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『日本切手精集』 [文献]

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ちょっと熱心な収集家ならば、誰もが知っている『日本切手精集』。
日本切手関係では、僕が最も気に入っている郵趣書の1冊で、表紙の色彩いろいろ、そして賑やかでいい感じを出しています。

本書にはカラー版と白黒の普及版がありますが、本書の性格から考えて、もし1冊を持つならカラー版に限ります。
カラーと白黒では、コレクション本としての味わいが雲泥の差。

僕は両方を揃えていて、じっくりと味わいたい時にはカラー版を。
そして、手軽に読みたい時や旅行などに持ち歩く時は、普及版を使っています。

実は、書架にはカラー版が2冊に普及版が3冊ありますが、そのうちの普及版の1冊は手あかで汚れて、かなり年季が入った状態。
天野氏による解説は、本書に先行して刊行された『日本切手とその集め方』を受けて書かれています。
後年、天野氏自身のコレクション集が出版されたましたが、解説文としての力の入れようは、本書の方が上の感じがします。

村田氏自身の郵趣収集史も、文としての読みやすさに加え、各所に隠れたエピソードが記されており、何回、何十回と読んでも新鮮さが落ちません。

田辺猛、水原明窓両氏の長い「あとがき」も、興味深い。
普通「あとがき」なるものは、つまらないのが定番なのですが、本書は「あとがき」までもが面白い。

本書は、郵趣書として極めて真面目な文献であるのに、内容がとんでもなく面白い。
よい意味で異端な郵趣文献だと思います。
では、なぜ本書のような文献が出来上がったのか??
それは村田氏の人柄なのではないでしょうか。
刊行から40年が経ちますが、僕にとっては今でも重要な文献です。
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『私の「会報投稿文」集』 [文献]

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これまでにも多くの著作を刊行されてきた、行徳氏の著作集。
本書のタイトルがいいですね。
有る意味、斬新です。
しかも、内容を直接的に示しているのでわかりやすい。
内容は、氏がこれまでに郵趣誌に投稿してきた記事の再録で、連載も1本と数えると41本の記事が収められています。

僕もある郵趣誌の編集を長期間担当していましたが、行徳氏には随分と助けていただきました。
「こんな資料があるから」と、走り書きと一緒に有り難い原稿を送ってくださるのです。

たぶん、僕が氏の著作に初めて接したのは、普及協会の『切手』に平成4年から連載された「エンタイア収集の視点」だと思います。
これには「郵便の種類で集める」という副題が付いていました。
毎号連載ではなく不定期連載だったのですが、掲載されていると嬉しかったものです。
内容は氏の収集スタイルを表現されたもので、現行切手を体系的に収集したことが無く、適正1枚貼にウンザリしていた自分にとっては、とても新鮮な内容でした。

今回の著作集には、そうした傾向のものは含まれていませんが、氏が得意とされる公文書資料調査をベースにした有益な解説が収められています。
「犬のマークは郵政省から始まった?」などは、氏ならではの視点と解説でしょう。

まだ入手されていない方は、お早めに入手のうえ一読をお進めいたします。

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『占領中国郵趣資料1 華北五省、蒙彊編』 [文献]

たぶん、中学1年生の時だったと思います。
新宿の郵趣会館地下の切手センター街に行った時に、ある切手商(中川スタンプだったような・・・)の店先で「旧中国切手300種」というパケットを見つけました。
値段は確か1500円だったと思います。

300種で1500円という値段と、それまで買ったことがない旧中国に惹かれて購入。
家に帰って開けてみれば、蟠龍やジャンク船など、見たことがある切手も有りましたが、それまでに見たことが無い加刷切手がドッサリ。
というか、加刷切手が主体でした。

当時は、中学生が手軽に調べられる旧中国関係の文献も無く、調べるのには当然限界が。
それでも「中国占領地の切手らしい」という当たりだけはつきました。
そんなわけで、取りあえずリーフに貼っただけの状態でしたが、しばらくして偶然入手したのが本書。

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最初に目に飛び込んで来たのが、巻頭折込みの中国地図。
これに各占領地加刷の地名が記されていたので、初めて使用地区を知ることができ、感動もののインパクトだったことは、今でも覚えています。

そして、全く未知の世界だった消印の解説。
これは、本書入手当時は未入手だったのですが、後日、安価なカバーを切手センター街で購入した時に役立ちました。

そして圧巻は、各切手の解説です。
加刷の種類ごとに構成されているので、その切手の性格が手軽にわかりましたし、また各加刷ごとの台切手一覧が有り、これも有益な資料でした。

このように本書は、中国占領地切手について全く知識的にゼロだった自分にとって、初めて概要を知ることができた文献として、今でも大切にしています。

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『ふいぶる』終刊号 [文献]

これまでに、何回か『ふいぶる』について紹介したことがありました。
特に、2014年6月8日のブログでは創刊号を紹介しています。
ということで、今回紹介するのは、その対局の終刊号。

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『ふいぶる』最後の号は、上の画像の2001年4月号なのですが、創刊当初は月刊だった本誌も、この頃には隔月刊になっています。

月刊誌の編集、特に趣味誌のばあいは本当に難しいと思います。
何でもかんでも記事にすれば良いのでは無く、編集の柱が通っていないと、雑誌として内容がバラバラになってしまい、読者の目線からは「いったい何を主張したい雑誌なのか?」となってしまいます。

この編集の柱というのは、工業製品に例えるならば「設計思想」に相当するもので、逆に考えると「設計思想」がしっかりとした雑誌は、面白い仕上がりになります。

『ふいぶる』も、当初は無料配布を前提としたミニ郵趣誌としては、それなりの内容を持ったよいものでしたが、数回の編集刷新を進めていく段階で、最早なんの雑誌かわからなくなってしまいました。

雑誌の編集には、毎号の企画会議が欠かせませんが、それ以前に編集に携わる人々の理念が大切ですね。

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「Melanges de Philatelie Francaise」 [文献]

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古くからの『関西郵趣』誌の読者の中には、昭和61年3月号から連載が始まった、池田稔氏による「Melanges de Philatelie Francaise」を覚えていらっしゃる方も、特に外国切手収集家に多いのではないかと思います。

僕は毎号楽しみにしていました。
30回の連載中、フランス切手の話題についてクラシックから現代物まで、切手や消印についての幅広い解説が魅力的でした。
こうした連載は、よほど知識の深化がないと書くことができません。

最近の郵趣誌で寂しいのは、極めて間口の狭い解説ばかりで、こうした味わい深い解説が見られないこと。
小粒な収集が幅を利かせている現在では、このような記事が書ける人材が育っていないことの現れなのかも知れません。

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『日本切手カタログ』2019 [文献]

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『日本切手カタログ』2019年版を、全日展会場で購入してきました。
コンパクトなカラーカタログとしては、ステーショナリーや琉球、満州、南方占領地正刷を完全採録する唯一のカタログです。

今年度版は、記念・特殊、ふるさと切手のカタログ番号が変更がされていて、表紙にも「切手番号改訂」と書かれているのですが、小さすぎて目立ちません。
カタログ番号の変更は重要な事なので、もう少し目立たせた方がよいと思いますが・・・。

巻末の394、395ページには、新旧対照表が掲載されているので変更内容がわかりやすいのですが、2ページにギッシリなので、かなりの数が変更されています。

日本切手を集めている方は、皆さん入手された方がよいでしょう。


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『世界一高価な切手の物語』 [文献]

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東京創元社から『世界一高価な切手の物語』が発売されます。
発売日は7月20日。
各ネット書店では、予約を開始していますので皆さんもどうぞ。
もちろん、僕も予約済です。

切手収集家ならば、タイトルを見れば「ハハ〜ン」とすぐに主題が解りますよね。
っていうか、表紙に出ていますから。

この切手、僕が最初に見たのは小学生の時。
場所は、池袋の東武百貨店で開催された「万国切手博覧会」の会場です。
子供心に切手自体は大したことがない(失礼!!)印象だったのですが、「現存1枚!世界最高額の切手!」という触れ込みに圧倒され、「なんだかわからんが、スゴイものを見た!」という満足感はありました。

大人になってからも見る機会はあったのですが、その時は完全に冷めて「世界中の切手の中の1枚」という感覚。

これは全くの想像ですが、本書は恐らく、英領ギアナ1セント切手の来歴を中心に、この切手を取り巻く人間模様にスポットを当てながら話が展開されていくのでしょう。
今から発売が楽しみな本です。

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『乃木2銭切手の研究 草稿』 [文献]

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乃木2銭と言えば、昔も今も筆頭に上げられるのが児玉博昭氏。
履歴を読むと、なんと昭和44年から乃木2銭の収集をスタートだとか。
すごいですねー。

本書には37枚のシートと、4枚欠の大ブロックが1枚収められています。
今まで、乃木2銭のシートをまとめて見たい時は『昭和切手シート写真集』を見ていたのですが、今後はカラーで見ることができ、収録枚数が断然に多いこちらになりそうです。
ただし、縮小されているのが勿体ないですね。

本書の特徴の一つである「実用版の特徴図」は見ていて面白いもので、手持ちのブロックなどを見直したくなります。


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『千葉晋一コレクション 手彫切手』 [文献]

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既にご覧になった方も多いと思います。
『千葉晋一コレクション 手彫切手』。
この企画を耳にした時は、非常に嬉しく、そして早く出版されないものかと、首を長〜くして待っていました。

その理由は、千葉氏のリーフ作りにあります。
手彫切手コレクションのばあい、その多くは似たような作品の仕上がりで、名前を伏せられていたらリーフを見ただけでは、誰のコレクションであるのか解りません。
しかし、その唯一の例外と言ってもいい作品が千葉氏のもので、氏の作品は無記名でもすぐに解ります。
その個性的で多々参考になる千葉氏のリーフが、手元でいつでも見ることができるというのは、本当に有り難い企画。

氏のリーフ作りは、レイアウトやテキストがとても美しく、また書き込みや図の処理方法などのテクニックも多いに参考になります。
こうした作品作りが可能になるのは、たぶんセンスの問題なのでしょう。
僕が作るリーフは、どうしても野暮ったく、見栄えがしないのです。
ですから、氏の作品を見るたびにそのセンスを羨ましく思っていました。

本書は、日本切手や手彫切手の収集に関わらず、伝統収集を目指している収集家にはテーマに関わらず広く見ていただきたい作品集です。

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『白郵』91号 [文献]

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毎号、ご恵贈いただいている千葉県の白井郵趣会の会報である『白郵』誌。
隔月発行の4ページ建てなのですが、何気にピリっとスパイスが利いた会報なので毎号楽しみにしています。

今日ご紹介する91号には「図入り『日本切手アルバムー増補版!ー』の楽しみ」と題して、原田昌幸氏が書かれています。
原田氏と言えば「図説・戦前記念切手」の著者であったり、各種郵趣雑誌に記事を執筆されるなど、皆さんもよくご存知だと思います。

多くの一般的収集家が実行(私もですが)されているボストーク図入りリーフの穴埋め。
本稿で氏は、それを単に穴埋めに終わらせるのではなく、そこから発展する専門収集をどのように収集・整理していけば良いのかという、一つの方法論を記されています。

ボストーク図入りリーフは、カタログのメインナンバーは揃いますが、様々なバラエティには行き場所がありません。
言うなれば幹はできるが、枝葉が生えずにいつまでたっても裸の大木みたいなものですね。
氏は、本稿で図入りリーフで幹を作りながら、枝葉部分も成長させる手法を公開されています。

近年、妙に偏った間口の狭い収集方法が幅を効かせていますが、ここに示された方法を踏襲することにより、腰の据わった、どのような暴風にでも耐える大木のようなコレクションが、形成されて行くのだと思います。

どんなことでもそうですが、「基本や基礎を大切に」。
それを再確認させてくれる一文です。

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