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『SOUMI FINLAND 1856ー1875』 [文献]

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今年のJAPEX最大の注目は、金井宏之氏の「FINLAND 1856ー1875」の展示ではないでしょうか。
競争展でありながら、招待出品が話題の中心というのも、なんだか本末転倒のような気がしないでもないですが、こればかりは仕方がありません。

僕も久しぶりに目にするコレクションなので、楽しみにしています。
金井氏のフィンランド・コレクションは、過去にロンドン、シンガポール、米国で開催された国際展で拝見していますが、正直なところ、その頃はこちらの知識が貧しくて「スゴイのだろうけど、さっぱりわからん」という、体たらくなありさまでした。
その後、有馬の切手文化博物館での展示は所用で行けなかったので、今回の展示では20年ぶりのご対面になります。

その展示に先立ち作られたのが、記念出版『SOUMI FINLAND 1856ー1875』。
もちろん、オールカラーの素晴らしい出来栄えで、さすがJPSの手慣れた作りです。

フィンランドの初期切手がわかる人も、わからない人も、希少なマテリアルを素晴らしい状態のものを選び抜いて構成するという、審美眼に注目してほしいと思います。
とにかく、個々のマテリアルの内容はわからなくても構いません。(というか、大部分の人がわからないはず)
とにかくマテリアルを選ぶ、選択することの重要性を理解するだけでも見る価値は高いはず。
僕なんかは、こうした作品を目にすると「自分は今まで、何してきたんだろう」という気持ちになります。

本書の中で1つだけマテリアルをあげるとしたら、かなり迷ったあげく32リーフ目の10k切手付封筒に、5kと10k切手を一枚ずつ加貼したドイツ・ハンブルグ宛カバーをあげます。
この10k切手付封筒は10年間に55000枚のみが売られたもので、その封筒に2種の額面を加貼して外国宛とした、使用例としても見栄えとしても極めて貴重なマテリアルです。
ぜひ、皆さんもこのカバーを会場でご覧ください。

もし、本書をご覧になった方で、もう少し詳しくフィンランドの初期切手について知りたいと思われた方がいらしたら、" Stamps of Sweden and Finland " をお勧めします。
本書は専門書というよりも、ちょっと詳しいハンドブックなので、専門的な知識を得る入口としてちょうど良い文献だと思います。
図版も多く、内容も英文で書かれているので、日本人にも馴染みやすいものです。
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