘れなく!
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