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『切手画家木村勝の遺した資料 戦後切手1946〜1961』 [文献]

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昨年の『第1次昭和切手』編の続きとして、刊行されたもの。
ページを捲ると「新平和」切手として、後の「新昭和切手」に繋がる試作原画に先ず驚きます。結局は日の目を見なかった原画群なのですが、表面に出て来ないだけで、こうしたものが習作も含めて、他にもあるのでしょう。

記念特殊切手については、スケッチや、不採用になった原画下絵などが沢山採録されているので、歴史的な資料として見るには、興味深い内容です。
特に力が入っているのが『皇太子御成婚切手』に関することで、木村氏の遺した日誌も収録されています。

面白いのが、第1次国立公園「雲仙」のページにある「木村勝メモ」
28年6月15日「(前略)いつものことながら文字の位置を印刷局が勝手に動かすことには同意出来ない。文字の配置も全体の構図上、作者が考慮の上で決めてあるのだから、当然事前連絡があるべきであろう。」と言い、印刷局が相談も無しに勝手に構図をいじっていることに不満を言っています。
当たり前のことで、さすが技官であり自分の仕事に自信を持っていることが伺えます。

ただ、本書の不満な点はボリュームに欠けること。
妙に編集されすぎてしまい、資料性という視点に立つと使い物になりません。これは「第1次昭和切手編」にも言えること。
せっかくの機会なので、ぜひ1次資料として使えるものにして欲しかったですね。

まぁ、見て楽しめる本という点では、本書のような体裁で良いのでしょう。そういう点では万人向けの好著だと思います。
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