SSブログ

” DUTCH EAST INDIES 1941 - 1945 " [文献]

 南方占領地、特に蘭領関係を収集している人にとってオランダのRoel Boekemaを知らない人は、まずいないでしょう。
 僕が彼の名を初めて知ったのは、1948年に発行された "DAI NIPPON IN SOUTH EAST ASIA" という彼の著書を通じてのことです。この本が占領地切手収集の古典的研究書であることから、Boekema = 研究者と理解していたのですが、実際はそうではなく、本業は切手商とオークショニア (晩年はオークションに専念) であることを知ったのは、それからしばらくしてからのことでした。

 このオークションを一言で言うならば、「熊手で掻き集めてきたと思えるほど」の出品量なのです。
 どれだけの量なのかを具体的な数字で表すと、ロット数が6048点で、その参考価格の総額が当時の日本円で約8400万円にもなりますから、現在の感覚では3億円以上になるのではないでしょうか。

 オークションは、1974年1月28日〜2月1日の5日間に全11部に分けてオランダのハーグで開催されました。当時の記録を見ると、日本から切手趣味社の吉田利一氏など数名がフロアに参加しているようで、代理入札やメール入札などを加えると、日本からも多くの入札があり、一説によると日本人の落札数は1,000ロットにもなったと言われています。

14196.jpg

 上は、ロンボク大日本加刷ですが、加刷全体がわかるカットが多く含まれているところが好ましいと思います。また、他のページにはフィラテリックと思われるものではありますが、カバーが含まれていました。

 下は、フロレス島暫定切手のページですが、なんといってもロット4293の6枚ブロックが注目の的でした。それにしても現存40枚以下と言われ、当時日本国内には1枚も存在していなかったこの切手が、一度にこれだけ出品されたのですから、その衝撃たるやすごかったに違いありません。

14197.jpg

 本書は蘭領占領地切手の珍品や貴品がゴロゴロとしているカタログであり、当該切手の図録としても他に例を見ない本として、今ではこのカタログ自体が貴重な文献となっています。
 本カタログはアート紙を用いた480ページ、重量は1キロを超えます。発行部数1,000冊で、そのうちの50冊が日本へ送られたという記録が残っています。
コメント(1) 

コメント 1

渡辺達夫

フロレス島の切手懐かしいです。
当時、目白、石てい奥の吉田利一邸に
行きまして色々分譲して頂きました♪
by 渡辺達夫 (2014-08-31 19:14) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。