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『京攝郵便事情研究』 [文献]

昨年刊行された文献なので、既にご覧になった方も多いと思います。
明治初期から中期にかけての、東海道筋における関西郵便史の研究を精力的に展開されている佐々木義郎氏の著作。

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オールカラーのリーフ形式の展開に、要所要所に詳細な解説を付した好著です。
一見したところでは、ごく普通のマテリアルに見える使用例でも、その一つ一つを丁寧に見ていけば、その裏に隠された郵便史の面白さが伝わってきます。

例えば、同じ逓送区間でも郵便の到着時刻によって川舟を利用したり鉄道を利用したりと、逓送経路の使い分けをしています。
こうしたことは、ただ漫然とマテリアルを眺めていただけでは、決してわからないことでしょう。

本書を熟読することにより、マテリアルからどのように郵便史を読み解くのかを理解することができます。
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『津田沼徒然草』復刻版 Vol. 1 [文献]

『津田沼徒然草』。
2000年前後に発行されていた個人誌です。
極めて少部数の発行だったので、ご存じない方も多いと思いますが、『データブック』と言えば「あぁ、あの本のこと」と思い出される方もいらっしゃると思います。

その『データブック』の親版とでも言える『津田沼徒然草』が、復刻されました。

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今回は、Vol. 1として創刊準備号から第14号までで、順次2、3・・・と刊行されていくとのことで、とても楽しみにしています。

発行人の永冨氏はワ便の仕掛け人として著名ですが、Japexにもその収集成果を展示発表されているので、その作品をご覧になり「ヘー!」と感心された方もいらしたものと思います。
実は、僕自身も丸一形印の便号は全く気に留めていなかったのですが、風の便りに「ワ便、ワ便」と聞いてるうちに、「そういう見方があるのか」と目からウロコ状態だったのを覚えています。

本書を一読すると、ワ便はもちろんのこと、丸一形印の様々な問題提起に触れることができます。
もちろん、丸一形印以外の話題も豊富です。

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明治18年の小浜発・大坂宛 [日本郵便史]

画像は、新小判2銭のごく普通の使用例なのですが、先日ご紹介したマテリアルと同じく琵琶湖ネタです。

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データは「若狭・遠敷・五・六/小浜」→「一八・五・六・リ/大坂」。
当時、小浜からは小浜 → 日笠 → 熊川 → 今津という郵便線路があり、今津からは琵琶湖汽船で大津へ。
そして、鉄道で大津から大坂へ逓送されました。

小浜局はKG型なので時刻はわからないのですが、前日の夜の投函だったのではないでしょうか。それを小浜局で早朝に処理をして今津へ。
今津からの汽船は日中便と夜行便があるのですが、10時発の日中便であったことは間違いありません。

大坂局がリ便なのは消印から確定しています。
この時期の大坂局はリ便が最終なのですが、当日配達の最終便の後にチ便とリ便を使用しています。
当日の最終便であるト便は19時15分なので、それに間に合わなかったとすると、大坂20時17分着の列車であったはずですから、大津発は17時45分です。
と言うことは、やっぱり今津10時発の汽船で間違いありません。

消印だけを見てしまうと、小浜 → 大坂間が同日配達のように見えてしまうのですが、実は違うのです。
そして、北陸に住んでいると琵琶湖の逓送経路が意外と大切。
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スタンプショウでのお買い物 [日本郵便史]

下の画像は、スタンプショウのブースで買ったものの1枚。
琵琶湖関係のマテリアルなんですが、北陸から他地方宛の逓送経路にも関係するので、こうしたものも懐に優しい範囲で購入しています。

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大津から海津に宛てたもので、地名に「津」が入ることから、港関係の地名であることがわかります。
例えば、大津もそうですし、今津や塩津もそうですね。

東海道本線の関ヶ原・馬場(現在の膳所)間が開通するまでは、琵琶湖の湖上輸送が大動脈となり、人や物の輸送にあたっていました。
もちろん郵便物も同じで、この辺のことについては佐々木義郎さんの収集成果で広く知られています。

上の使用例も湖上輸送によるもの。
大津16年6月21日ホ便で抹消され、その日の最終便である大津20時10分発の琵琶湖汽船塩津行き(勝野、今津寄港)に搭載されました。
宛地の海津には琵琶湖汽船は就航していないので、近くの今津で降ろされたと考えられ、今津から海津までは郵便線路が伸びているので、陸路で送られたことがわかります。

このカバーが搭載された便は夜行便なので、今津着は翌22日の朝。
その後は陸路で海津まで逓送され、その日のうちに海津局から配達となりました。
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てんこ盛りの1日 [雑記]

「てんこ盛りの1日」って、なにが「てんこ盛り」?
決まっています「郵趣」がぎっしりと詰まった「郵趣のてんこ盛り」。
1日お付き合いいただいたのは、気心の知れた信州人さんとシロクマさんのお二人。

スタートは、切手の博物館で開催中の「日本の郵便と歩んだ井出家五代展」。
事前に図録を購入して読んでいたので、事前学習はバッチリ。
特に興味を引いたのは「御勘定仕上書」と歴代の「長野郵便局管内郵便線路図」ですね。
「御勘定仕上書」によると、開局月の売上は1銭切手が10枚だけだったとか。
これは、他のページも見たいですねぇ。
明治初期における、地方の小さな郵便局の実態として面白い史料だと思います。
あっ、そうそう。「へー」っと思うことが記されていた、管内集配記録も見逃してはいけない史料。

お次は、スカイツリーの郵政博物館で「郵便制度史展」。
普段、閑古鳥が鳴いている郵政博物館が賑わっていたのが妙に新鮮!
展示の方は、マニアックな作品が9作品。
スッと入っていける作品もあれば、難しい作品も。
信州人さんは熱心にメモを取られていましたが、僕とシロクマさんは疲れ果てて椅子に座って一休み、二休みという不真面目さ。

そして、スタンプショウへ。
会場入り口で、お会いするとは思っていなかった某氏に呼び止められる。
来ることがわかっていたので入口で網を張っていたとか。お疲れ様です。
トピカル展、いいですね楽しくて。
肩が凝りませんし、単純に見て楽しめます。
スタンプショウはお祭りですから、楽しければいいのです。
でも、なんだか昨年よりは会場全体が空いているような・・・。
ブースでは、頼んでおいた文献1冊を購入。『津田沼徒然草』の復刻版。
そして、二重丸印の使用例を2通。

締めは、予定を早め東京駅へ移動しての友(郵)酒会。
実は、これが一番楽しいのですが、話の内容はナイショです。
2時間半程お酒を飲んで、地元へ帰れる最終の新幹線で東京よサヨウナラ。

4月から暗澹たる気持ちで仕事をしているので、楽しみにしていた1日を久しぶりに楽しめました。
趣味があるって、やっぱりいいですね。

東京では、多くの人に声を掛けていただきまして、ありがとうございました。
多くの方が「(ブログの)更新どうしたの?楽しみなんだけど」と言ってくださるのには驚きました。
お声を掛けてくださった皆さん、ありがとうございました。
上記のように仕事関係で色々とありすぎて、なかなか更新が進まないことが続くかも知れませんが、中断することはありませんので、気長によろしくお願いいたします。

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切手センター街 [雑記]

更新が止まってしまって、申し訳ないです。
自分自身のことで色々とありすぎて、こんな調子がしばらく続くと思いますが、よろしくお願いいたします。

さてさて、昔懐かしいミニ郵趣誌『ふいぶる』を見ていたら、1977年4月号の「あの店この店」として新宿にあった郵趣会館地下の切手センター街が紹介されていました。

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全部で9軒が集まった切手センター街は、2階にあったシュールームよりも使い勝手がよくて、子供の頃には年に数回、父親に頼んで鎌倉から出かけていました。
高校生になると途中までは定期券があったし、大学は都内だったので、それこそ毎週のように行っていましたね。

あったのは、
・スタンプフレンド
・中川スタンプコイン
・旭スタンプ
・平和スタンプ
・コクサイスタンプ
・タカハシスタンプ
・ゼネラルスタンプ
・不二スタンプ
・ヤナギダスタンプ
以上の9社。
最初は7社でしたが、途中で2社が増えたと思います。
獲物がゼロの時もあったし、大物が釣れたこともありました。

そんなに重宝したので、目白への移転が決まった時にセンター街は移転しないと聞いた時は、ホントに大ショック!!
「これから、どーすんのよー!」って感じでしたね。
あれから、すごく長い月日が経ちましたが、今でも目白に行く度に「ここにもセンター街があればなー」なんて毎回のように思ってしまいます。
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盲人用郵便物 [日本郵便史]

当たり前ですが、春は異動のシーズン。
僕も異動になったので、明日からは他の部署へ移ります。
新採用の時以来の職場に異動ですから、双六的に言えば「振り出しに戻る」ですね。
研究職なので、本や資料の荷物が大変なんです。
ダンボール箱に100箱はありますね。
でもこれは研究職としての生命線ですから、仕方がありません。

職場でエッチラ、オッチラと、そんなものを片付けていたら、遠い所に勤務している非郵趣家の友人から電話。
出てみれば、
「盲人用って書いてある封筒が出て来たけどいる?いらなければ捨てるけど」
とのこと。
「いる、いる、いるから捨てないでー」
という感じで入手したのが、下の画像のカバー。
わざわざ送ってきてくれました。
あまり目にしない「盲人用」の書き込みに目が止まり、とりあえず電話をくれたのでしょう。
有り難いことです。

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盲人用点字郵便ですが、赤いラベルが2枚。
「配達日指定」と「10月14日(水曜日)」。
貼られた切手は、10円が3枚で30円です。

普通の手紙なので無料なのですが、30円は配達日指定料金で平日用の30円ですね。
これが日曜・休日だと200円になります。

よい使用例をいただきました。
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