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ハンガリー・変則的なFrancoカバー [外国郵便史]

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画像は、ハンガリーのプレ・スタンプ・カバーで地味だけど珍しいもの。
入手した頃は、その希少性に全く気付かなかったのだけど、じっくりと見ているうちに「なるほど」と思わせるものだとわかりました。

右上隅の地名印は、"Nagybanva" 局と言って現在のルーマニアに属する局です。本タイプは1820〜48年の間に使用されたもの。
宛先は右下に "Ungvar" と書かれています。
左下隅には、黒ペンで "/:Franco:/" と書かれていますが、これは料金完納を示す書込みです。
そして、赤のクレヨンで斜に大きく引かれた斜線は、料金半額支払済を示す記号。

裏面を見ると右上隅に、赤のクレヨンで "3×" と書かれています。

以上が、この手紙に書かれている事実です。
実は、最初はこの裏面の "3×" を "34" と読み違え、34kreuzerの郵便料金と勘違いし、その上、表面の斜線から半分先払で、残り34kreuzerの料金だと思い込んでいました。
これだったら、高額料金を別にすれば普通のカバーです。

ところがある日、よくよく見ると表に小さく "Franco" と書かれているのに気付きました。
Francoならば料金完納のはずですが、そうすると半分支払済を示す斜線と話しがあいません。

しばらく悶々と過ごす日が続いて、いよいよ「ハンガリーの先生に聞こうかな?」と思い始めた頃に、最後にもう一度じっくり取組んで、これでダメなら教えてもらおうと。

当時の郵便線路図を見直すと、差立地から宛先迄は8郵便局区間であることがわかり、この手紙で68kreuzer料金では、途方もなく重すぎるので、裏面の "34" はあり得ないことがわかりました。
手紙の重さから見ると6Kreuzer料金らしいので、そうすると "4" と読んでいた部分が "×" 印であるとわかりました。つまり "3×" で、郵便料金の半分の3Kreuzerが未払いというわけです。
この時代、ハーフ・ペイドは通常はあり得ないので、もしそうだとすると公用便しかあり得ません。

つまり、このカバーは料金前納制時代の公用便ハーフ・ペイド・カバーだったのです。
表の "Franco" は「自分負担分は完納だよ」という意味なのですね。

と、ここまで答えが出来てから、念のため先生に聞いてみました。
答えは、ピッタリあっているとのこと。
ついでに教えてもらったのは、役所宛のカバーだと。
大変に珍しい使用例だということです。

めでたし、めでたし。
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