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切手趣味週間「洛中洛外図」 [日本切手]

4月20日発行の、今年の切手趣味週間切手の題材は上杉本「洛中洛外図屏風」。
僕としては嬉しい題材でしたが、出来上がった切手については「う〜ん。なんだかなぁ」という感じで、点数を付けると30点かな。

洛中洛外図屏風は、京都の街中と郊外を俯瞰した形で描いたもので、中世末〜近世初頭の研究には欠かせない絵画資料です。
現存する洛中洛外図屏風は30〜40点ほどで、数年前も旧家から新出の作品が発見されています。
僕も過去に展示資料として3回ほど扱ったことがありますが、間近で丁寧に見ていくと全く飽きない、そして時間を忘れさせてくれる作品です。

今回の切手では、上杉本の国宝を題材に選びましたが、一般的には無難な選択だと思います。

僕がこの切手を30点にしか評価しないのは、洛中洛外図の見どころを無視した、つまらない切手にしてしまったことです。
その原因は右隻全体を見せるために、画面が縮小され過ぎてしまい、ルーペで見なければ「一体なんなの?」みたいな仕上がりになってしまったからです。
恐らく、肉眼でこの切手を見て、屏風の本質がわかる人はいないと思います。

下の画像は、今回発行された切手の全体画像ですが、洛中洛外図屏風の楽しさをご紹介するために、シート下列中央の切手に拡大ヶ所の丸印と番号を振ってあります。(切手はクリックで拡大します)
この切手をお持ちの方は、ぜひルーペ片手に切手を見ながら下の記事を御覧ください。

洛中洛外図.jpeg

下の画像は1の部分の拡大図。
公家の小さな子供がどこかへ出かける列なのですが、オシッコが我慢できなかったのでしょうね。
輿から降りて、付き人に抱き抱えられながら町家の壁に向かって用を足しています。つまり立ち小便をしている図。
ユーモラスな一場面です。

IMAG0053a.jpg

下の画像は2の部分の拡大図。
室町通りに面した町屋で、屋根の葺き替えをしているところです。細長い板を使ったこけら葺きの屋根であることがわかります。
室町通りは、今では裏通りのように見えますが、当時は店が並んだ賑やかな通りでした。洛中洛外図では、通りに面した店屋を一軒一軒丁寧に描いているので、よく見るとそこが何の商品を扱っていた店なのかがわかります。
切手では縮小され過ぎてしまい、全くわかりません。

IMAG0053b.jpg

最後は3の部分の拡大図。
小橋を渡る2人の商売人。天秤カゴに入っているのはカワラケと呼ぶ素焼きの小皿。食器の小皿としても使うし、エゴマ油などを入れて灯りを灯す灯明皿としても使います。縄で縛って10個単位で販売していました。京都の北白河付近で作られたものかも知れませんね。

IMAG0053c.jpg

洛中洛外図屏風のホンの1コマだけを見ても、こんなに楽しいのですが、画面が小さくてはそのリアルさは伝わって来ません。
せっかく実像の京都を描いた洛中洛外図を題材としたのですから、屏風全体ではなくて部分部分の拡大図にすべきだったと思うのですがねぇ。
コメント(1) 

コメント 1

国枝榮

お世話になります。
私は以前、屁(オナラ)をテーマにして切手展に出品を企んだことがございます。
しかし1枚も屁に関する切手が集まらず(仏国に屁のように見えるのが1枚のみ)、泣く泣く断念したことを「放尿:立ち小便」より思い出しました。
by 国枝榮 (2016-04-24 21:41) 

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