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渋沢栄一の回顧談(『日本郵便切手史論』) [文献]

日本最初の郵便切手を作るにあたり、フランスの不足料切手を参考にした云々という説明は、切手本には定説としてよく載っています。
このことは、皆さんも様々な本で読んでいらっしゃると思います。

なるほど。確かに正方形の形はよく似ていますね。
でも、考えてみれば似ているのは、それだけのことです。

そこで、意外と皆さん見落とされて、とんと話題にされないのが樋畑雪湖氏の『日本郵便切手史論』。
樋畑氏と言えば、戦前の郵便史では生き字引みたいな人です。
実は、樋畑氏は渋沢栄一氏に、最初に切手を作った時のことを聞いているのです。
それによると「仏国から帰朝した時に切手を種々取揃て持帰りし事は記憶しているがそれがどれを参考したかは五十年も昔の事であるから覚えていない」と、答えています。

つまり、渋沢氏がフランスから持ち帰った切手は、不足料切手1枚だけではないのです。
当時、フランスで出回っていた各種切手を取揃えて持ち帰っているわけですね。

世間一般に出回っている話しでは、松田玄々堂がフランスの不足料切手を見て「こんな精巧なものは作れない」と言ったことになっていますが、ナポレオンやセレスの切手も一緒に見て、そのように言った可能性も高いのではないでしょうか。

『日本郵便切手史論』の記事が、あまりに扱われないのでご紹介したしだいです。
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