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『フィラテリストの足跡』 [文献]

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三井高陽氏の収集史を、コンパクトにまとめられた本書を読まれた方は多いと思います。
僕の好きな本の1つです。

三井氏は、こうした自叙伝風のものをまとめることに気が進まずに、長いこと断られていたということが「はじめに」に書かれています。
その理由として「1人の郵趣歴をまとめたところで何の役にも立たない」と思われていたそうです。

僕がこの本を好きな理由の1つは、郵趣哲学書として読んでいることにあります。
読む人によっては、単なる昔話の寄せ集めと思うかも知れませんが、例えば戦前の郵楽会がどうであったかとか、小島勇之助氏が郵趣をどのように考えていらしたとか、実に興味深い話しがあちこちに散りばめられているのです。
そして、本書を通じて三井氏が郵趣に対してどのような姿勢であったのかなど。

例えば、切手の会があったとすると、その会をどのような会として方向付けるのか。ということが一番大切なことになります。
単に切手を肴にお酒を飲む会なのか。或は、マニアックな研究のみに徹するのか。それとも、日本の中核として活動する会なのか。
では、それを実行するには、どのような理念をもって活動して行くのか。
僕は、その理念こそが会の根幹を支えているものなのだと考えています。
手法はその時々で変化があってよいと思いますが、理念が変質して行くと、それによって支えられていたものの崩壊が始まります。

本書を熟読すると、過去の郵趣人の偉大さが伝わって来ます。
皆さん、それぞれが郵趣に対する強い思いがあったことがわかります。
本書は、単なる読み物としても興味深いですが、本書に記された郵趣の歴史から現代を考えるにも格好の教科書になると思います。
コメント(1) 

コメント 1

TABITO

自分の郵趣人生を振り返って回顧談だったら、サヨナラ、バイバイなのですが。
by TABITO (2015-01-21 19:52) 

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