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『明治郵便局名緑』 [文献]

郵便史研究家として著名な、田辺卓躬氏による労作。
元々は、氏が編集されていた雑誌に連載されていたものだったのですが、連載終了後に増補して一書にまとめたものです。

似たような著作は何冊かあって、どれもが一長一短なのですが、その中で最もオリジナリティがあり、重宝しているのが本書です。

本書の刊行元が「二重丸印の会」となっていますが、本書には各局の二重丸印の変遷が一目でわかるように編集されています。
もちろん二重丸印時代のことですから、変遷不明な局が地方を中心にたくさんありますが、それでも最低限、等級の変遷を知ることができます。

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例えば、越前敦賀局では、不統一印→不統一印+N1B1K→記番+N1B1K→KG→KB2→丸一印へという変遷が、年ごとにわかるようになっています。
もちろん、今となっては修正するべき箇所が幾つもありますが、全国的に集成された二重丸印の基礎文献という点で、本書の重要性は全く薄れていません。

一時で賞味期限が迫って来るハウ・ツー本全盛の郵趣文献の中で、このような時間が経っても色褪せない基礎文献が今後、どれだけ出て来るでしょうか。
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