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越前・二階堂局 [日本郵便史]

前々回に続いて、地元ネタです。
特に集めていなくても、30年弱もかけて即売会やブースの雑多エンタイヤの箱を物色していると、安価限定のご当地物でも、それなりに集ります。
あと10年で東京に帰るので、それまでは箱漁りを楽しんで、帰る時に一気に処分しようかと思っています。


今日ご紹介するのは、越前・丹生郡の二階堂局KG型印。
貼付切手は、新小判2銭のワラ紙で目打8.5ですから切手自体は普通のもの。

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二階堂局は、新小判切手と同じ明治16年の開局ですが、どうやら月日は不明のようです。前回ご紹介した本保局と同じく短命局で、21年3月31日に廃止となっています。

単片上では見たことがあるのですが、カバーとなると、どうなのでしょうか?
いずれにしても、一定数が存在する局ではなさそうです。
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" TEACH YOURSELF STAMP COLLECTING " [文献]

昨日届いた『郵趣』5月号。
「魚木式郵趣」の中で愛読した一書として紹介されているのが本書でした。

確かに本書は、入門書としての名著に位置付けられています。
僕が本書を手にしたのは、郵趣洋書に興味を持ち始めた初期の頃だったと思います。
様々な郵趣書で書名を目にしていたので「どんな本なのだろう」と思い、イギリスの郵趣文献専門店で探し手に入れたもの。
1949年の初版本です。

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第1部では、収集の基礎
第2部では、イギリスと英領、ヨーロッパ・クラシック、米国、南北アメリカ諸国などの切手小史。
第3部では、切手の学習
の3部構成で、各々が5〜8章の細目から成り立っています。

第1部の中には、コレクションの作り方や、付属品などの一般的事柄の他に、細かなタイプ違いのバラエティのことなど、後の専門コレクションに繋がる知識までをさりげなく扱っています。

第2部では、各国の解説がコンパクトながらもポイントが押さえられ、著者の博識があってこその解説が展開されています。中には、12ペンスカナダの横ペアがさりげなく図版として収められていたりします。

第3部では、どの国の切手にも当てはまる製造面からのアプローチに関する基礎知識を中心に展開されているほか、コンパクトな郵趣用語辞典も収められています。
特に、郵趣用語辞典は当時の日本に適切なものが無かったことから、本書により数々の郵趣用語に接した日本人収集家には、驚きを持って迎えられたのではないでしょうか。
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越前・本保局 [日本郵便史]

画像は、旧小判紫2銭を1枚貼ったカバーからの部分拡大。
画像では、消印が見易いように90度回転してあります。

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僕は、生まれも育ちも鎌倉なので、今住んでいる福井に愛着は全く無いのですが、即売で普通の値段で売っていれば、越前や若狭関係の消印を買う時が有ります。

画像の消印は、越前・丹生郡の本保局のもので、現在の越前市本保に所在した局です。
本保は、江戸時代の本保代官所を引継いで、明治3年には本保県として設置されるのですが、短命で翌年の第1次府県統合によりアッと言う間に廃止されてしまいました。

郵便局の設置は意外と遅く、明治13年5月になってからのことですが、せっかく開設された郵便局も短命で、17年6月30日にサッサと廃止されてしまっています。

ということで、この本保局の消印は極めて少なく、僕が実見したのは2例目。
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パリ市内局 [外国郵便史]

23日の日誌に満月印のことを書きましたが、フランスではパリ市内局をテーマにした満月印収集があります。

下の画像は、僕のタイプ・サージュのコレクションからの1枚。

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PARIS GARE DU NORD 局のもので、1890年11月27日の使用例です。
画像の消印では切れてしまっていますが、" PARIS " 表示の後には「26」という支局番号が入っているはずです。

フランスではパリ市内局収集がそれなりに人気があり、熱心な収集家が多くいらっしゃいます。
日本で言えば、東京市内局収集みたいな感じですね。
中には、特に消印タイプのバラエティや支局数の多さなどから、タイプ・サージュに限定して収集されている方も多くいらっしゃるようです。
小判切手で、東京市内局を集めるのと同じ面白さなのではないでしょうか。

そうした収集家の指針として、下の画像のような文献が発行されています。

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タイプ・サージュに限定した、パリ市内局の消印リストと、その評価がまとめられたもの。
1973年に1000部が発行されたのですが、稀にオークションに出品されると競争が激しく、意外な高値で落札されています。
そうしたことからも、パリ市内局収集の人気の程が伺えます。

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『ふるさと切手+風景印マッチングガイド』 [文献]

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昨年のパート1に引き続き、パート2が早くも刊行です。
最近の風景印ブームは、一昔前では考えられないものがありますが、正直パート2が出るとは思いませんでした。

今回も、オールカラーでふるさと切手と風景印の組み合わせが、北海道から沖縄まで満載です。
ある一つの風景印があって、それに相応しい切手を選択するのは、題材を調べるなど中々手間暇がかかりますが、それがまた楽しいのだと思います。
まぁ、僕にはそんな根気はありませんが・・・。

本書に掲載されている数々の図版を見ていると、そのマッチングの楽しさや美しさがよく伝わって来るので、こうした風景印集めも楽しそうに思えてきます。
ただ、この方法で集められた収集品を見ると、風景印と同じくらいに切手も目立ってしまっているので、風景印主体で集めている古典的な人には向かないのではないかと思います。

例えば、僕は風景印を名刺カードに通常切手を貼って押していますが、そこには、あくまでも風景印が主体で、切手は押印の手段でしかないという考えがあります。
ですから、切手が目立ってしまってはいけないのです。

しかし、こんな保守的な風景印の楽しみ方をしている自分でさえ、本書を見ると切手と風景印のマッチングの楽しさが十分に伝わってきます。
本書は、読む本というよりも、眺めて楽しむ本として作られています。
こうした楽しさは、文字表現では決して伝わりませんから、マッチングを楽しむ本として十分に成功している編集だと思います。
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イギリス・切手発行100年 [外国切手]

画像は、イギリスが1940年5月6日発行した「切手発行100年記念切手」6種セットの中からの1枚を貼付したカバー。

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消印データは、「London S. W. 1/1940年11月22日」→「Les Bayards/1940年12月10日」で、スイス宛のもの。
料金の5dは、1オンスまでのヨーロッパ内宛航空基本料金です。

1940年と言うと、既に前年9月には第2次世界大戦が始まっており、ドイツが急速に版図を広げている時期にあたります。
その戦時下を示すように郵便検閲が行われており、画像のカバーにも検閲後の封がしっかりとされています。

ロンドンからスイスまで2週間強、検閲期間も入れると早いのか、遅いのか、どっちなのでしょうかね?
この「切手発行100年記念切手」は、好きな切手なのでボトボツと集めているのですが、そのうちワンフレームに仕立て上げて、ミニペックスか、競争展のワンフレームにでも出そうかと。
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満月印 [雑記]

6月に切手の博物館のミニペックスで、満月印をテーマとしたものが開催されます。
タイトルに「満月印」を冠した展覧会は、たぶん初めてのものだと思います。

同じ消印が押されていた場合に、満月印の持つ情報量と、カバーが持つ情報量とでは雲泥の差がありますから、ポイントを競う競争展で使用例として語らせるならば、カバーが中心になると思います。
その点で、満月印はかなり弱い存在です。

ただ、確かに切手のど真ん中にデーンと押された満月印は、理屈抜きで美しいものがあります。
ですから、僕は満月印そのものの収集を否定するつもりは全くなく、下の画像のようにハンガリーの満月印をせっせと集めては悦に浸っています。

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どこかで「満月印は日本独特の集め方」なんて趣旨の事を聞いたことがありますが、実態はそうではありません。
例えば、フランスではナポレオンやセレスに始まり、サージュ辺りまでの消印バラエティを満月印でせっせと集めている方がいらっしゃいます。

また、僕の集めているハンガリーもその一つ。
現地の方に聞くところによると、安価な満月印(日本のように高騰することがない)を一枚づつ増やしていくのを楽しんでいる方が普通にいらっしゃるとのことですし、面白いのが切手商が満月印だからといって特別扱いをしていないところですね。
例えば、1900年の凸版切手シリーズ紙剥がし済み100グラムの袋入りを買うと、各種満月印がゴロゴロと沢山出てきますし、値段も安い。
満月印だからといって抜くことがありませんし、高く値段を付けることもありません。

今回の「満月印」展。
どのような遊びを見せてくれるのか、ちょっと期待しています。
満月印=遊び心だと思っていますので。
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" CATALOGUE DES CACHETS COURRIERS-CONVOYEURS-LIGNES " [文献]

フランスの切手に興味を持っていると、以外と不便なのが文献ですね。
文献と言えば、日本語のものは幾つかの例外を除けば皆無に等しいので、取り敢えずは多少なりとも親しみのある英文のものを探します。
ところが、以外とこれが見つからないのですね。
全くないわけではないのですが、これといって決め手になるようなものがありません。

消印についても似たり寄ったりで、だいぶ遠回りしてから仕方がないので仏文のものを探しました。
今回ご紹介するのは、その中から鉄郵印及び駅構内局専門リストです。

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Jean Pothion氏はフランス消印の大家として、何種類もの消印リストを作られており、本書はその中の1冊になります。
本書の内容は、コードナンバー、路線区間名、タイプ別希少性、印色の順に約4000種がリストされています。
手持ちの鉄郵印について知りたければ、路線区間名から検索すると、その消印の概要や他にどのようなタイプや印色のものがあるのかを、容易に知ることができます。
取扱範囲は1877〜1966年ですが、それ以後については別書があるので、本書と別書の2冊を揃えればフランス鉄道郵便に関することは、ひとまず対応できます。

本書は絶版なので、入手には若干手こずるかもしれません。
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イギリス切手部会切手展小型印 [雑記]

先週末に開催された、イギリス切手部会切手展。
あまり役に立ったとは思われませんが、4フレーム出品しました。
その作品が早くも今日戻って来たのですが、作品と一緒に入っていたのが小型印の押された記念カバーで、その部分拡大が下のもの。

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シャロンヘッドです。
さすがに切手と同じような美しさは無理ですが、数ある小型印のなかでも一番の美人です。
シャロンヘッドは、どのようにしても絵になりますね。

会場には行けなかったので、諦めていた小型印なのですがいただけて嬉しいです。
ありがとうございました。
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スウェーデン・ライオン切手 [外国切手]

1920年5月から発行が始まったスウェーデンのライオン切手は、同国の通常切手シリーズの中でも人気抜群のもの。
これまでに、全日展やJAPEXでも何回も出品されています。

ライオン・シリーズが発行されるまでのスウェーデン切手は民間の印刷会社製でしたが、この切手から政府印刷になりました。
そこで切手印刷用に輸入されたのが、凹版輪転機であった米国のステックニー印刷機。
使用する原版はステックニーのアドバイスにより、カナダのブリテッシュ・アメリカン・バンク・ノート社に依頼し、原版、転写ローラーに転写された2次原版、そして9種の実用版が納品されています。
この時のものがタイプ1と呼ばれるもので、下の切手です。

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で、こんな小さな画像ではどうにもならないので、ポイントとなる後ろ足の拡大図が下になります。
赤枠内の横線に注目です。

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タイプ1があるからには、タイプ2があるわけで下がタイプ2の切手。

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そして、同じように後ろ足の拡大図。
タイプ1の拡大図と比べてみてください。わかりますか?

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タイプ1はカナダで作られた原版でしたが、このタイプ2はストックホルムで彫刻されたもので、その差が後ろ足に出ているわけです。
他に、額面数字5にも差があるのですが、こちらは後ろ足のように明瞭な差にはなっていません。

このタイプ2の出現は1921年10月と考えられています。
お手元には、2種が揃っていますでしょうか。
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『世界の切手コレクション』逆刷りエラー [文献]

『世界の切手コレクション』を、定期購読されている方は多いと思います。
いろいろと忙しくて、十数冊分が配達されたままになっていたのですが、今日ようやくバインダーに整理しました。

その作業中に発見したのが、図版の逆刷り。
「世界の国々」というコーナーの「ネパール」です。
最初に出て来る緑色の4アンナ切手が、見事に上下逆さまです。
下の画像がそれ。

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この切手は、交差した剣と王様の帽子が図案で、下に剣で上に帽子が位置するのですが、図版では帽子が下で剣が上になってしまっています。
そもそも、ネパール文字を見ても逆だとわかります。

ついでに、もう1ヶ所の間違い。
図版解説では、1881年発行の最初の切手として採用されていますが、図版の切手は1886年もしくは1890年発行のものです。
1881年の最初の切手は、印面が鮮明で、西洋紙に印刷されたもの。
図版の切手は、印面が潰れかけており、しかも紙がネパール紙なので見分けは簡単です。
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停車場印の比率 [日本郵便史]

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上の画像は、右上に朱色の「神戸」の停車場印が押され、当時の鉄道の東端であった大津局のボタ印で抹消されています。
データは「明治20年6月18日ト便」。

停車場印は興味があるので気を付けて見てはいるのですが、どうも圧倒的に葉書に押されたものが多くて、封書は少ないと思うのですが、どうでしょうか?
あくまで感覚的なことですが、私見では10対1程度のような気が・・・。
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『郵趣仙台』211号 [文献]

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東北の重鎮、仙台のS氏より『郵趣仙台』211号を、ご恵贈いただきました。

斎氏の「和文ローラー印」は13回目の連載。
3枠型ゴム製の昭和8〜9年が今回のテーマなのですが、こうした解説に接すると、今まで「ローラー印?どうだかねぇ・・・」と、ツレない返事しかしなかったのが、俄然興味が出てくるから不思議です。
連載終了後には、私家版でかまわないので一書にまとめてもらえると有難いですね。
それなりに需要はあるのではないでしょうか。

横山氏の「東北の鉄道郵便印のデータ更新」は18回目です。
今回は常磐線。
こうしたきめ細かい地元ネタは、地方誌には必須なので掲載できることが羨ましい限り。
以前に僕が編集していた『北陸郵趣』に、熱心に鉄郵を集めていた方に執筆を依頼したところ断られたことがありますから、羨ましさも倍増です。
その断ったお方は連盟理事のお方。
理事自身が会報への執筆依頼を平気で断るとはね。

それと毎回楽しみに見ているのが、例会の記録。
いろいろな会の会報を見ていますが、共通して楽しみに見ています。
うまく回っている会のばあいは積極的な雰囲気が伝わってきますが、その逆もあります。
また、会についてのヒントを得ることもできる有益なコーナーなんですよ。
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フランス・種まきの鉄郵印 [外国郵便史]

フランスの種まきは、ご存知のようにリーズナブルにも楽しめますし、その反対に金に糸目をつけない集め方もあります。
もちろん僕は前者です。

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上の画像は、1913年のベルギー宛使用例で、ごく普通の使用例です。
日本円で700円程度でしょうか。
抹消印の青が綺麗にアクセントになるので気に入っているのですが、これは鉄郵印。
拡大すると下になります。

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GABARRET〜MONT-DE-MARSAN間。
両都市ともにフランス南西部のスペイン国境側の都市で、鉄郵区間としては短距離のもの。
フランスの膨大な鉄郵印の中にあって青色印使用局は少ないのですが、GABARRET発の2区間では両者ともに確認されています。
同局では、一時期青色印をよく使っていたのでしょうね。
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やっと完了 [雑記]

今週末に、切手の博物館で開催の英国切手部会ミニペックス用の作品を、昨夜郵便局から発送してやっと完了しました。

2月23日に出品依頼を受けてから、約1月半で4フレーム。
構想ゼロの段階から、突貫工事でなんとか穴をあけずに完了です。
年度末とも重なって、現役労働者には正直なところきつかったですね。

ということで、見直しすらしていませんので、不統一なところや誤字脱字など色々あると思いますが、その辺は勘弁してください。

5月下旬には、個人的に今年度最大の郵趣行事があるので、中断していた事前準備の再開です。
今年は、昨年のJAPEX終了時にあるお方と約束したJAPEX出品がありますし、北欧切手部会ミニペックスも計画されているので、そちらの準備もあります。

なんやかんやで、今年はけっこう忙しい年なんです。
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長崎 [風景印]

昨日、一昨日と1泊2日で長崎へ。
博多までは日帰りなのですが、長崎となるとさすがに日帰りは無理ですね。
「サンダーバード」→「さくら」→「かもめ」と乗り継いで乗車時間7時間。
飛行機なら、バンコクやシンガポールまで行けちゃいます。
もっとも、乗っている間は郵趣書が読めるので、それはそれでいいのです。

仕事は午前中で片付いて、14時20分の帰りの電車の時間まで昼飯を抜いて風景印を押して来ました。

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画像は、長崎住吉局。
長崎は風景印配備局がまとまっているので、路面電車を利用するとけっこう押しやすい街です。
たぶん、それだけに専念すれば1日有れば路面電車エリア内は、完収すると思います。
僕は、いつも電車の待ち時間を利用するので、あと数局残っています。
今回は1時間半弱で3局押せました。
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今日の産経新聞 [雑記]

今日の産経新聞朝刊に、デカデカとこんな記事が。
切手の記事が、こんなに大きく扱われるのもめずらしいですね。
A3スキャナーに入りきれなかったので分割です。

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レバノン派遣軍 [外国郵便史]

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見てもつまらないカバーですね。
なんでこんなのを持っているのかと言うと、ネパールだからです。

ネパールのグルカ兵は有名で、今でもインド軍とイギリス軍に派遣していますが、それ意外に古くから国連軍にも派遣していました。

上のカバーは、レバノン派遣軍の兵士が1993年11月29日に、ネパールの家族(?)宛に送ったもので、宛名と中の手紙文はネパール語で書かれています。

レバノンを発着する国連軍の手紙は、イスラエルが中継基地になっていたらしく、イスラエルの国連軍 Post Box No が記されています。
裏面には、国連軍のスタンプ(日付印ではない)が押されているのですが、なんとも地味な使用例で面白いものではありません。
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『郵便線路図 明治4〜9年』 [文献]

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本書には、ある意味において予想を裏切られました。
全く考えもしなかった見せ方で、こういう作り方があるのだと・・・。
1つのアイディアとして、いいですね。

郵便線路図は、料金表として収集家の基本資料。
ですが、なかなか目に触れる機会がありません。
僕は、郵便線路図の入手には古書市場を利用するほか、国立公文書館のお世話になりますが、なかなか普通の収集家はそこまではできませんね。
ですから、本書のような形での出版は意味のあるものだと思います。

ただ、本書の利用には、ある程度の注意も必要です。
それは、当時の資料の制約から、必ずしも今回示された線路図が正確性を保障するものではないことです。
このことは、編者が「はじめに」の中で記しているので、利用者はよく読んでもらいたいと思います。

僕が本書を初めて開いた時に「この本はまずいぞ」と、正直なところ思ったのですが、その「まずいこと」がしっかりと「まえがき」の中で、編者が自ら指摘されていたので一安心。
良心的な作り方です。

本書を底本に、各地の郵便史家が修正を加え、それを元に改訂版が出版されたら、どんなに素晴らしいことでしょう。
本書は、なかなかの労作です。
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ストックホルム号の船内印 [外国郵便史]

3月18日の日記で、ヨーテボリ〜ロンドン間の船内郵便について紹介しましたが、今日ご紹介するのはオーシャン・ライナーである「ストックホルム号」のもの。

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1953年9月6日の使用例で、料金25オーレは外国宛葉書料金で本使用例であるアメリカ宛に合致します。
日付の上には " STOCKHOLM " と船名があり、外縁に沿って下部にはニューヨーク〜ヨーテボリと就航区間が記されています。

実は、この「ストックホルム号」、大きな事故を起こしたことで有名なんです。
下の画像は、この使用例の表面で船の全景が描かれています。

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「ストックホルム号」は、全長160.4メートル、12,165トンの客船ですから、大西洋横断客船とすると小形の船に入ると思います。
ニューヨークを出港した「ストックホルム号」は、濃霧の立ち込めた1956年7月25日、ヨーテボリへ向けての航海の最中でした。

それに逆航する形で、イタリアの豪華客船「アンドレア・ドーリア号」は、翌日のニューヨーク入港を控え西へ向けて最後の行程の最中でした。
「アンドレア・ドーリア号」は、イタリア・ラインが1953年に新造船として大西洋航路に投入した全長213.4メートル、29,083トンの大形船です。

両船がお互いに視認し回避行動をとったものの衝突。
大形新造船であった「アンドレア・ドーリア号」が沈没してしまい、小形の「ストックホルム号」は船首部分の破損のみでした。
なぜ、トン数で見ると倍以上もある大形船が沈没し、小形船が破損ですんだのか。
「ストックホルム号」は流氷の多い北洋での航行を考えて、船首部分が通常より丈夫な構造になっていたそうです。
事故の原因は、「ストックホルム号」がレーダーを誤って見ていたことが原因であるとされています。

本使用例は、その事故の約3年前の使用例です。
ごく普通の使用例なのですが、いわくつきの船の使用例として大切な1枚です。

なお「ストックホルム号」は、その後修理されて現在も客船として稼働しています。
対する「アンドレア・ドーリア号」は、沈没の様子が最後まで動画として記録され、船は横倒しの形で原形をとどめたまま、海底に沈んでいるのが知られています。
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コレクション本 [雑記]

仕事が忙しくて、更新が進まず申し訳ないです。

日本の郵趣界には「コレクションをいかに育てるか」という視点に立った本が不思議とありません。
そうした現状を打破しようとする企画が1998年前後に有り、コレクション本の刊行を目指していました。
以下は、その時に計画された目次です。

はじめに:切手コレクションの楽しさ

第1部:切手コレクションへの誘い
第1章:国別コレクション
(1)カタログコレクション
 1a (レンジの広いカタログコレクション)
 1b 手彫切手コレクション
 2 日本切手のカタログコレクション
(2)専門コレクション
 1a ネパール初期コレクション
 1b プラハ城切手コレクション
 2  外国切手の専門コレクション
(3)ゼネラルコレクション
 1a 中近東ゼネラルコレクション
 1b 中南米ゼネラルコレクション
 2  外国切手のゼネラルコレクション

第2章:テーマチクコレクション
 1 現代史コレクション
 2 テーマチクコレクション

第2部:収集に役立つ話
第3章:切手コレクションとその入手
 (1)切手商
 (2)国内オークション
 (3)海外オークション
 (4)JPS部会その他
 
第4章:カタログ・文献・情報整理
 (1)カタログとハンドブック
 (2)郵趣団体、定期刊行物、図書館、文献商
 (3)インターネット
 (4)情報整理
 
第5章:切手展
 (1)国内展
 (2)国際展
 
おわりに:マイナーゼネラルへの誘い

執筆者も決っていて、最後には全体の半分ほどの原稿が集っていたと記憶しています。
最終的には諸般の事情で刊行されずに頓挫してしまったのですが、実際に刊行されていたとしたら、後年それなりの評価は受けていたと思います。

もう17年も前のことなので、記憶もあやふやな部分があるのですが、売り切れたら終りではなくて、後進の人達がいつでも入手できる体勢を目指していたと思います。
その頃には、既に電子出版がありましたから、そんなイメージを描いていたような気がします。

このコレクション本が成果として形にならなかったのは、かえすがえす残念でなりません。
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