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『十九世紀の郵便』 [文献]

数万円以上もする豪華本は、国内で出版されたものだけでも幾つかあります。
そうした中で、いわゆる伝統郵趣に属するコレクション本は、それまでにどこかで見た事があることから、実際に手に取る前に内容についての予測はある程度つきます。

そうした中で、本書は郵便史という視点に立った本なので、全く予想がつかず手にして驚きの連続でした。
そういう意味では、本書ほどインパクトが強烈だったものはありません。

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オールカラー352ページの図版編。
大形検査済印からボタ印まで。しかも、箱場印や停車場印、事故印を始めとする証示印の数々も体系的に紹介しています。
また、郵便線路図など貴重な原史料や模式図などが適切に収録されているので、図版を見るのに大きな助けになっています。
カラーの再現性もよく、極めて質の高い図版になっています。

本文278ページの解説編。
この解説がまた凄い。
副題に「東京の消印を中心として」となっているとおり、19世紀東京の郵便解説が各種史料や図を取り入れて、ビッシリと詰まっています。
A4判でこのボリュームですから、これだけで単行本として立派に通用する内容です。

本文222ページの資料編。
・明治期の郵便局所開廃と取扱変遷
・東京初期箱場切手売下所各種資料の比較
・明治初期の東京区画変遷と集配局
・明治期の三多摩群区画変遷と集配局

以上の3分冊。
これだけ、中身の濃い本も珍しいと思います。
出版された当時は、お値段と豪華さで話題にはなりましたが、その後は不思議と話題になる事がありません。
高すぎて、購入者が少ないことが話題性の貧しい理由かもしれませんが、お値段以上の本である事に間違いはありません。
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