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" Priced Catalogue of Postal Stationery of The World " [文献]

先日、ある方から「ステーショナリーの世界カタログはないのか?」という趣旨のメールをいただきました。
その時に「ブログで紹介しなかったかな?」と思い、過去14年分のブログのデータを見直したのですが、ありません。
でも、確かにどこかで紹介した記憶はあったのです。
それが、ようやく今日になって『The Philatelist Magazine』の8号であることが判明しました。
やっぱり、ブログでは未紹介だったのですね。

" Priced Catalogue of Postal Stationery of The World " は全体が19セクションに分かれて発行された、世界ステーショナリーカタログです。
残念ながら、今は絶版になってしまい入手は不可能ですから、古書として入手するしかありませんが、全セクションが揃ったものでも年間に数回は売り物を目にしますから、こまめに探せば入手可能です。
ただし、違法コピーした海賊盤も出回っているので、その辺は偽物を掴ませられないように注意が必要です。

本書は、海外のオークションカタログなどでもよく "H & G No ● " なんて記載されているものです。著者の Higgins & Gage から取った記号ですね。
このカタログ、世界版にしては意外と詳しくて、切手カタログで言うと『ギボンズ』の親版くらいの内容があります。

下の画像は、日本の部の2ページ目。

図3のコピー.jpg

小判葉書では、重要な分類要素である銘版の違いを図版を用いてタイプ1(紙幣寮銘版)と
タイプ2(印刷局銘版)に分類してあり、最低限の基準が示されています。

また、初めての外信葉書である三・五・六葉書では、3銭が中国・香港・米国宛、5銭が米国経由の各国宛、6銭が香港経由の各国宛であることを注記で記しており、こうした細かな注記を読むと、本書が単なるリストの羅列的なカタログではなく、専門カタログ的な方向性を持っていることがわかります。

分類についても同じことが言え、手彫封筒におけるエンボスのバラエティや、議事堂葉書の料金改定に伴う料金収納印付葉書など、国内で編集された一般的なカタログには記載されていない事柄も図入りで記録されています。

日本の部を一例として紹介しましたが、このことから本書の傾向を具体的に知ってもらえたと思います。
切手の収集家であっても、葉書に加貼された使用例を扱うことがあります。
その際に台葉書の由来なども知る必要がありますので、そうした意味で本書は外国切手収集家の方にも広く使用してもらいたいカタログです。
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