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" Collecting Postal History " [文献]

いつもは表紙だけをご紹介するのですが、素敵なので裏表紙もご覧ください。

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本書の著者は、Dimitri Kandaouroff。
名前からすると、たぶんロシア系の人なのでしょう。プリンスが付く方らしいです。
本書の出版は1973年ですから、僕がまだ小学生。というわけで、入手したのは出版から10年ほど経った大学生の時です。

入手は、ロンドンのギボンズ。
その頃のギボンズはけっこう郵趣古書を扱っていて(お店の一角に文献コーナーがあった)、その中にあったものです。

目に止まった理由は単純で、単に書名に惹かれたから。
なにしろ、その頃の日本には『郵便史』を名乗る郵趣書がありませんでした。(『郵便史学』という雑誌はありましたが、郵便史収集とはちょっと違う)
ですからという " Collecting Postal History " を見て「なんじゃい、これは?」となったわけです。

本書は、郵便史収集の方法を記した、いわゆるノウハウ本ではありません。

内容はと言うと、粘土板による文字の伝達に始まり、パピルスを経て、紙の手紙に至るまでを紹介した後に、郵便の逓送方法、なんとこの中には日本の飛脚も銅版画を使って紹介しています。
そして、スタンプレス時代の使用例や消印、郵便切手の時代へと話が進みます。

切手以後の時代では、船内郵便や航空郵便(バロンモンテも当時の銅版画を何枚も使って解説)、鉄道郵便などの郵便逓送の方法、そして軍事郵便などについて、その歴史を紐解きながら解説しています。

本書の読み方によっては、郵便史のテーマチクとして読むことも可能です。

本書は、豊富な図版を大きく掲載していることから、大変に楽しい本に仕上がっています。
図版の解説も詳しく記されており、それを読むだけでも、日本語の文献にはない知識を得ることができます。
刊行後、四十数年を経たものですが、今でも広くオススメできる文献です。
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