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「秀山堂の塔30銭について」 [文献]

昨年12月15日の日記で、『呉ポスト』誌が終刊を迎えたことを紹介しました。
『呉ポスト』の長い歴史の中には重要な解説が多く掲載されていますが、昭和43年12月号〜45年1月号まで13回に渡って連載された、松原敦氏による「秀山堂の塔30銭について」もその一つだと思います。

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氏は、この連載で秀山堂切手のリコンストラクションを示しているのですが、恐らくこうした試みは本連載が初めてのものではないでしょうか。
N版とS版にわけて示されていますが、2版あるN版の区別はされておらず、そこに示されたのは今で言うところの1版のもの。
この1版のポジション7は「ダブルベル」なのですが、氏の解説には「ダブルベル」の言葉が出てこないので、まだこの愛称が使われていなかったのでしょうね。

「ダブルベル」って愛称は、いつから使われているのでしょう?
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『桜切手 和紙仮名入 プレーティングブック』 [文献]

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前回ご紹介した『明治前期の大阪肥後航路と汽船便』程ではないものの、今年読んだ文献の中で、それなりにインパクトがあったのが本書。

桜切手の中でも難物がズラリと揃った和紙仮名入の専門書ということで、それだけでかなりのインパクトがあります。
従来なら、ドクターの名著『墨六』が唯一まとまった文献でしたからね。

本書は「プレーティングブック」と名乗ってはいるものの、各切手の解説も細かく記されていることから、和紙仮名入切手の解説書とも言えます。
そこに示された各種データも、過去から現在までの主要コレクションを利用していることから、各切手の使用データを始めとする、通常我々が目にする各種データの大要が理解できるものとなっており、プレーティングブックのみに留まらず、強力なデータブックとしての性格をも合わせ持った内容です。

本書は、当該切手の現時点での一つの到達点を示しているのではないでしょうか。
その点において、本書は日本切手の一般教養的な読物として、広くお勧めできるものです。
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『明治前期の大阪肥後航路と汽船便』 [文献]

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今年も数多くの郵趣文献が出版されましたが、どれか1冊と言われたら迷うことなく本書をあげます。

書名では大阪〜肥後間と限定されていますが、同区間を語るには、それより東の横浜や東京までの区間をも語らなければ全体像が掴めないのですが、本書ではその辺のことについても、必要に応じてしっかりと記されています。
そのため、本書の主題をクッキリとした輪郭で、見事に浮かび上げることに成功しています。

大阪肥後間の逓送は初期の陸路便に始まり、汽船便、そして汽船便と汽車便を併用した各逓送について、その歴史的な背景や逓送実態を、史料や使用例を示しながら具体的に解析して語っていることから、本書には大河ドラマのような郵便史が記されています。

本書には、表や地図、挿絵、新聞記事や広告、そして使用例などの参考資料が適切な部分に挿入されていることに加えて、文章もわかりやすいことから、当該地域への興味の有無にかかわらず、郵便史に興味のある方に、広くお進めできる書であることに間違いありません。
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『呉ポスト』終刊 [文献]

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先日、『呉ポスト』の編集人さんから1通の葉書が届きました。
そこに記されたのは同誌廃刊の挨拶。
ご高齢だったので「いつかは・・・」とは思っていましたが、いざ現実になると極めて残念でなりません。

画像が最終刊となったもの。

昭和31年創刊で、数えること754号です。
これより号を重ねた郵趣誌は他にも数種ありますが、1人の個人が編集・発行したものとしては、最長、最多号数ではないかと思います。

せっかくここまで号を重ねたものなので、スタイルを変えてでも、誌名を受け継いで継続発行してくださる方はいませんかね?
興味深い雑誌だったのですが・・・。
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『Railway Stamps』200号 [文献]

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JPS鉄道郵趣研究会の機関誌『Railway Stamps』が昨日到着。
今号は200号記念誌ということで、76ページの増大号。
表紙にも凝っていて、額面数字が「200」の各国の切手がズラリと。こうしたアイディアが面白いですね。

こうした記念号に付き物の会員からの「記念メッセージ」は、どこでも似たようなものなので置いておいて、裏表紙のリーフ掲載図版の樺太の「軍用軽便鉄道開通式記念」特印が素晴らしい。
今まで内地のものについてはチェックをしていましたが、外地は完全にノーマーク。ドキッとしたマテリアル。

解説は、国内外の鉄道郵趣マテリアルを核として、周辺の鉄道史や出来事を中心に展開した読みごたえのある会員諸氏の力作ばかり。
皆さん上手くマテリアルをキーワードに、鉄道を語っています。
今号に限らないのですが、外国の鉄道にもお詳しい方々が多いのにもビックリですね。


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『津田沼徒然草』復刻版 Vol. 2 [文献]

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今年の4月29日の日記で『津田沼徒然草』復刻版 Vol. 1を紹介しましたが、今回はそれに続く Vol. 2。
再録されているのは15号(2000年6月)から28号(2001年8月)までの14冊分で、当時の発行部数は40から50部。
創刊号から14号までが30から40部だったのに比べれば増えていますが、濃い内容に比べれば、まだまだ発行部数は少部数でした。

データ的にも貴重なものが多く報告されていますし、編集氏の個性溢れる報告テーマに脱帽です。

編集氏は、今年のJAPEXに「丸一型日付印」のタイトルで出品されていましたが、その作品は『津田沼徒然草』の理念を、そのまま作品に表現したような構成で極めて興味深く、会期中何度も見直したほどです。

本誌が復刻によって、より多くの収集家の目に触れる機会が増えたことは、喜ばしいことだと思います。


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『神奈川県(武蔵国・相模国)の初期郵便印』 [文献]

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ご存知の方も多いとは思いますが、僕は神奈川県鎌倉市の生まれで、大学を卒業するまではずっと鎌倉。
小学生の頃の鎌倉は、今みたいに観光地化されていなかったので、夏の海水浴シーズンを別にすれば、落ち着いた良いところでした。
なにしろ、今では乗車待ちに1時間も並ばなくてはならない江ノ電がガラガラだった頃で、赤字廃線まで噂された事があったくらい。

そんな所に住んでいたので、神奈川県、特に相模国には今でも愛着があります。
先週のJAPEX期間中に開催されたJPSオークションは、『神奈川県(武蔵国・相模国)の初期郵便印』と題する郷土印の売り立て。

僕が記憶する範囲では、この地域に特化した売立ては始めてではないかと。
浦賀や小田原などの大形地名入検査済印は、切手展や各種文献の図版として目に触れる機会が多いので、個人的にはインパクトが少ないのですが、二重丸印に興味深い図版が多かったですね。

葉書に川村山北、松田惣領の2行印。
そして腰越のKG。

よいものを見せていただきました。
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『印紙』44号 [文献]

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先日、古書店で見つけました。
2004年発行の『印紙』44号「手彫関連論集(付・印刷局沿革録)」

これまでにも機会があるたびに購入してきた『印紙』誌ですが、まだまだ欠号があります。
44号の発行部数は僅かに35部ですから、気長に揃えるしかありません。

本号は各誌に掲載された解説をまとめて採録したものですが、日本印刷学会機関誌『印刷雑誌』や、明治22年3月発行の『美術』など、非郵趣系の雑誌に掲載された松田敦朝関係の解説が収録されているので、なかなか便利。

よい買物でした。
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『児玉博昭コレクション 乃木2銭切手』 [文献]

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乃木2銭切手と同じ色を使った表紙。
亡くなられた児玉博昭氏が、『たんぶるぽすと』誌に連載されていたコレクション紹介を1冊にまとめたのが本書で、氏のコレクションから496リーフが紹介されています。

児玉氏のコレクション集は過去に何冊も出版されていますが、中にはズッシリと重すぎて持ち運びに不便なものもあるのですが、本書は逆にハンディでお手軽に見れる仕上がり。
でも、逆の見方をすると1ページに4リーフを配した写真が小さすぎて鑑賞には向かないとも言えます。

解説を読みながらリーフを見ると、老眼が進んだ身には何が何だかわからない部分が多いのですが、ルーペを使って写真を見るとリーフの書き込み文字がハッキリと読めるので、「写真が小さくてわからんなぁ・・・」という最初の印象とは異なり、十分に楽しめる内容です。

それにしても、児玉氏の乃木2銭切手へのこだわりには、凄いものがありますね。
ちょっと自分には、まねの出来ないこと。
本書を通読すると、そうしたこだわりの収集を感じ取ることができます。

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雑誌の大きさ [文献]

スタンプペディア社から、いつもより重たい封筒が到着。
いつもならオークション誌だけなので、こんな重たいはずはありません。
「なんでー??」
と思いながら開封すると、先頃発行された『フィラテリストマガジン』20号の印刷バージョンが入っているではありませんか。

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僕はいつもiPadで読んでいるので、印刷版ははじめて。
しかも嬉しいA5判。

以前からの僕の持論なんですが「郵趣誌は、A5判またはB5判に限る」と。
ところが残念なことに、A4判で発行されているのがけっこうあります。

僕の持論は、日本人の体格や生活環境からの視点に立っています。
日本人は、欧米人と比べると体格的には明らかに小形です。
生活では、田舎は車社会ですが、多くの人が住む都会は公共交通が主要な移動手段ですね。
そして、住んでいる家は小さくて、その大きさに合わせた本棚とテーブル。

こうした事から考えると、日本人にはA5判やB5判がピッタリサイズ。
例えば『フィラテリスト』『スタンプコレクター』など、成功した雑誌はA5判でした。
逆に失敗した『日本フィラテリー』は、大きなグラフ誌サイズ。
A5判なら電車の中でも広げて読めますが、グラフ誌サイズはとてもじゃないけど、電車の中では広げられません。迷惑行為みたいなものですね。
そもそもグラフ誌というのは、欧米の大きなテーブルの上で広げて読むサイズ。ですから日本でグラフ誌サイズが成功した試しがありません。

最近流行のA4サイズも同じことで、馴染めない大きさですね。
あれは書類なら仕方がありませんが、趣味誌の大きさではありません。
たしかに本文文字の大きさを大きくしたりして、読みやすくできる利点はありますが、それはB5判でも対応できる内容です。
公文書等の書類で始まったA4判化が、なぜ郵趣誌にまで波及してしまったのでしょうか??
僕にとっては、以前からの謎なのです。

A5判版『フィラテリストマガジン』。
なかなか良い試みだと思います。
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